年次 |
社会と行政の動き 「★」は診療報酬算定要件 |
1947(昭和22年) |
- 労働基準法が制定され、1日の労働時間は休憩時間を除く8時間、1週間について48時間を超えて労働させることが禁じられる。(4月7日公布)
- 1919年には、国際労働機関(ILO)で1日8時間・1週48時間労働を定めた第一号条約が採択されていた。
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1949(昭和24年) |
- 労働省(当時)が宿日直勤務許可基準並びに「医師・看護婦などの宿直の取り扱い細目」を通知
(昭和24年基発352号他) 病院における医師・看護師などの宿日直勤務については、一般の許可基準のほか、業務の特殊性にかんがみて「病院における医師・看護師等の宿日直勤務許可基準の取り扱い細目」が定められた。
<労基法第41条「労働時間等に関する規定の適用除外」適用となる「宿日直勤務」の許可基準> ≪一般の宿日直勤務許可基準≫
- 原則として、通常勤務における労働は行わず、定期的な巡視、緊急の文書または電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものであること。
- 宿直、日直の勤務回数が原則として宿直勤務週1回以下、日直勤務月1回以下であること
- 1回の宿日直手当は宿日直勤務に就くことが予定されている同種の労働者のひとり1日当たり平均の賃金額の三分の一以上であること
- 宿直については、寝具、冷暖房等相当の睡眠設備を設けること
- 病院、社会福祉施設では女性の宿日直勤務はできるが、年少者は不可
≪医師・看護師等の宿日直勤務許可基準の取り扱い細目≫
- 通常勤務時間の拘束から完全に解放されたのちであること
- 一般の宿直業務以外には、病室の定時巡回、異常患者の医師への報告あるいは少数の要注意者の定時検脈、検温等特殊な措置を必要としない軽度のまたは短時間の業務に限る
- 夜間に十分な睡眠が取れること
- 上記以外に一般の宿直の許可の際の条件を満たしていること
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1950(昭和25年) |
★診療報酬「入院料」に「完全看護加算」を創設(承認基準:なるべく3交代制であること)
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1958(昭和33年) |
★診療報酬「完全看護」加算を「基準看護」に改編 承認基準:原則として3交代制
- 1日24時間を1回8時間勤務を前提に3交代でカバーする
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1963(昭和38年) |
- 全日本国立医療労働組合「国立病院および国立療養所に勤務する看護婦・准看護婦、助産婦の夜間勤務規則等に関する行政措置要求書」を提出。下記の4点を要求
- 第1)
- 夜勤日数(準夜勤、深夜勤の日数)を月6日以内とすること
- 第2)
- 1看護単位の定床を40床以下とし、これに2名以上の夜勤従事者を配置すること
- 第3)
- 産後1年間夜勤を禁止すること
- 第4)
- 休憩、休息時間を職員個々に明示すること
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1965(昭和40年) |
- 人事院「行政措置要求に対する判定」(2−8(ニッパチ)判定)
上記昭和38年の第1の要求の夜勤日数については、「年間の総日数から勤務をしない日と年次有給休暇を控除した日数を12で除した日数を月間の平均勤務日数とし、その1/3に当たる約8日を月間の平均夜勤日数とする」目標が示された。 また、第2の要求の夜勤人数については、1人夜勤の廃止に計画的に努力すべきと判定された。
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1966(昭和41年) |
- 労働福祉事業団:いわゆる「労災方式」の変則3交代制夜勤を導入
夜勤人数を2人以上として、3交代の勤務時間は日勤8時間、中勤6時間、夜勤10時間で、夜勤交代時刻は22時、休憩時間の確保と夜間仮眠を保証したもの。
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1969(昭和44年) |
- 参議院社会労働委員会において「看護職員の不足対策に関する決議」を採択
さきの人事院「2−8判定」の速やかな実行を図ることなどを求める
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1974(昭和49年) |
- 厚生省「第一次看護婦需給計画(1974〜1978年)」を策定
★診療報酬「看護料」に基準看護「特2類」(患者対看護要員2.5対1)、「特1類」(同3対1)の新設
- 「特2類」新設は、いわゆる「2−8(ニッパチ)」夜勤体制実現のために2.5対1の看護要員配置が必要との理由による2)。
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1975(昭和50年) |
- ナースバンクの全国設置による未就業看護職員の就業促進のための無料職業紹介事業開始
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1977(昭和52年) |
- ILO総会において「看護職員の雇用、労働条件および生活状態に関する条約並びに勧告」採択(日本は未批准)以下、抜粋。
- 第149号 第6条
- 下記について当該国の他の労働者の条件と同等かそれ以上の条件を享受する
