看護職の労働安全衛生
パワーハラスメント対策の推進
2020年6月1日から、職場におけるパワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられました(中小企業主※は2022年4月1日から義務化、それまでは努力義務)。これに先立って、厚生労働省から具体的な指針が示されています。
事業主は、職場におけるパワーハラスメントを防止するための対策を講じる必要があります。また労働者には、ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うなど、労働者自身もパワーハラスメントがない職場づくりに参画することが求められています。
なお、派遣職員や業務委託先の職員、実習中の看護学生など、同じ職場で働く人へも同様に、防止対策に取り組むことが望ましいとされています。
また、本会が国に要望してきた看護職員に対する患者・家族等からのハラスメント対策の法制化は見送られましたが、顧客からの迷惑行為について事業主が取るべき望ましい対応については、指針で示されました。医療現場における患者・家族等から看護職員への暴力・ハラスメント対策については、令和元年度厚生労働科学研究において実態把握と対策マニュアルの作成が進められています。新しい情報については今後もお届けします。
職場におけるパワーハラスメントの定義や事業主が講ずべき対策の具体的な内容については、厚生労働省より示されています。詳細につきましては、下記リーフレットやポータルサイトをご確認ください。
- 医療・福祉(サービス業)では、①資本金の額または出資の総額が5,000万以下、又は②常時使用する従業員の数が100人以下の事業主を指します。
厚生労働省リーフレット
2020年(令和2年)6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されます!
厚生労働省パンフレット
職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました! 〜 セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに対応をお願いします 〜
厚生労働省 ポータルサイト
看護職の健康と安全に配慮した労働安全衛生ガイドライン
日本看護協会は「看護職が生涯を通じて安心して働き続ける環境づくりの推進」を理念の1つに掲げ、実現に向けた事業に取り組んでいます。
ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)づくりのノウハウを1冊にまとめました!
2018年3月、「看護職の健康と安全に配慮した労働安全衛生ガイドライン ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)を目指して」(以下、ガイドライン)を公表しました。
看護職が生涯を通じて健康に働き続けられるために、業務上の危険の理解とその対処、心身ともに健康な状態で看護にあたるための健康づくりの2つの視点を持ちましょう。そして2つの視点を両輪として、あなた自身の職場環境を健康で、持続可能なものにしていきましょう。
- 「はじめに」看護職が生涯を通じて健康に働き続けるために
- 「第1章」こんな職場で働きたい! 「ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)を目指して」
- 「第2章」業務上の危険から看護職を守る(安全な職場づくり)
- 「第3章」生涯を通じて健康に働くために(健康づくり)
- 「第4章」参考情報・資料
日本看護協会ニュース2018年3月号別刷り付録のダウンロード
ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)づくりを全国に広げるため特設WEBサイトをオープン
「ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)」づくりを広く皆さんに知っていただくため、特設のWEBサイトをオープンしました。
ヘルシーワークプレイスに関するコラムやクイズなどもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
「ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)」特設WEBサイト
- ヘルシーワークプレイスとは
- 取り組み宣言施設の紹介
- コラム
- 健康や業務上の危険に関するクイズ
- 看護職の健康づくりに関するサイト
- キャンペーンポスター
看護職の健康をおびやかす業務上の危険(ハザード)と対策
看護職の就業環境には、下記のようなさまざまな危険があります。これらの業務上の危険への対処がうまくいかない場合には、体調不良や病欠、離職につながることもあります。しかし、適切に対応すれば業務上の危険を回避し、または減らすことができます。下記に看護職の心身の健康に影響を及ぼす業務上の危険(ハザード)とその対策をご紹介します。
看護職の心身の健康に影響を及ぼす業務上の危険(ハザード)
- 生物学的要因
- 物理的要因
- 化学的要因
- 人間工学的要因
- 交通移動要因
- 勤務・労働時間要因
- 心理・社会的要因
看護職の心身の健康に影響を及ぼす業務上の危険(ハザード)の具体的な内容、組織・個人での対策のポイントは下掲PDFファイルからご確認ください。
業務上の危険(ハザード)と対策のポイント
労働安全衛生の対策について
下記では、看護職の業務上の危険(ハザード)に関して具体的な対応策や情報などを紹介します。ぜひ、ご活用ください。
- 労働者の感染管理(2016年4月7日更新)
- 化学的・物理的な有害要因への対応(2019年3月30日更新)
- 抗がん剤に対するばく露防止対策(2016年2月5日更新)
- 腰痛予防対策指針について(2017年9月12日更新)
- 医療現場での暴力対策(2018年8月23日更新)
- 職場のハラスメント対策(2019年9月6日更新)
- メンタルヘルスケア(2018年8月23日更新)
あわせて、「看護職の健康と安全に配慮した労働安全衛生ガイドライン 〜ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)を目指して」の第4章「参考情報・資料リスト」もご参照ください。
第4章「参考情報・資料リスト」
労働安全衛生法とは
安全な医療の提供は医療機関の責務です。個人の注意や努力はもちろん必要ですが、わずかなミスが大きな事故につながらないような体制づくりが重要です。看護職が健康で安全に働くことができて初めて、患者さんの安全が守られ、質の高い医療・看護を提供することができるのです。職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成、すなわち労働災害を防止するための法律が「労働安全衛生法」です。
労働安全衛生法に基づいた事業主の役割
事業主は、労働安全衛生法に基づいて、以下の措置を講じる必要があります。
- 安全衛生管理体制を確立するため、事業場の規模等に応じ、安全管理者、衛生管理者及び産業医等の選任や安全衛生委員会等の設置が必要です。
- 事業主は、労働者の危険または健康障害を防止するための措置を講じる必要があります。
- 機械、危険物や有害物等の製造や取扱いに当たっては、危険防止のための基準を守る必要があります。
- 労働者の就業に当たっては、安全衛生教育の実施や必要な資格の取得が必要です。
- 事業主は、作業環境測定、健康診断等を行い、労働者の健康の保持増進を行う必要があります。
- 事業主は、快適な職場環境の形成に努めなければなりません。
職場のリスクアセスメントについて
職場のリスクアセスメントとは、労働安全衛生に関する用語で、職場の潜在的な危険性または有害性を評価し、これを除去・軽減するための手法です。看護職が働く病院などの医療や介護の現場には、転倒や針刺し、腰痛などさまざまな労働災害の危険が潜んでいます。 リスクアセスメントの実施は、医療現場に潜む労働災害のリスクを知り、事前に事故・災害を防止するために有効です。
厚生労働省が発行している「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(1999年発行、2006年改正)」には、「危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置」として、リスクアセスメントなどの実施が明記されており、2006年(平成18年)に、その実施が労働安全衛生法により努力義務化されました。また、その具体的な進め方については、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」が公表されています。
「労働安全衛生マネジメントシステム」パンフレット(指針掲載、厚生労働省、中央労働災害防止協会、2006)
講習会のご案内
中央労働災害防止協会が実施する「医療機関のためのリスクアセスメント研修」は、医療機関、医療業界、病院などの管理者、職場リーダーなどを対象にしており、医療機関等の労働災害や医療事故の事例紹介、演習などを通じて、リスクアセスメントの必要性や実際の対応方法について学ぶことができます。職場環境改善の一環として、この機会に取り組んでみてはいかがでしょうか。
中央労働災害防止協会
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