世界患者安全の日
9月17日は、世界患者安全の日です。患者安全を促進することへの人々の意識・関心を高め、国際的な理解を深めるとともに、加盟国間の連携や行動に取り組むことを目的として、2019年のWHO世界保健機関の総会において、9月17日を世界患者安全の日とすることが制定されました。本会は2020年度から本キャンペーンに参画しています。
2026年度
キャンペーンテーマ
Safe care for noncommunicable diseases
キャンペーンスローガン
Safe care for life!
9月8日(火曜日)~23日(水曜日)には、本会ビル(東京・表参道)をキャンペーンカラーのオレンジ色にライトアップし、患者安全に対する国民の意識向上につながるよう呼びかけていきます。
日本看護協会ビル ライトアップ・タペストリー

非感染性疾患について
2026年の「世界患者安全の日」では、“noncommunicable diseases” (以下、「非感染性疾患」)に関連する患者安全上の課題について世界的な認識を高めることなどを目的に、当該キャンペーンテーマおよびスローガンが掲げられました(※1) 。
WHOによると、非感染性疾患は慢性疾患とも呼ばれ、長期にわたり持続する傾向があり、遺伝的、生理的、環境的、行動的要因が複合的に作用して発症します。主な種類には、心血管疾患(心臓発作や脳卒中など)、がん、慢性呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患や喘息など)、糖尿病があります(※2) 。
非感染性疾患に関する国内外の現状
世界では、2021年に少なくとも4,300万人が非感染性疾患によって死亡しており、その82%は低・中所得国で発生したと報告されています(※2)。
日本では、1961年に開始された国民皆保険制度のもと、平均寿命の延伸や保健医療水準の向上を実現してきましたが、厚生労働省のデータによると、近年は悪性新生物や心疾患などが死因の上位を占めており、全死亡者における非感染性疾患の割合は増加傾向にあります(※3)。

令和7(2025)年人口動態統計月報年計(概数)の概況「結果の概要」(厚生労働省)を加工して作成
非感染性疾患に対するわが国の取り組み
こうした疾病構造の変化を背景に、現在、わが国では、「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」をビジョンとする「健康日本21(第三次)」が推進されています。そこでは、栄養・食生活、身体活動・運動、休養・睡眠、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善とリスク要因の低減に加え、こうした生活習慣の定着などによる、がん、生活習慣病(NCDs:非感染性疾患)の発症予防、合併症の発症や症状の進展などの重症化予防に関して、引き続き取り組む方針が示されています(※4)。
わが国の非感染性疾患における患者安全上のリスク
生活習慣を含む複合的な要因によって生じる非感染性疾患は、長期にわたる継続的な治療や療養が必要となります。そのため患者は、仕事や家事などの日常生活を送りながら、適切な体調管理や服薬、定期的な通院を継続することが求められます。自己判断による治療や服薬の中断、不適切な体調管理、または必要な支援が十分に得られない状況は、症状の悪化などにつながり、患者安全を損なう要因となります。
また、わが国では、成人の約3割、高齢者(65歳以上)の6割以上がマルチモビディティ(多疾患並存)の状態にあるとの報告があり、加齢に伴い、複数の慢性疾患を有する者が増加しています(※5)。複数の疾患を有する場合、その分、受診や検査、服薬、治療に伴う負担などが増加し、さらには、複数の医療機関や診療科、多職種が関わりながら医療・ケアが提供されることになります。しかし、特定の疾患や側面のみに着目すると、医療やケアの連携が不十分となり、情報共有の不足や治療方針の不一致、薬剤管理上の問題などが生じやすくなり、患者に危害が及ぶリスクが高まります。
これらのことから、非感染性疾患を有する患者に対しては、患者を包括的に捉え、多面的な視点から切れ目なく支援を行うことが、患者安全の推進において重要です。
非感染性疾患を有する患者の患者安全推進に向けた看護への期待
患者安全を推進する上で、「医療の視点」と「生活の視点」の双方から人々を支える看護の強みを活かすことは、今後ますます重要となります。たとえば、複数の非感染性疾患を有する患者では、服薬する薬剤の種類や方法が複雑になり、投与間隔の誤りや、飲み間違い、飲み忘れなどの服薬過誤が生じるリスクが高まります。このような状況で安全に服薬を継続できるよう支援するには、患者個々のライフスタイルや生活環境、認知機能、身体機能など、さまざまな要素を包括的に捉えることが不可欠です。そのため、人々の最も身近にいる医療専門職である看護職には、これらの要素を適切にアセスメントし、患者の生活背景などを踏まえた個別性のある支援を提供することが求められます。
また、患者が複数の非感染性疾患を有する場合には、患者情報や治療方針などを複数の診療科や職種が共有しながら、安全で質の高い医療やケアを提供する必要があります。そのため、それぞれの専門性や活動を横断的に把握し、必要な医療やケアが適時・適切に提供されるよう調整する多職種連携のキーパーソンとしての役割発揮が看護職には求められます。さらに看護職は、医療だけでなく、介護や福祉の領域との連携にも深く関わっています。患者が非感染性疾患を抱えながらも地域で安全に療養生活を送るためには、介護職や福祉職などの多職種や地域の関連機関とも連携し、病院から地域へと切れ目のない支援を提供することも、患者安全の推進において一層重要となります。