a)労働時間(超過勤務、不便な時間および交代制による労働に関する規制および補償を含む)、b)週休、c)年次有給休暇、d)教育休暇、e)出産休暇、f)病気休暇、g)社会保障
- 第157号 ?作業時間及び休息時間
- 33(1)一日当たりの通常の労働時間は、8時間を超えるべきでない。超過勤務を含む場合でも12時間を超えるべきでない。
36(2)看護職員の週休は、いかなる場合にも継続する36時間を下回るべきでない。 38(2)交代制による労働に従事する看護職員は、交代時間と次の交代時間との間に少なくとも12時間の継続する休息時間を享受すべきである。
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1978(昭和53年) |
★診療報酬「入院時医学管理料」に「特定集中治療室管理加算」の新設
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1979(昭和54年) |
- 厚生省「看護体制検討会」が「第二次看護婦需給計画(1979〜1985年)」を策定・同時に「看護体制の改善に関する報告書」を取りまとめ
夜勤体制については「チーム編成、看護体制の改善、夜勤専従者の導入、夜間管理体制について配慮する必要がある」と指摘
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1981(昭和56年) |
- 「労働基準法施行規則の一部を改正する省令」(法定労働時間の特例の廃止,2月26日施行,基発第114号)
法定労働時間の特例が廃止され、1日8時間に1本化された。看護職は、「病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業」としてこれまで特例として1日9時間の労働が認められていた。
★診療報酬「入院時医学管理料」に「新生児特定集中治療室管理加算」の新設
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1984(昭和59年) |
★診療報酬「特定入院料」に「救命救急入院料」の新設
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1985(昭和60年) |
- 労働基準法研究会報告
「深夜交替制労働に関する問題点と対策の方向について(骨子)」・「深夜交替制専門家会議報告(抄)」 <上記より、深夜交代制労働に関し考慮すべき事項>
- 生理的機能の乱れを回復し緩和するため、余裕のある勤務表を組む。また、生体リズムの調整や生活の調整を容易にするよう勤務表を事前に明示(1ヶ月の勤務表を2週間くらい前には明示)
- 深夜勤務の回数を最小限に留めること
- 睡眠は疲労回復の最大の源であるため、準夜勤、深夜勤時の時間外労働は、できるだけ抑制することが望ましい。
- 深夜直の後は少なくとも1回の夜間睡眠を含め24時間の休息時間を経て次の直に入ること
- 深夜勤務の連続日数は短く、家庭や社会生活との調和を考慮して設定すること、生体リズムの周期をふまえ交替順序は正順(朝直→夕直→夜直)が望ましい、との報告がなされる。など
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1986(昭和61年) |
- 「男女雇用機会均等法」施行(4月1日施行)
- 国家公務員である看護職員に4週6休制の試行開始
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1987(昭和62年) |
- 労働基準法改正(法定労働時間の変更,昭和63年4月1日施行)
法定労働時間を、休憩時間を除く週40時間とし、この目標にむけ段階的に労働時間短縮を進めるもの。当面48時間未満を最低基準とする。
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1988(昭和63年) |
★診療報酬算定要件に基準看護「特3類」の新設(看護要員配置は患者2対1以上)
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1989(平成元年) |
- 「看護職員需給見通し」(1989〜1994年)策定
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1990(平成2年) |
★診療報酬に「緩和ケア病棟入院料」の新設 看護職員配置を患者1.5対1以上とする
★診療報酬に「特例許可老人病棟入院医療管理料」の創設 看護・介護体制の充実が図られる
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1991(平成3年) |
- 厚生省保健医療・福祉マンパワー対策本部は「中間報告」を取りまとめ、いわゆる「潜在看護職員数」を約43万人と推計
- 厚生省「看護職員需給見通しの見直し」(1991〜2000年)公表
- 厚生省健康政策局長の私的懇談会「看護業務検討会」発足
夜勤体制の改善が検討項目にあがり、モデル事業を開始
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1992(平成4年) |
- 「看護師等の人材確保の推進に関する法律」(「人確法」)成立
付帯決議として「週40時間労働(完全週休2日制)、複数を主として月8回以内夜勤体制」の実現に向けた努力を盛る
★診療報酬の基準看護承認要件に「勤務形態はなるべく三交代制であることが望ましいが、保険医療機関の実情に応じて二交代制の勤務形態があってもさしつかえない」(通知)とされた。
- 「夜間看護加算」の新設:患者1人当たり1日25点
