給与はどうやって決まるのか

1)給与規程と給与表

給与は、その病院・施設の就業規則、給与規程、給与表などによって決められています。自身の給与がどのような基準で決定されるのかは、これらを見ればわかるのです。
中でも重要なのは、基本給がどのような仕組みで決められているのかということです。
自分の基本給がどのように昇給するのかを知っていると、将来のライフプランを考えるのにも役立つので、一度は確かめてみるのがお勧めです。

2)基本給の決まり方

給与の中で最も大きなウエイトを占める基本給ですが、病院・施設によってさまざまな基準をもとに決められています。
その基準を大きく分けると、(1)属人給(年齢、勤続年数、学歴などを用いる決め方)、(2)仕事給(仕事や役割そのものの価値を用いた決め方)があります。この2つの組み合わせを用いることも多いです。以下に、これら2つの決め方のうち、それぞれの代表的なものを紹介します。
実際には、「年功給と職能給」「年功給と職務給」「年功給のみ」などのパターンが多く採用されているようです。

属人給
年功給 学歴や勤続による習熟が能力の向上とリンクするという考え方。勤続に伴って額が増えていきます。
<特徴>年齢とともに生計費が増しても、勤続していれば生活面での保障があるため、職員からみると生活上安心感のある給与体系といえます。一方、病院・施設側からみると、職員の仕事の成果は問わないため、職員の勤続に応じて必然的に昇給していかねばならないため経営管理上の調整が困難となることもあります。
仕事給
職務給
(役割給)
「どんな仕事をしたからいくら」という、労働の対価として給与を支払う考え方。職務そのものの難易度、職務における責任の度合いなどによって額が決められます。
このうち、役割(仕事の大きさや責任の重さ)によって額を決める場合を役割給と呼びます。
<特徴>仕事が変われば給与額も変わるため、仕事の変化に伴って給与が減額されることもあり得ます。
職能給 職務を遂行する能力に対して給与を支払う考え方。
実際の方法としては、病院施設独自の職能資格を設定し、「この職能資格の職員にはいくら」と給与が決まる(職能資格制度)。
<特徴>人材育成を重視するものです。
業績給 役割の大きさとその達成度の大きさについて評価を行い、基本給に反映させる給与。業績給の決定にあたっての達成度評価においては、目標管理制度が重要な役割を果たします。
  • 本会が2009年に実施した10病院に対する看護職の給与決定方法(人材育成・評価を含む)に関するヒアリングおよびアンケートの結果から、多様な実例がご覧いただけます。

【Checkポイント】手当より基本給に注目!

給与の中で最も大きなウエイトを占める部分は基本給です。基本給は超過勤務手当の算定基礎額になりますし、多くの病院・施設で賞与や退職金の算定にも用いられます。病院・施設によっては、手当額が高いために給与の総支給額が高いケースがありますが、生涯賃金で比べた場合は、同じ給与総額であれば基本給の占める割合が高い方が優位と言えます。

【コラム】

自分の病院・施設の基本給はどれに該当しますか。それぞれ長所、短所がありますが、働きがいの持てる給与であるためには、公正で透明性のある決められ方であることが不可欠です。

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