9月17日の「世界患者安全の日」を機に、患者へより安全な医療やケアを届けるために私たちにできることは何かを改めて考え、それぞれの立場で取り組めることから実践していきましょう。
(2026年9月3日掲載)
- 【参考】
- ※1 WHO:Home>Newsroom>Events>Detail>World Patient Safety Day, 17 September 2026: "Safe care for noncommunicable diseases"
- ※2 WHO:Home>Newsroom>Fact sheets>Detail>Noncommunicable diseases
- ※3 令和7(2025)年 人口動態統計月報年計(概数)の概況「結果の概要」(厚生労働省)
- ※4 健康日本21(第三次)推進のための説明資料(厚生労働省)
- ※5 Aoki T, et al:Multimorbidity patterns in relation to polypharmacy and dosage frequency: a nationwide, cross-sectional study in a Japanese population. Sci Rep, 8: 3806,
※1~4は、2026年8月17日に確認
世界患者安全の日に関するリンク
2025年度
キャンペーンテーマ
“Safe care for every newborn and every child”(すべてのこどもに安全なケアを※)
※訳:公益社団法人日本看護協会 看護開発部看護業務課
実施内容
- 医療過誤原告の会、患者・家族と医療をつなぐNPO法人架け橋の2団体と、公益社団法人日本助産師会、公益財団法人日本訪問看護財団、一般社団法人全国訪問看護事業協会、全国保健師長会、一般社団法人日本小児看護学会および本会の看護系6団体による協働でポスターを作成
- 日本看護協会ビル(東京・表参道)のライトアップ:2025年9月8~22日
- SNS(日本看護協会X/Facebook)による周知
- 「協会ニュース」8・9月号による周知・報告
- こどもの患者安全推進に関する取り組み事例の紹介(詳細は下記をご参照ください)
患者安全推進への取り組み事例
事例3:小児における重大なベッド転落減少への取り組み

地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立小児医療センター
こどもの小児用ベッドからの転落事故を受けて、看護管理者を中心とするワーキンググループを立ち上げ、師長・副師長らが病棟の定期ラウンドを開始しました。
そこで、小児用ベッドからの転落事故につながる危険性について意見を出し合い、これまでの対策を見直しました。こどもの行動を制限するのではなく、こどもの権利を尊重し、成長・発達を妨げずにベッドからの転落を防止する取り組みについて紹介します。
事例4:NICU・GCUにおける災害支援体制の強化

