労働と看護の質向上のためのデータベース(DiNQL)事業
DiNQL事業について
DiNQLは、看護職が健康で安心して働き続けられる環境整備と看護の質向上に向けた、病院の看護職のデータマネジメントを支援する事業です。
事業参加病院は、インターネット経由で労働と看護の質に関するデータを病棟単位で収集し、全国の病院と比較できます。データを入力するとすぐに、院内他病棟や、他の病院・病棟等と比較したベンチマーク評価のグラフや結果が表示されます。
他施設との違いや自施設の強みと弱みを把握し、経年的な変化をデータで確認しながら、病棟マネジメントの改善、看護実践の強化に結びつけることが期待されます。
また、DiNQL事業で収集・蓄積したデータは、看護を取り巻く課題を解決する政策の実現に向けたエビデンスとしても活用しています。
目的
看護職が健康で安心して働き続けられる環境整備と看護の質向上のために、
1.収集したデータを政策提言のためのエビデンス構築に活用し、看護政策の実現を目指す
2.看護実践を可視化し、データに基づく改善活動の強化を図る
事業参加病院
2023年度:575病院・4754病棟(7月7日時点)
参加病院のうち、ホームページへの掲載許可をいただいた病院のみ掲載しています(順不同)。
変遷
2013年度より試行事業を開始し、2015年度より本格実施をしています。
日本の「看護を代表する大規模データベース」を目指し、2023年度に大幅なリニューアルを行いました。
DiNQL事業の変遷
DiNQLデータ項目
2023年度版のデータ項目は12のカテゴリ(合計172項目)で構成されています。必ず入力していただく項目(必須項目)は10項目※のみです。自病院・自病棟のそれぞれの課題に応じて、入力する項目を任意に選択できます。
※必須項目(10項目)
病院機能(特定機能病院・地域医療支援病院・一般病院など)・算定している入院基本料/特定入院料(病床区分・病床機能も含む)・稼働病床数・平均在院日数・病棟の診療科名称・看護要員数(実人数)・看護要員数(管理職を含む実人数)・看護要員の常勤換算数(非管理職)・在院患者延べ人数・入院実患者数
データ入力を行う月や入力頻度は、病院・病棟毎に選択可能です。
なお、10月分データはベンチマーク精度の向上のため、全参加病棟に極力入力するよう、お願いしています。
ベンチマーク評価
ベンチマーク評価では、3種類のグラフや各種レポートから、自病棟の労働や看護の質について他の病棟と比較して評価することができます。
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レーダーチャート | 時系列推移 | 散布図 | 病棟分析レポート |
DiNQLデータ抽出機能を搭載した病院情報システムについて
DiNQL事業に参加する病院は、評価指標に関するデータを収集し、ベンチマーク評価システムに入力1する必要があります。
データ収集の負荷を軽減するための1つの方法として、DiNQL事業で用いる評価指標に関するデータを抽出し、CSVファイルに出力する機能(DiNQLデータ抽出機能)が搭載された電子カルテ等の病院情報システムがあります。こうした製品のうち、下記につきましては、本会からDiNQLデータ抽出機能の搭載に必要な情報が提供されており、本会が保有する登録商標の使用が許可されています2。
企業名 | 製品名 |
富士通Japan株式会社 | 電子カルテシステムHOPE EGMAIN-GXとHOPE LifeMark-HX |
株式会社ソフトウェア・サービス | オーダリングシステム(NEWTONS2)、電子カルテシステム(新版e-カルテ) |
1.ベンチマーク評価システムへのデータ入力方法は、①入力画面からの直接入力と、②CSVファイルをアップロードする方法の2種類があります。
2.各製品の精度や内容などを、本会が保証するものではありませんので、各製品の個別的な性能保証につきましては当該企業にお問い合わせください。
データの取り扱いに関する倫理的配慮
DiNQL事業で提供を依頼するデータは、既存の病院情報(集計データ)であり、患者および看護職員の個人情報は含まれません。ベンチマーク結果については、自分の施設のデータは分かりますが、他施設のデータが病院名に紐づく形で公開されることはありません。収集されたデータは厳重に管理します。
参加申込(病院)について
事業実施要項、基本条件等
・2023年度事業実施要項
・事業に関する基本条件
・参加同意書
申し込み手続きの詳細
2023年度の参加申し込み期間は3月1日~6月30日でしたが、それ以降の期間も随時お申し込みを受け付けておりますので、担当部署へメールでご連絡ください。
なお、年度途中でも参加病棟の変更が可能です。
※2023年度以降、明示的に参加辞退を申し出ない限り、翌年度の事業にも自動的に継続参加となります。
トライアル機能について