<複数夜勤体制・夜勤回数、週の労働時間を要件に> ・3交代制で「2人体制・月8回以内」または「3人体制・月9回以内」 ・週所定労働時間40時間以内 ・2交代制で16時間夜勤で「月4回以内」、同12時間夜勤で「月6回以内」)
- 「夜勤専従看護職員」を位置づける
- 「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」(時短促進法)制定(9月1日施行)。施行日から5年間の時限立法で、国による労働時間短縮推進計画の策定、事業場における労働時間短縮の実施体制の整備等により国が定めた「年間総労働時間1,800時間」の目標達成をめざすもの。
- 人事院勧告:国家公務員である看護職員に完全週休二日制を施行。自治体がこれにならう。
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1993(平成5年) |
- 厚生省「看護業務検討会」報告書のなかで、働きやすい勤務体制の検討として、「変則3交代制」「2交代制」を検討、業務改善モデル事業として、愛知県一宮市・総合大雄会病院の「完全分離型2交代制」を取り上げる。
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1994(平成6年) |
- 労働基準法改正
(平成6年4月1日施行) 法定労働時間に関する暫定政令を廃止、法定労働時間は週40時間に。一部業種・規模の事業所については、平成9年3月末までの経過措置が定められた。保健衛生業に関しては、従業員数10人以上300 人以下の事業所で週44時間の猶予措置(上記期限までの猶予)、10人未満の事業所では特例として週46時間(特例は、2011年現在も継続中)。
- 健康保険法改正 (6月29日公布,法律第56号)
- 厚生省「厚生省所管国立病院・国立療養所および国立高度専門医療センターにおいて特別の形態によって勤務する必要のある職員の勤務時間に関する規定」
(平成6年8月23日厚生省訓令52)を制定。 国立病院において試行的に2交代制勤務が可能になった。
★診療報酬「看護料」に「新看護」体系新設:看護職員配置は患者2対1を上限とし評価(新看護・基準看護とも承認制から届出制へ)
- 届出要件
夜勤体制に関して、「病棟の実情に応じて3交代または2交代の体制をとることはさしつかえない」(通知)。「2対1」「2.5対1」(上位配置区分)では、夜間は「看護婦1名以上を含む複数の看護職員が勤務」、「3対1」以下では「看護婦または准看護婦による夜勤」
- 「夜間看護等加算」は「夜間勤務等看護加算」と改称、「4人体制で月9回以内」の区分新設(40点)、「2−8」「3−9」体制は点数引上げ(27点)
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1996(平成8年) |
- 厚生省:国立病院・療養所で2交代制導入の試行実施
- 厚生省国立病院課:先の国立病院での2交代制導入試行の結果をうけて、2交代制実施のガイドラインを策定することを表明。
- 平成8年度より、国家公務員である看護婦等の夜間看護手当に2交代制夜勤の手当てを新設。1回あたり6,800円で、従来の「準夜勤」「深夜勤」手当ての合計額を上回る。
★診療報酬で「夜間勤務等看護加算」の要件変更 ※従来の看護単位毎の夜勤人数および夜勤回数の評価から、複数夜勤を前提に夜勤看護要員1人あたりの患者数および夜勤時間数を評価基準とした。 (I)a:「夜勤看護職員1対患者15人以下、月平均夜勤時間72時間以下」 (I)b:「同20人以下、72時間以下」 (I)c:「同30人以下、64時間以下」 (II)a:「夜勤看護要員1対患者20人以下、月平均夜勤時間72時間以下」 (II)b:「同30人以下、64時間以下」
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1997(平成9年) |
- 労働基準法改正
(平成6年)による週法定労働時間に関する猶予措置の廃止 従業員10人以上300人未満の事業所において週44時間まで認めるという猶予措置が廃止され、週40時間制に移行。特例として、常時10人未満の事業所においては週44時間(1日8時間)
- 時限立法の「時短促進法」が一部改正され、廃止期限が延長(2003
(平成13)年3月31日まで)となり、中小企業等の自主的な取り組に向けた行政による指導実施についても盛り込まれる。
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1997(平成10年) |
★診療報酬「看護基準」における「勤務体制」要件変更 「交代制をとること」とし、「3交代または2交代」の記載を削除
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2000(平成12年) |
- 厚生省「看護職員需給見通し」(2001〜2005年)を策定
★診療報酬に「入院基本料」の新設(「看護料」、「入院時医学管理料」、「入院環境料」を1本化)看護要員配置基準要件は「新看護」を継承
★介護保険制度創設。介護報酬(介護療養型医療施設サービス費)に夜間看護・介護体制に関する基準型(最低2人(1人は看護職員)・月平均夜勤時間数64時間以内)を示し加算・減算設定
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2001(平成13年) |
- 「時短促進法」の廃止期限が再び延長となる(2006(平成18)年3月31日まで)。
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2002(平成14年) |
- 厚生労働省労働基準局監督課「医療機関における休日および夜間勤務の適正化について」(通知)
