協会ニュース2025年3月号

2026年度予算厚労省などへ要望 看護職の労働環境の整備を

日本看護協会は、厚生労働省、文部科学省、こども家庭庁の関係各所に高橋弘枝会長らが訪問し、来年度の予算・政策に関する要望書を提出した。
厚労省の田中佐智子雇用環境・均等局長には3月5日、夜勤・交代制勤務者の負担軽減策の実施など、下記4点について要望。

  • ①夜勤・交代制勤務者の負担軽減策の実施
  • ②顧客等による著しい迷惑行為対策の強化
  • ③育児・介護休業法の改正による育児中の労働者の再就業支援
  • ④ 両立支援等助成金における「深夜業の制限」に関する職場支援の拡充
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少子高齢化の進行と生産年齢人口の減少を背景に、労働負荷の高い夜勤・交代制勤務者の健康確保、育児等と仕事の両立支援、カスタマーハラスメント対策など、再就業や就業継続に向けた施策の推進が不可欠である。特に、医療・看護の現場においては、長時間勤務や夜勤の負担が心身に大きな影響を及ぼし、人材確保や定着にも深刻な影響を与えている。また、患者・利用者との接触が避けられない業務の特性上、迷惑行為やハラスメントにさらされる機会が多く、安心して働ける環境の整備が求められる。
高橋会長は「二交代制を採用する病院が増えており、長時間労働と夜勤が看護職の心身の負担となっている。健康確保のための具体的な方策などを労働時間等設定改善指針に追加していただきたい」と強く要望。また「看護職は業務上、身体的接触が避けられず、カスタマーハラスメントを受けやすい環境にある。実態を把握した上で、国として防止策を強化していただきたい」と訴えた。
田中雇用環境・均等局長は「夜勤の負担軽減は重要な課題である。日本看護協会にも協力いただき、好事例の収集・周知などをしていきたい。また、医療業界におけるカスタマーハラスメントの問題は深刻であり、現在、審議中の法律案が成立次第、具体的な対策を検討する。引き続き連携して進めていきたい」と意向を示した。
各要望の全文は、こちら

 

「分娩取扱施設等における新興・再興感染症対応マニュアル作成ガイド」公表

日本看護協会は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)への対応から明らかになった課題などを踏まえ、分娩取扱施設等において新興・再興感染症拡大への備えを促進することを目的として「分娩取扱施設等における新興・再興感染症対応マニュアル作成ガイド(以下、作成ガイド)」を作成した。作成ガイドの対象は、分娩取扱施設等において周産期領域に携わる看護管理者・助産師・看護師である。

<作成ガイドの構成と内容>

「第1章 感染症の発生の段階に応じた体制整備」

新型コロナ感染拡大を振り返るとともに、感染症の発生の段階に応じて必要な体制整備について解説している。

「第2章 周産期に必要な感染対策」

周産期に特化した感染対策として必要となる視点を解説している。

「第3章 妊産婦への切れ目のない支援のために~新型コロナ流行下の実践事例~」

新型コロナ流行下において、地域の各団体組織や助産師をはじめとする専門職が連携・協働し、それぞれの役割を果たすことで妊産婦のニーズに応え、継続ケアの提供に努めた5つの事例を紹介している。

<作成ガイドの主な特徴>

新興・再興感染症を代表する新型コロナ対策を基に記載している点が、作成ガイドの主な特徴である。また、周産期領域の特殊性から、分娩期と産褥期における感染対策の留意事項についても記載している。新型コロナは誰もが経験した感染症である。未知のウイルスによる急速な感染拡大の中、治療法も確立していないため、妊産婦が感染した場合の影響などについて詳細が分からないまま対峙する状況が続いたが、助産師をはじめとする看護職は、目の前の妊産婦にケアを提供してきた。その体験がいまだ記憶に新しい今、各組織が作成ガイドを参考に当時の経験を振り返ることで、自施設の感染対策を整理できると考えている。

<作成ガイドの活用について>

各施設で作成ガイドを活用し、対応マニュアルを作成する際には、第2章を参照いただきたい。
確認が必要な事項をチェックボックスで対応できるように工夫している。また、対応マニュアルを作成した後には、定期的に内容を見直し、最新データに更新することも必要である。その際には、4頁の「対応マニュアルの作成・運用・見直しの手順」を活用いただきたい。分娩取扱施設等で対応マニュアルの作成が進むことを期待している。

冊子の掲載は3月下旬を予定しています。詳細はこちら

 

2025年「看護の日」イベント「KANGO部!」

これから看護の道を目指す若い皆さんに、看護の魅力を伝えるトークイベントを開催します。「忘れられない看護エピソード」受賞作品の発表や、最優秀賞を基に制作したアニメーションも公開します。

  • 【日時】5月11日(日)14~16時
  • 【会場】WITH HARAJUKUホール
  • 【会場参加方法】①LINEからの申し込み②メールでの申し込み
  • 【オンライン視聴方法】当日、本会HPまたはYouTubeチャンネルでご視聴いただけます(事前申し込みはありません)。

※詳細はこちら