生涯学習支援

島田珠美さん(神奈川県)

協会ニュース2018年3月号 連載:特定行為研修 修了看護師活動レポート

あらゆる場、あらゆる人への看護に活かす 最終回

島田珠美さん
療養通所介護まこと、川崎大師訪問看護ステーション

島田珠美さん

全国でも有数の初詣客が訪れる川崎大師。その門前町にあたる地域で、島田珠美さんは医療依存度の高い人々の在宅療養を支えている。

看護師が今以上の役割を担えれば

訪問看護に携わって20 年超のキャリアを持つ島田さん。多くの利用者の在宅療養を支えてきたが、医療処置などのために無理を押して通院したことで状態が悪化する例も少なくなく、利用者・家族の通院による負担を痛感していた。そのようなたび、看護師が治療にもっと関わり役割を広げることで、受診の負担を減らしたり、個々の利用者の生活に合った治療が実現できるのではないかと感じていた。

こうした課題の解決に結び付くのではないかと、2009年に島田さんは国際医療福祉大学大学院に開講したナース・プラクティショナー養成分野に1期生として入学し、11年に修了した。15年の特定行為研修制度の施行に伴い、同大学院は指定研修機関となり、翌16年2月には特定行為研修の修了証を得ている。

大学院では、臨床推論や臨床薬理学など医学的な知識を体系的に学び、治療の捉え方や医師の考え方の理解が深まった。大学院修了は、習得したアセスメント力や技術を生かし、利用者の状態の見極めや気管カニューレの交換、褥瘡(じょくそう)の壊死組織の除去といったタイムリーな処置を通し、在宅療養の継続を支えてきた。

医療依存度が高い人々の居場所づくり

島田さんは現在、母体である医療法人誠医会の訪問看護部門の統括所長と併せ、新たに立ち上げた療養通所介護「まこと」の管理者を務める。重度の障害があり、医療依存度が高い人々が安全・安心に過ごせる居場所を提供したい、子どもの成長発達を支える場を提供したいと、16年夏に開設した。

「まこと」は現在、川崎市内で唯一の多機能型療養通所介護で、介護保険サービスの療養通所介護に加え、障害福祉サービスの生活介護、児童発達支援、放課後等デイサービスの事業指定も受け、2歳から80歳までの利用者が通う。小児を中心に、4割が人工呼吸器を装着、7割弱が気管切開をしているなど、医療依存度が高いために他の事業所では対応できない利用者を迎え、一人一人の心身の状況に合わせてサービスを提供する。

医療依存度が高く、身体状況が変化しやすい人々にも安全かつ快適な入浴の機会を提供したいという思いから、特に力を入れているのが入浴サービスだ。医療機器の着脱や創部の処置、身体状況の変化の観察など、医療と生活の両面から支える看護師の専門性が発揮できる場面であり、利用者や家族にも好評だ。

現在は管理的な立場のため、直接的なケアに関わる機会は多くないが、ニーズがあれば特定行為を実施できるよう手順書も整備し、褥瘡の壊死組織の除去なども行う。さらに、大学院で培った高いアセスメント能力を生かし、スタッフへの助言や指導にも力を入れる。訪問看護STのスタッフから依頼があれば同行し、利用者の状態を直接確認したり、ケアについて助言することもある。

スタッフの信頼は厚く、「島田さんに相談すれば的確な助言が得られるので、医療依存度の高い方が住み慣れた地域で暮らすのを支援できている」と話す看護師もいれば、訪問看護STのケアマネジャーである倉持里津子さんも「何が起きているかを漠然とした印象でなく、客観的な指標で説明してくれる」と、身体状況のアセスメント能力と起こり得ることを予測しながら介入する姿に信頼を寄せる。「島田さんのような看護師が在宅療養の場にいることで再入院を減らせているのだと思う」とも話す。

お大師様が見守る街で、確かな知識と技術を持った看護師が、より安全・安心に在宅療養できる環境をつくろうと今日も奮闘している。