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第4回
2018/09/25

ハラスメントはどんな罪になるの?

ハラスメントは、人の尊厳を傷つける、あってはならない行為です。ハラスメントはどのような罪に問われ、加害者にはどのような制裁が課されるのでしょうか?また、このようなハラスメントを防げなかった職場の側も、なにかしらの責任を問われるのでしょうか?
一般に誰かに危害を加えた加害者の法的責任としては、暴行や脅迫などの行為であれば、刑法に照らして刑事責任が問われ、裁判を経て刑事罰が科せられるほか、被害者に対する民法上の賠償責任が問われます。これは、職場内での出来事についても同様です。
それでは、職場内のハラスメントはどのような罪にあたり、加害者にはどのように責任が問われるのでしょう。
職場内で職員が、他の職員に対してハラスメント行為を行った例を考えてみます。多くの職場では就業規則でハラスメント行為を禁じ、懲戒の対象としています。加害者である職員はまず、組織内では、ハラスメント行為について、職場の就業規則などに基づく懲戒処分の対象になります。被害者からは、被害者の尊厳、名誉、プライバシーなどの人格権を侵害したことなど(不法行為責任(民法第709条))について民事上の賠償請求、つまり、慰謝料を含む損害賠償を請求される可能性があります。さらに、被害者に対して性的な評価やうわさを広めた場合などには名誉毀損罪や侮辱罪などの刑法上の罪に問われ、起訴されれば、裁判を経て刑事罰が科されます。
ここで職場の側は、加害者である職員の不法行為について使用者責任(民法第715条)を負うことがあります。また、被害者である職員が危害を加えられ、あるいは心身の健康を害したり、最悪の場合には自死してしまったなどの場合には、使用者が労働者に対し労働契約上負っている安全配慮義務違反(民法第415条)が問われることがあります。いずれの場合にも、民事上の賠償責任を負う可能性があります。職場の側も紛争の当事者となる可能性があるため、多くの職場では、普段から組織的な予防対策、発生時の対策、さらに被害者への継続的な支援の仕組みの構築に取り組んでいます。
皆さんもぜひ、職場のハラスメント対策を知り、職場の一員として取組みに参加してください。