生涯学習支援

日本看護協会の考え・活動方針

2015年3月13日、日本看護協会は「特定行為に係る看護師の研修制度」に対する基本的な考え方と今後の活動についてニュースリリースを配信しました。

特定行為研修制度に対する本会の考え方

2014年の保健師助産師看護師法の改正により「特定行為に係る看護師の研修制度」が創設されました。本制度を活用して、看護師の専門性をさらに発揮し、少子超高齢社会における国民のニーズに積極的に応えていくことが本会の基本的な考え方です。在宅医療などの推進に向け、看護師に期待される役割を発揮できるよう本制度の活用を推進していきます。

基本的な考え方

  • 本制度を活用し、看護師の専門性をさらに発揮し、少子超高齢社会における国民のニーズに積極的に応えていく。
  • 本制度創設の趣旨を鑑み、在宅医療等の推進に向け、それぞれの活動場所で求められる看護師の役割をさらに発揮できるよう、本制度の活用を推進する。

活動方針

  • 本制度の意義は特定行為のみを行うのではなく、看護の関わりの中で特定行為も含めた医療を提供することであり、本研修を修了した看護師が看護の専門性を発揮した活動を展開できるよう研修を推進する。
    • 本制度を活用した大学院教育の推進
    • 大学院以外での研修の推進(モデルカリキュラムの公表、研修実施など)
  • 特定行為は難易度の高い診療の補助行為のため、実施にあたっては、安全性の担保ができるよう研修を必ず受講することを推進する。

本制度の下で行われる特定行為研修は、特定行為のみを行うのではなく、病態の変化や疾患を包括的にアセスメントする能力や、治療を理解し安全に医療を提供する能力を身に付けるため、看護を基盤に、さらに医学的知識・技術を強化する内容が特徴です。

現時点での特定行為は38行為、特定行為区分は21区分ですが、今後追加する行為について、速やかな議論再開を期待しています。

本制度の創設過程で実施された養成調査試行事業修了者の所属施設での業務等試行は、研修を受けた看護師が手順書を使うことで、医師の指示を待たずに、特定行為を安全に実施できることを実証しました。また、研修を修了した看護師が看護の専門性をさらに発揮し、チーム医療推進に貢献するには、看護部単独でも医局単独でもなく、施設全体で本制度の活用に取り組むことが重要であると示唆されています。

看護師の専門性の発揮に資する特定行為研修の推進に向けて

特定行為研修は、厚生労働省が指定する研修機関で特定行為区分ごとに実施されます。いずれの区分でも、(1)臨床病態生理学(2)臨床推論(3)フィジカルアセスメント(6)医療安全学(7)特定行為実践の7教科目からなる共通科目(計315時間)は必修です。さらに追加される区分別科目は15〜72時間の幅で、21区分全体では計766時間です。研修は、講義と演習および実習から構成され、研修機関によって、講義は一部eラーニングが選択可能です。

指定研修機関への申請準備に際しては、省令・施行通知の基準を満たすとともに、教育目標や育成する看護師像を明確化し充実を図ることが重要です。例えば、看護の専門性を発揮し地域のニーズに応える看護師の育成や、患者の負担軽減とメリットを考える看護師育成を目的とするなど、特定行為の習得のみならず、アセスメントや判断力が強化され、看護の関わりの中で能力が発揮されることの意義も教育されることが必要です。

本会は2015年10月1日付で指定研修機関の指定を受け、本会で行った養成調査試行事業の修了者を対象に特定行為研修を実施しました。2016年度以降は認定看護師対象の特定行為研修を実施しています。

また、特定行為が判断の難易度が高い、あるいは技術の難易度が高いことから、特定行為を実施する際は必ず研修を受講することを推進します。
難易度が高いと考えられる診療の補助行為は、施設独自の教育・指導では限界があります。加えて、診療の補助に該当するかが明らかになっていない行為についても、この機会に医療施設などでの実施状況や課題を明らかにし、安全性を向上させる取り組みが積極的に進むよう期待しています。

本会は、特定行為研修を修了した看護師が、暮らしと医療を切り離さずにその人らしく生きることを支えるために、看護の専門性を発揮し、手順書を用いて医師の判断を待たずに病態を判断して、特定行為を含む医療を提供することで、これまで以上に医療・看護をより良い方向に導いていけると考えます。そのために本制度の活用を推進していきます。