「DiNQL事業に参加する前に、DiNQLのITシステムに触れてみたい」というご意見にお応えして、2023年7月より、事業本参加前にDiNQL ITシステムの機能に触れられる練習用のシステムを準備いたしました。実際のデータ入力方法や、ベンチマーク評価(一部制限あり)をお試しいただけます。
データの入力は自由に行っていただくことができます(DiNQL本体のデータには影響しません)。
利用を希望される病院の方は、担当部署へメールでご連絡ください。
事業の成果
参加病院の取り組み例
DiNQL事業に参加した病院では、、労働や看護の質向上のために様々な形でデータを活用しています。具体的な取り組み事例は、下記よりご覧ください。
・病棟における看護の質向上
・ガイドライン順守のための戦略
・専門性の高い看護師の養成に活用
・スタッフのモチベーション向上に活用
政策提言への活用実績
DiNQL事業で収集・蓄積したデータを、看護を取り巻く課題を解決する政策の実現に向けたエビデンスとして活用した実績を一部ご紹介します。
下記以外にも、国の様々な検討会等で看護職の立場から発言する際や政策要望書において、看護実践や労働状況、看護職員配置等の実態を示すデータとして活用しています。
認知症ケア加算における認知症看護認定看護師等の評価 <2020年改定>
認知症ケア加算2(当時、複数の9時間以上の研修を修了した看護師を各病棟に配置)の算定病棟における、病院内に認知症看護認定看護師等の「専門性の高い看護師」が配置されている場合、そうでない場合と比べて身体的拘束を受ける患者の割合や延べ日数が少ないことを数値で示した結果、2020年度診療報酬改定において、認知症ケア加算において、これらの「専門性の高い看護師」の配置と、研修修了者の病棟配置を両方行った場合の評価の新設につながりました。
集計データ
2023年度より、DiNQLデータの一部について、集計の上公表することにしました。
説明会・講習会について
病院向け説明会
「2023年度DiNQL事業参加に向けた病院説明会」について
2023年4~6月に開催した病院向け説明会の資料・動画を掲載しています。
本説明会は、DiNQL事業に参加することでいかに自病院の看護や労働の質改善につなげていくか、スタートアップの内容を中心としています。
その他、DiNQL事業参加病院向けに(一部、トライアル参加病院向けにも)、学習コンテンツの提供や講習会の開催等を行っています。
病院情報システムベンダーの皆さまへ
DiNQL事業ではデータ入力方法として①入力画面からの直接入力、②CSVファイルでの提出、の2種類があり、参加病院の状況に応じて入力方法を選択できます。
2016年度より、データ収集の負荷軽減とデータ精度の向上を目的に、電子カルテ等のデータからCSVファイルを作成する機能(DiNQLデータ抽出機能)を各企業さまが開発・販売される際に必要な情報を有償にて提供します。
詳細につきましては、担当部署へメールでご連絡ください。
システムベンダー向け説明会
2023年4月21日(金曜日)、4月27日(木)開催の説明会の資料を掲載しました。
その他
DiNQLに関する発表・出版物
愛称とキャラクター
事業愛称:DiNQL(ディンクル)
多くの看護職に愛され、活用される事業を目指して事業愛称を公募し、DiNQL(ディンクル:Database for improvement of Nursing Quality and Laborの略)に決まりました。労働と看護の質向上に向けて、「さらに改善(improvement)していく」という想いをこめ、「i」を小文字にしています。

キャラクター:ディンキー
マウスとカンガルーを融合した「ディンキー」。パソコン操作やデータを身近なものとして扱ってほしいという想いをこめて“マウス”。
“カンガルー”のおなかの袋にはデータを蓄え、ベンチマーク評価のグラフにします。丸い両耳と顔は、医療の質評価の枠組みである「構造(ストラクチャー)」「過程(プロセス)」「結果(アウトカム)」を表現しています。ちなみにディンキーは女の子です。
著作権について
「労働と看護の質向上のためのデータベース事業」「Database for improvement of Nursing Quality and Labor」「ディンクル」「DiNQL」の名称、およびロゴマーク、キャラクターは日本看護協会の登録商標であり、本会が著作権を有しています。
お問い合わせ先
- 窓口
- 公益社団法人 日本看護協会 医療政策部看護情報課
- TEL
- 03-5778-8495
- Eメール
<受信設定のお願い>
上記Eメールアドレスにお問い合わせいただきました際、こちらから返信をさせていただく場合があります。
お手数ですが、本会ドメイン「nurse.or.jp」からのメールを受信可能な状態に設定してください。設定方法はご利用のメールサービス管理会社にお問い合わせください。