とくに、医師の当直勤務適正化のための自主的な取組みを促す。
★診療報酬「夜間勤務等看護加算」の要件変更
- 「夜勤看護職員1対患者10人以下、月平均夜勤時間72時間以下」の上位区分の新設
- 「夜勤看護職員1対患者30人以下」の廃止
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2003(平成15年) |
- 労働者派遣法の一部改正(3月28日施行)
病院・診療所・老人保健施設・患者の居宅における看護業務については従来どおり労働者派遣は禁止だが、これ以外の分野での看護業務については派遣可能に。また、派遣禁止分野の例外として、診療所のうち社会福祉施設の中に設けられたもの、および患者の居宅における訪問入浴介護については派遣が可能となる。
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2004(平成16年) |
- 「労働者派遣法」改正
(平成15年6月13日公布・平成16年3月1日施行) 医療関連施設(病院、診療所、老人保健施設、患者の居宅など)における看護業務について紹介予定派遣に限り可能となる。
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2005(平成17年) |
- 厚生労働省「第6次看護職員需給見通し」(2006〜2010年)公表
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2006(平成18年) |
- 「労働者派遣法」改正(4月1日施行)
医療関連施設(病院、診療所、老人保健施設、患者の居宅など)における看護業務について、産前産後休暇・育児休業取得者の代替要員に限り、一般派遣労働が可能となる。
- 「時短促進法」は期限により廃止され、代って「労働時間等設定改善法」が施行となる(4月1日)。目的を、労働時間短縮の政府目標(年間1,800時間)の達成から、職場の労働時間の設定を労働者の健康や生活に配慮するとともに多様な働き方に対応したものへ改善することに改めた。併せて「労働時間等設定改善指針」(大臣告示)を公表。
★診療報酬の改定により、
- 入院基本料における看護配置を(一日平均患者対看護職員数を表す)「実質配置」表現に改め、「7対1入院基本料」(看護配置常時7対1以上)を新設
- 「夜間勤務等看護加算」を廃止し、要件を入院基本料算定要件に組込み。
- 病棟夜勤体制は、病棟ごとに看護職員2名を最低基準とし、夜勤従事者の月平均夜勤時間数を72時間以内とする。
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2007(平成19年) |
- 内閣府「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」ならびに「行動指針」公表(12月)
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2008(平成20年) |
- 看護師の過労死の労災認定(10月9日)
東京都内のA病院に勤務していた看護師(当時24歳)の死亡を長時間の過重労働によるものとして、東京・三田労働基準監督署が認定。
- 看護師の公務災害認定(10月30日)
大阪高裁は、大阪府内のB病院に勤務していた看護師(当時25歳)のくも膜下出血での死亡を公務災害と判定。国が控訴せず判決確定。
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2010(平成22年) |
- 厚生労働省「第7次看護職員需給見通し」(2011〜2015年)公表
- 労働基準法改正(4月1日施行)
長時間労働を抑制し、仕事と生活の調和がとれた社会を実現するための法改正
<概要>
- 特別条項付き36協定による基準時間を超える時間外労働割増賃金引き上げ努力
- 月60時間を超える法定時間外労働は、50%以上の割増賃金の支払い
- 1カ月60時間を超えた時間外労働に対し、割増賃金に代えて有給の休暇を付与する制度(代替制度)
- 労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与する制度
- 育児・介護休業法改正
(平成22年6月30日施行) 少子化対策の観点から、男女ともに子育てや介護をしながら働き続けられる雇用環境を整備するための法改正
<改正の主なポイント>
- 育児休業取得促進:父母ともに育休取得する場合、子が1歳2カ月まで取得可能。
- 子の看護休暇制度の拡充:小学校就学前の子1人に年5日、2人以上は年10日取得可能に。
- 育児のための勤務時間短縮等の措置の義務化:3歳までの子を持つ労働者への短時間勤務制度(1日6時間)の義務化、労働者からの請求があった場合に所定外労働の免除が義務化。
- 介護のための短期休暇制度新設:要介護状態の対象家族が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日の介護休暇取得が可能に。
さらに、法の実効性を確保するために、紛争解決の援助及び調停の仕組み等、公表制度及び過料が創設された。 (平成21年9月30日施行)
- 苦情処理・紛争解決の援助及び調停の仕組みの創設
育児休業の取得等に伴う労使間の紛争等について、都道府県労働局長による紛争解決の援助及び調停委員による調停制度 (平成22年4月1日施行)を設置
- 勧告に従わない場合の公表制度及び報告を求めた場合に報告をせず、又は虚偽の報告をした者に対する過料の創設。法違反に対する勧告に従わない企業名の公表制度や、虚偽の報告等をした企業に対する過料の制度を設置。
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