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出生前診断の結果をめぐる家族の葛藤
事例紹介
経緯
42歳/女性/妊娠18週
結婚後5年、海外出張が多い夫と2人暮らし
夫は長男であり、義父母は近所に居住。本人の両親は遠方に居住
- 2回目の妊娠であるが、以前に一度流産の経験がある。
- 妊娠18週となり、胎児出生前検査について流産や出血など検査に伴うリスクや、異常という結果が出たときのことを考えると気が進まなかったが、夫の両親に強く勧められ、また前回の流産の際に遺伝的な原因の可能性を指摘されたこともあり、心配で胎児の出生前診断を受けることにした。
- 2週間後、夫は仕事を休めなかったため、1人で検査結果を聞きに行った。医師から、検査結果で染色体の異常がみられること、産まれてくる子どもの染色体異常の確率について、そして、中絶可能な週数は妊娠22週までである、ということについて説明があった。
- 医師との面談後、助産師は動揺している本人をカウンセリングルームに呼び、話を聞いた。カウンセリングルームに入るなり、「どうしていいかわからない」と泣き出してしまった。助産師はまず思いを聞き、染色体異常について、そして、人工妊娠中絶についてなどの情報を提供したのち、家族とよく話し合うことを伝えた。
- 次回は夫と共にカウンセリングを受けることとなった。
当事者の思い
妊婦 |
|
---|---|
家族 | 夫
|
医師 |
|
助産師 |
|
出生前診断の結果、産まれてくる子どもの染色体異常の可能性があることが妊婦本人に伝えられ、中絶可能な週数が近づく中での短い期間で決断が迫られている。本人は、障害を抱えた子どもを育てていく不安などから、妊娠を継続していくかどうか迷っている。また、家族も様々な思いがあり、答えが出せずにいる。
助産師は、重い決断をしなければならない本人や家族に対して、どのように支え、より良い意思決定ができるよう支援すればよいか悩んでいる。
解決に向けて
妊婦にとっての最善を考える視点
- 本人、家族は、意思決定をする上で十分な情報があるか。
- 本人、家族はどのような葛藤をし、その葛藤の要因は何か。
- 家族間の関係が意思決定にどのような影響を及ぼすか。
解決に向けた取り組み
子どもに関わるキーパーソン皆が、十分に話し合った結果、決定することが重要である。短い期間で命に関する重大な決定を迫られている本人、家族に対し、より良い選択ができるように何と何の葛藤なのか、葛藤に影響する要因について共に整理する。その際、例えば、障害を持つ子どもの育児に関しての知識や情報が乏しいため不安があるのならば、福祉のことを含め正しい情報を提供する。また、同じ経験をした人の話を聞くことは、本人、家族にとって参考になる。そのような情報の提供も必要に応じて行う。
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