メンタルヘルスケア

メンタルヘルスケアの基本的考え方

ストレスの原因となる要因は、仕事、職業生活、家庭、地域などに存在しています。心の健康づくりは、労働者自身がストレスに気付きこれに対処する、セルフケアの必要性を認識することが重要です。しかし、職場に存在するストレス要因は、労働者自身の力だけでは取り除くことができないこともあり、労働者の心の健康づくりを推進していくためには、事業者によるメンタルヘルスケアの積極的推進が重要です。労働の場における組織的かつ計画的な対策の実施は大きな役割を果たすものであると考えられます※1

メンタルヘルスケアは大きく2つに分けられ、労働者を対象としたものは、さらに2つに分けられます。

  • 労働者を対象としたもの
    • メンタルヘルス不調者への対応(ハイリスクアプローチ)
    • 全労働者への対応(ポピュレーションアプローチ)
  • 職場環境等を対象としたもの

【引用文献】

1. 厚生労働省:「労働者の心の健康の保持増進のための指針(2006年)」

看護職のストレス

メンタルヘルスについて、看護職はハイリスクグループといわれていますが、現場ではまだまだ十分なケアができていないのが実情です。

職業性ストレスの職種差を検討した研究において、看護師は他の職種に比べ、量的労働負荷(仕事量)や労働負荷の変動(仕事量の変動)が大きいといわれています※2。さらに、仕事のコントロールに関しては、他の専門技術職や事務職に比べて低いという報告があります※3。職業性ストレスにおいては、仕事量が多く、仕事のコントロールが低い組み合わせの場合に、ストレスが高まり疾患発生の危険性が高くなるとされています※4

実際、厚生労働省が発表している「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況 (平成26年度結果)」によると、看護職を含む医療・福祉(医療業)は、精神障害の労災請求件数の多い職種(大分類)の第2位を占めています(1位は社会福祉・介護事業)。さらに、請求件数の多い職種(中分類)では、保健師助産師看護師は過去5年間を通じてワースト10に入っています

 

【参考】精神障害の労災補償状況(平成22〜26年度)

また、看護職特有のストレッサーの具体的内容としては、仕事内容による緊張感(例. 人命に関る仕事など)、チーム医療に関すること(例. 看護師に対する医師の理解不足など)、労働環境に関すること(例. 時間に追われる仕事、仕事量が多く時間外勤務が多い、交代制勤務で生活が不規則になるなど)、患者・患者家族との関係に関すること(例 無理な要求をされる、威圧的な態度を取られるなど)などさまざまなものが指摘されています※5〜7。心身の健康に影響を及ぼす過重労働の原因としては、主に労働時間が問題視されていますが、看護職においては、労働時間以外にもこのようなさまざまな要因により過重な労働が生じる可能性が考えられます。

【引用文献】

  • 2. 原谷隆史、川上憲人、荒記俊一:職業性ストレスの職種差―日本語版NIOSH職業性ストレス調査票を用いた3調査の解析―, 産業衛生学雑誌, vol38, S267, 1996.
  • 3. 三木明子、原谷隆史 他:医療従事者(医師および看護職)のストレスとその問題点、 労働省平成10年度「作業関連疾患の予防に関する研究」, 労働の場におけるストレスおよびその健康影響に関する研究報告書, 1999.
  • 4. Karasek RA.:Job demand.job decision-latitude、and mental strain:implications for job redesign, Adm Sci Q, 24, 285-308, 1979.
  • 5. 原谷隆史:看護婦のストレス、ストレス科学、12(4), 17-18, 1998.
  • 6. 森俊夫、影山隆之:看護者の精神衛生と職場環境要因に関する横断的調査, 産業衛生学雑誌, 37(2), 135-142, 1995.

7. 足立はるゑ、井上眞人、井奈波良一:看護職のストレスマネジメントに関する研究―ストレス・ストレスコーピング尺度(SSCQ)の看護職への適用―, 産業衛生雑誌, 47, 1-10, 2005.

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メンタルヘルスケアに取り組むために

ここでは事業者と個人それぞれが行う取り組みについて説明します。

組織での取り組み
個人での対応(セルフケア)

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