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化学療法を受ける患者の治療計画の変更
事例紹介
経緯
50歳/男性/肺がん/要介護4
独身
- がんの化学療法のために5回目の入院をしていた。しかし、副作用の倦怠感が強く体力の低下がみられていた。入院時に主治医より治療について説明があった際、患者も体力の低下を自覚しており、「辛い治療はしたくない。このままでは副作用で死んでしまうのではないか」と話していた。
- 化学療法前日には、主治医を含めた医師2名、受け持ち看護師、病棟担当薬剤師が治療内容のプロトコールの最終確認を行った。
- 化学療法当日の朝、患者は強い倦怠感を訴え、受け持ち看護師は、「患者の体力低下が見られる中、骨髄抑制が進んだら生命の危機にもつながりかねないのではないか」と考え、このまま化学療法を開始してよいか迷った。
- 病棟担当薬剤師に相談したところ、「副作用が強いのであれば、治療を延期したり、抗がん剤を減量して投与する方法もある」というコメントがあった。
- 患者の状況を主治医に報告したが、「辛い治療を4回頑張ってきた。6回まで投与して効果がある。手術ができない症例だから抗がん剤の治療をきちんとやらないと。採血結果からは化学療法を中止する必要はない。辛いことはわかっているが、治療のためなのだから我慢してもらいたい。化学療法は予定通り開始する」との返事であった。
- 主治医の見解を患者に伝えたところ、「そうは言っても、こんな辛い思いはしたくない。もう、苦痛だけとってもらえればそれでいい」と話していた。受け持ち看護師は主治医の治療方針と患者の思いの間でどうしてよいかわからず悩んでいた。
当事者の思い
患者 |
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医師 |
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病棟担当 薬剤師 |
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看護師 |
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がんの進行を止めるためには化学療法による治療を遂行する必要がある。そのため医師から副作用症状は我慢して治療を続けるよう患者に方針が伝えられたが、患者は抗がん剤の副作用の苦痛に耐えてまで積極的に治療を続けたいとは思っていない。
看護師は、化学療法を予定通り行うことは、患者の気持ちを尊重できないのではないか、尊重するにはどうしたらよいかと悩んでいる。
解決に向けて
患者にとっての最善を考える視点
- 局所の病巣と全身状態等からどのような治療の選択肢があるか。
- 化学療法を行った場合、また、行わなかった場合に、患者の今後に及ぼす影響を患者自身がどのように受け止めているか。
- 患者および治療に関わる保健医療福祉サービスに関わる専門職チームの双方が納得した治療の選択になっているか。
解決に向けた取り組み
治療の選択肢が複数ある場合には、リスクとともに患者がそれぞれの治療の内容を理解して選択できるよう説明を受けられることが必要である。また、説明を受けた患者がどのように受け止めたのか把握するともに、不安や疑問、不足している情報などがないか確認し、必要であればフォローをすることが求められる。
さらに、治療の選択は患者が主であることを保健医療福祉サービスに関わる専門職チームのスタッフが認識し、それぞれの視点でスタッフが意見を出し合い、合意しながら患者とともに治療計画を立てることが重要となる。
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