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2018年

8月号

日本看護協会国際部

国際看護師協会(ICN)各国看護師協会(NNA)会議(5月開催)について

今月は5月17日にスイス・ジュネーブで開催された国際看護師協会(ICN)各国看護師協会(NNA)会議について紹介する。

NNA会議はNNAに関連する重要な問題に焦点を当てること、および世界保健総会(WHA)の議題に関連する各国の成果を把握すること等を目的とし、2006年から2年ごとに開催されている。今会議には、52の会員協会が参加し、ICNの活動状況、看護師の賃金、定着、労働環境およびNursing Now キャンペーンに関する報告と情報共有が行われた。主な内容は以下のとおり。

看護師の賃金

ICNは、本会も参加しているICNワークフォースフォーラム(WFF)、アジアWFFにおいて収集した賃金データを分析した報告書を公表した。分析対象となったデータは、2006〜2016年のフォーラム参加NNAs(アイルランド、インドネシア、英国、オーストラリア、カナダ、韓国、シンガポール、スウェーデン、タイ、台湾、デンマーク、日本、ニュージーランド、フィリピン、米国、香港、マカオ、およびマレーシア)が提供した自国・地域の賃金データである。

ICNは分析を行った結果として、世界経済危機により最低賃金の伸びの低迷が見られたこと、看護師の雇用促進手段として賃金が用いられていないこと、および看護師の専門職としての魅力向上のため、世界の看護師の賃金上昇が必要なことなどを報告した。報告書は、ICNウェブサイト外部リンクに掲載されている。(2018年6月6日アクセス)

看護師の定着

ジェームズ・ブハン教授(シドニー工科大学)が看護師の定着について発表した。「世界各国で看護師不足が課題となっており、解決策としてスキルミックス、定着、他の教育コースの開発等がある。その中でも定着に取り組むことは重要であり、看護師の不要な離職を減少させることで、看護師の定着を改善する必要がある。また、取り組みを行う際は、定着が看護師のケア向上につながることを主眼とし、複数の方策を同時に実施することが重要である」と強調した。

看護師の労働環境

国際労働機関(ILO)より、1977年にILO総会で採択された看護職員条約(第149号/看護職員の雇用、労働条件及び生活状態に関する条約)について説明があった。採択から41年経過するが、看護職の労働条件に関し、現在も採択当時と同様の課題が存在している。現在の批准国は41カ国である。

また、世界保健機関(WHO)は、保健医療従事者の労働安全衛生について発表した。保健医療の職場は、生物学的要因や人間工学的要因など多様なリスクがある。WHOはILOとともに、各国に対して保健医療分野の労働安全衛生プログラムの構築を勧告している。さらに、“HealthWISE”といった看護の労働環境改善に役立つツールも紹介された。

Nursing Nowキャンペーン

2018年2月から開始されたNursing Nowキャンペーンについてナイジェル・クリスプ卿から説明があった。本キャンペーンは、ICNやNNAsが取り組む看護専門職の課題解消という目標とは異なり、“世界の健康を向上する”という大きな目標の下、実施していることが強調された。

  • 本誌3月号p.60、7月号p.20参照
              

ICM West Pacific 代表 谷口初美

第2回ICM年次理事会に出席して

2018年5月29日〜6月1日の4日間、第2回ICM年次理事会がハーグ(オランダ)のICM本部で開催された。理事は全員で13名―地域代表10名とFranka Cadée会長、Mary Kirk副会長、そして財務担当のIngela Wiklundは膝の手術後のため電話での参加となった。

【写真】理事会メンバーと事務局長のSally Pairman、リーダーシップ研修講師のSharon D’Agostino(新ICM本部のテラスにて)

本部は5月25日に、情報のインフラ問題のため2ブロック離れた4階建てビルの最上階に引っ越したばかりであった。スタッフルームと大小のガラス張りのミーティングルーム、キッチン、ルーフテラスが備わり、一段と働きやすい環境が整った。4日間の会議は、早朝から会長やグループとのBreakfast meetingで始まり、リーダーシップ研修とガバナンス、多くの案件の審議と報告、夕食もともにし、意気投合した理事会となった。

紙面の関係上、一部の紹介となるが、ぜひともお知らせしたい情報5点を下記に述べる。

①地域会議・ICM学術集会:
2018年9月6〜8日に開催予定。2017年のICMの評議会で、ICM HO(Head Office:本部)が地域会議・ICM学術集会を企画・運営することになった。WHOの基準に則り、アジア太平洋地域は3つの地域(West Pacific,South East,EasternMediterranean)となった。今年は合同での開催となり、中間地点のドバイ(アラブ首長国連邦)を開催地としたが、当地は物価高のため参加者数を約300名と推定し、会場はMohammed Bin Rashid University of Medicine and Health Sciencesとなった。抄録数は締切前日時点で70題(日本から7題)の応募があり、100題以上を期待している。参加費は早期登録$425USD、学生$250USDとしている。
②第32回ICM3年毎大会:
2020年6月21〜25日にバリ島(インドネシア)のBali Nusa Dua Convention Centerで開催される。評議会は6月17〜19日(2日半)、Regional meetingは6月17日17〜19時と予定されている。抄録受付開始は2018年12月1日から。
③地域レポート:
6地域からの成功例と課題が各地域の助産師会を通じて集約・報告された。成功例としてICMのstandard に基づく助産教育、研修強化、助産師の自律、Twinning Project等が挙がり、課題として、出産の医療化、助産師主導型の出産の難しさ、助産師の減少、出産数の減少等があった。
しかし、言葉の障壁もさることながら各地域のICM会員協会へのアクセスが十分取れないことが一番大きな課題である。また、先進国、開発途上国に限らず、内容にそれほど差異がなかったことも驚きであった。出産の医療化に伴い、ICMは英国のLesley Page 博士に出産のヒューマン化についての声明文書を依頼している。
④外部資金獲得:
ICMは大変な財政難であるが、外部資金(Sonofi Espoir,MacArthur,Bill& Melinda Gates,Laerdal,Johnson&Johnson,UNFPA)を獲得しICM本来の活動をアフリカ、メキシコ地域等で実践し成果を示している。
⑤CM100年史の編集:
元ICM会長等(Joyce Thompson,Joan Walker and Ann Thompson)がセーフ・マザーフッド基金で手がけている。
  • 2カ国(主に先進国と開発途上国)の助産師協会がペアとなって、相手国との情報交換や技術を互いに学び合うプロジェクト