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機関誌「看護」2026年2月号

国際看護師協会 活動報告 第1回理事会

手島 恵
国際看護師協会 第2副会長

米国で危機にさらされる看護専門職

11月25~27日まで国際看護師協会(ICN)の理事会がジュネーブで開催され、会長・理事の全員12名が参加しました。ちょうど開催間際に米国の教育省が専門職の分類を再定義し、「看護学」をリストから外したことが大きな話題になり、ICNとして下記の声明文を出しました(※1)。
「(前略)この問題は特に深刻である。なぜなら大学院レベルの教育は、高度実践看護師の免許取得、安全で質の高い一次医療・専門医療の提供、そして看護教育者・教員の供給基盤の構築に不可欠だからだ。こうした教育へのアクセスを制限することは、高度実践人材の育成を危うくするだけでなく、次世代の看護師を育成して患者ケアを高水準に維持するために必要とされる教員の将来的な供給をも脅かす」
さらに、ホセ・ルイス・コボス・セラーノ会長も次のように述べています(※1)。「この提案は、看護人材、医療成果、患者のケアアクセスに直接影響を及ぼす。大学院レベルの看護教育こそが、高度実践看護師、ナース・プラクティショナー、認定看護麻酔師、クリニカル・ナース・スペシャリスト、認定助産師の高いケアを提供するための基盤であり、彼らは医療過疎地域で唯一アクセス可能な医療提供者であることが多い。ICNが改訂した定義にも示されているように、看護師は高度な教育を受け、厳格に規制された専門職である。高度実践看護師や教育者を含む看護人材が現在および将来の医療課題に対応できるためには、大学院レベルの看護教育が専門職学位として認定され続けることが不可欠である。ICNは、米国看護師協会、大学院教育への公平なアクセスに未来を託すすべての看護師、そして看護師や高度実践看護師に健康を支えられている世界中のすべてのコミュニティと連帯する」米国看護師協会は、今回の提案の即時撤回と、看護学を従来どおり連邦の財政支援を受けられる専門職学位として認めることを求める署名運動を開始しており、これまでに20万人以上の看護師と患者が署名しています(※2)。

※1 ICN supports American Nurses Association in warning against limiting graduate nursing education funding
※2 Nursing IS a Professional Degree

International Lavor Organization(ILO:国際労働機関)へ訪問

11月25日は、理事会が始まるまでの時間、ICNのホセ・ルイス・コボス・セラーノ会長と、シネバ・マリア・リベイロ第1副会長、第2副会長である筆者の3人で、ILOを訪問して情報交換をしました(写真1)。訪問に際しては、2021年のレポート「ケア経済における主要な担い手としての看護職員および家事労働者のためのディーセント・ワークの確保」(※)について事前に確認。これは、第110回ILO総会の報告として2022年に刊行されました。約400ページに及ぶ幅広い内容には、労働権の観点からの虐待・嫌がらせをはじめ、暴力からの効果的な保護、ハラスメントからの法的な保護と仕組みが記されています。今回の訪問で、ILOの看護職員条約(第149号)が作成された1970年代と比べて今の医療を取り巻く環境は、病院中心型から在宅へと大きく変化しており、看護師が1人で対象者の家を訪問することによって生じる潜在的・顕在的リスクなどについても真剣に対応する必要があることを話し、労働者(看護師)保護のために今後のILOへの協力を約束してきました。

Securing decent work for nursing personnel and domestic workers, key actors in the care economy

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