国際情報のページ
機関誌「看護」2026年3月号
第23回国際看護師協会(ICN)アジアワークフォースフォーラム(AWFF)/
第19回アジア看護師協会同盟(AANA)会議の報告
第23回国際看護師協会アジアワークフォースフォーラム
日本看護協会 労働政策部看護労働課
2025年11月12日(水)・13日(木)に、第23回国際看護師協会(ICN)アジアワークフォースフォーラム(AWFF)が中国・北京で開催されました。ICNおよび日本、中国、香港、インド、インドネシア、韓国、マカオ、マレーシア、モンゴル、フィリピン、シンガポール、台湾、タイの看護師協会(NNA)代表者が、看護労働に関する課題などについて情報共有・議論に臨みました。本会からは、秋山智弥会長と淺香えみ子常任理事が参加しました(写真1)。
1)看護労働に関する世界的な動向と課題
ICNのハワード・カットン事務局長は、2025年5月の世界保健機関(WHO)世界保健総会において、「看護と助産のグローバル戦略の方向性2021-2025」(SDNM)が、2030年まで延長されたことなどを紹介しました。こうした動きを契機として捉え、SDNMなどを根拠に、看護師協会が政府などに対し看護分野への投資を積極的に求めていくよう呼びかけ、さらにICNとしてもサポートに努めると連携の姿勢を示しました。また、2024年に実施した各NNA会長へのアンケート結果から、看護現場における暴力やメンタルヘルスへの対策不足が示唆されたとし、十分な対策を講じて看護職のウェルビーイングを促進する必要があることを強調しました。加えて、紛争地帯において人道法で守られるべき病院などが被害を受けていることに対し、人道的配慮や看護職の権利尊重を訴え続ける必要性を述べるとともに、紛争地域でのICNの活動として、ICN人道基金を活用したウクライナの例が紹介され、募金拠出を通じて特に多大な貢献を行った本会および日本の看護職への謝意が示されました。
次いで、AWFF参加国・地域を管轄するWHO南東アジア地域事務局の谷水亜衣看護・助産テクニカルオフィサー(ビデオメッセージ)および西太平洋地域事務局の穴見翠ナーシングオフィサーからは、アジア地域における看護の諸問題について報告がありました。アジア地域では、自然災害や媒介性感染症への対応機会が増えていることから、災害看護への注力が呼びかけられました。また、看護政策の実現に向けては、リーダーシップを発揮できる人材の重要性が強調され、各国・地域におけるCNO(政府内の看護官)ポスト設置の意義や、その役割への期待が語られました。
2)アジア圏共通の看護労働に関する課題と各NNAの取り組み
参加したNNAからの報告では、少子高齢化や処遇の低さを背景とした潜在看護職員の増加、他産業への人材流出への危惧など、慢性的な看護職員不足が共通の課題として挙がりました。本会からは、日本における看護労働環境などの現状と課題を共有しました。
看護職員の確保においては、量だけでなく質の向上や存在価値を高めることも重要であり、基礎教育制度の改革や高度実践看護師の養成に積極的に取り組む国も多くありました。また、看護に特化した法的枠組みである「看護法」の制定(韓国)や、医療従事者の勤務時間の上限を引き上げる政府案の阻止(マレーシア)など、NNAとICNの連携により実現した看護政策の成果に関する報告もなされました。そのほか、医療DXや看護職の国際移動などについて活発な議論が交わされました。
最後は、2日間の議論を踏まえ、看護の未来を形づくる上で、革新、技術、リーダーシップの重要性、ならびに処遇改善の必要性を共有し、看護職の価値を社会にアピールし正当な対価を求めていくことなどが共同声明として取りまとめられました。この声明は、ICNウェブサイトで公表されています(※)。
※ International Council of Nurses 23rd Asia Workforce Forum (AWFF) Communiqué
第19回アジア看護師協会同盟(AANA)会議
日本看護協会 国際部
ICN AWFFに続き、11月14日(金)に同会場にて、第19回アジア看護師協会同盟(AANA)会議がマカオ看護師協会の主催で開催されました。日本、インド、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、台湾、フィリピン、香港、マカオ、マレーシア、モンゴルの12協会が参加し、本会からは秋山会長が参加しました。AANAは、ICNが関与しないアジアの看護師協会によるネットワークであり、年に1回会議を開催し、看護師協会が直面する課題の解決に向けて知識や経験の共有、意見交換を行っています。
1)看護師協会による地域連携・ネットワーク構築の取り組み
今回の会議では「地域連携とネットワーク構築」をテーマに、教育や研究、継続的専門能力開発(Continuing Professional Development:CPD)などにおける看護師協会の国内外での連携に関して情報共有と意見交換が行われました。
教育や研究においては、看護師協会が国内外の大学などと連携し、大学院レベルの教育の開始や、エビデンス構築のための看護研究に取り組んでいることが共有されました。CPDに関しては、各国・地域間やASEANなどの枠組みの中で、CPDの相互認証に向けた連携した取り組みが多数の協会より報告されました。また、多くの国でデジタル技術の活用を推進していることが共有され、オンライン学習プラットフォームの拡充や、看護師登録システムの導入による看護師数把握など、看護師協会や国の活動が紹介されました。
本会からは、秋山会長より「看護の将来ビジョン2040」(※)を紹介するとともに、看護管理者の活躍推進、NuPS構築による看護職のキャリア構築支援、東京大学との社会連携講座の開設など本会事業の報告を行いました(写真2)。
2)地域(コミュニティ)での看護師の活動
複数の協会より、高齢化への対応として日本と同様に地域におけるケアへ移行していく状況が報告されました。また、主催協会であるマカオ看護師協会からは、市民の健康改善に重要な役割を担う地域で働く看護師の確保が課題であることが共有され、地域で働く看護師を確保するための各国の施策や、地域の看護師の活動について情報交換が行われました。
本会からは、保健師による保健指導の活動や、地域包括ケアシステムについて報告を行いました。他協会からは、マレーシアにおいて地域のクリニックの看護師や、保健師(public health nurse)による家庭訪問のサービスが、登録料を除き無料で受けられる仕組みが紹介されました。また、シンガポールでは、一度受診した患者が医師の診察を必要としない場合、医師への相談や質問がないことを看護師が確認できれば、看護師による薬の処方が可能であることが紹介されるなど、各国・地域の状況に応じた、地域(コミュニティ)で働く看護師に関するさまざまな制度や活動について情報交換が行われました。
2026年のAWFF/AANA会議は、マカオ看護師協会の主催で開催予定です。
よりよいウェブサイトにするために
みなさまのご意見をお聞かせください