社会福祉法人聖隷福祉事業団 総合病院 聖隷浜松病院
同院のNICU・GCUでは、新生児の安全を確保するため、いつ発生するか分からない災害に備えて災害支援体制の整備や防災訓練にスタッフ全員で日常的に取り組んでいます。
2024年度
キャンペーンテーマ
“Improving diagnosis for patient safety”(患者安全のための診断の改善※)
キャンペーンスローガン
“Get it right, make it safe!”(正しく理解し、安全の確保を!※)
※訳:公益社団法人日本看護協会 看護開発部看護業務・医療安全課
実施内容
- 医療過誤原告の会、患者・家族と医療をつなぐNPO法人架け橋の2団体と、公益社団法人日本助産師会、公益財団法人日本訪問看護財団、一般社団法人全国訪問看護事業協会、全国保健師会および本会の看護系5団体による協働でポスターを作成
- 日本看護協会ビル(東京・表参道)のライトアップ:2024年9月9~20日
- SNS(日本看護協会X/Facebook)による周知
- 「協会ニュース」8・9月号による周知・報告
2023年度
キャンペーンテーマ
“Engaging patients for patient safety”(患者と取り組む安全の確保と向上※)
キャンペーンスローガン
“Elevate the voice of patients!”(患者の声を高めよう!※)
※訳:日本看護協会 看護開発部看護業務・医療安全課
実施内容
- 医療過誤原告の会、患者・家族と医療をつなぐNPO法人架け橋の2団体と、公益社団法人日本助産師会、公益財団法人日本訪問看護財団、一般社団法人全国訪問看護事業協会、全国保健師会および本会の看護系5団体による協働でポスターを作成
- 日本看護協会ビル(東京・表参道)のライトアップ:2023年9月8~19日
- SNS(日本看護協会X / Facebook)による周知
- 「協会ニュース」8・9月号による周知・報告
2022年度
キャンペーンテーマ
“Medication Safety”(安全な薬剤療法)
キャンペーンスローガン
“Medication Without Harm”(害のない薬剤療法)
実施内容
- 公益社団法人日本助産師会、公益財団法人日本訪問看護財団、一般社団法人全国訪問看護事業協会、全国保健師長会および本会の看護系5団体で協働し、キャンペーンポスターを作成
- 日本看護協会ビル(東京・表参道):2022年9月9〜18日
- SNS(日本看護協会Twitter/Facebook)による周知
- 「協会ニュース」8・9月号による周知・報告
- 患者安全推進に患者参画を促すための取り組み事例の紹介(詳細は下記をご参照ください)
患者安全推進への取り組み事例
事例1:介護施設における利用者・家族の参画と多職種連携による利用者の安全確保

社会福祉法人いずみ会 特別養護老人ホームリンデンバウムいずみ(秋田県)
介護施設における利用者の安全を守るために、職員・利用者・家族が一緒に利用者の安全確保に参画できるようにマネジメントを行い、利用者・家族の考えも考慮した安全確保に多職種で取り組むようになりました。(2022年9月16日掲載)
事例2:薬剤関連のインシデント防止に対する組織的な取り組み

株式会社麻生 飯塚病院(福岡県)
内服薬飲み忘れなどのインシデントに対して、薬剤部と病棟のセーフティマネジャーによるワーキンググループや、飯塚病院の特長的な活動の一つであるTQM活動サークルが、組織的な取り組みを行いました。その中で試行錯誤して完成させた「未実施防止カード」を活用したことで、看護職以外の職種や患者も巻き込み、内服薬飲み忘れ防止へと繋がりました。
2021年度
キャンペーンテーマ
“Safe maternal and newborn care"(安全な妊産婦と新生児のためのケア)
キャンペーンスローガン
“Act now for safe and respectful childbirth!"(今こそ、安全で尊重された出産を!)
実施内容
- 一般社団法人 日本助産学会、公益社団法人 日本助産師会、および本会の助産関連3団体で協働し、キャンペーンポスターを作成
- 日本看護協会ビル(東京・表参道):2021年9月10〜20日
クリスタルコーンのオレンジ色ライトアップ
タペストリー・キャンペーンポスターの掲示 - SNS(日本看護協会Twitter/Facebook)による周知
- 「協会ニュース」8・9月号による周知・報告
2020年度
キャンペーンスローガン
“Safe health workers, Safe patients”(患者も、医療従事者も。みんなで守る医療安全)
キャンペーンアクション
“Speak up for health worker safety!”(医療従事者の安全のために積極的に声を上げよう!)
実施内容
- 日本看護協会ビル(東京・表参道):2020年9月17〜30日
クリスタルコーンのオレンジ色ライトアップ
タペストリー・キャンペーンポスターの掲示 - 本会公式Webサイト上に会長メッセージ動画および患者安全に向けた本会の取り組みに関する動画公開
- SNS(日本看護協会Twitter/Facebook)による周知
- 「協会ニュース」9月号、および機関誌「看護」11月号医療安全TOPICS記事による周知・報告
組織の安全向上に向けた情報 関連ページ
- 薬剤誤投与への対策
- 世界患者安全の日
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- 日本看護協会 看護開発部 看護業務・医療安全課
- TEL
- 03-5778-8548
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