国際情報のページ

2024年

6月号

国際看護師の日

日本看護協会国際部

1965年に、国際看護師協会(ICN)(本部:ジュネーブ)は、近代看護の礎を築いたフローレンス・ナイチンゲールの生誕を記念し、5月12日を「国際看護師の日(International Nurses Day:IND)」と定め、世界中の看護師の献身的な貢献を称える日とした。ICNは、この日に関連文書を公表しており、2024年は看護がもたらす経済力に焦点を当てた。

2024年のINDのテーマ

2024年のINDのテーマは、「Our Nurses. Our Future. The economic power of care.」(図表1)である。ICNは選定の理由について、医療の基幹であるにもかかわらず、看護は財政的制約や社会的過小評価にしばしば直面することから、看護への戦略的投資がいかに大きな経済的・社会的利益をもたらすかを示す必要性を挙げている。また、昨年の“すべての人のためにグローバルヘルスを向上させる上で、ICNが将来の看護に望むこと”を定めた「Our Nurses. Our future.」(※1)と、その際に公表された「変革のための憲章の政策アクション」(※2)についても引き継ぐこととしている。

ケアがもたらす経済効果に関する報告書

ICNは、INDの報告書を公表した(※3)。この報告書では、幅広いステークホルダー(世界銀行、OECD、民間企業、複数の保健医療経済学者)が執筆を行っており、数多くの経済的論拠を提示して看護の専門性を高めることが、医療提供、経済開発、平和、社会の幸福にどのような変革をもたらすかについて詳細な分析を示している。
ICNのパメラ・シプリアーノ会長は、序文で以下のように述べている。「私は、すべての看護師がこの報告書を用いて、政策立案者、雇用主、政治家に対する影響力を高め、看護師の力とそれに伴う経済的利益から誰もが恩恵を受けられるようにすることを強く望む」

看護に係る経済的・社会的繁栄を実現するための提言

報告書に記載された「看護に係る経済的・社会的繁栄を実現するための提言」(仮訳)を以下に示す。

  1. 雇用創出: 看護における適正な雇用創出への投資を促す
  2. 役割と責務の最適化: 適切なスキルを有する看護師の適切な人員配置に投資する
  3. 保健医療サービスの提供と体制化: 良質で手頃な、統合された、人を中心に置いたケアを、サービスが不十分な地域に特に配慮しながら、すべての継続的なケアにおいて提供できるようにする
  4. 教育と能力開発: 看護師が、進化する地域社会の健康ニーズに対応するためのコンピテンシーを身につけられるよう、質の高い教育と継続的な専門職開発の機会を拡大・強化し、その可能性を最大限に発揮できるようにする
  5. 健康とウェルビーイング: 看護師の身体的、精神的、感情的ウェルビーイングの保証と向上に特化した戦略を実施する
  6. リソースと物品: 看護師が持つ役割への要求に応えられるよう、必要なリソースを準備する
  7. 危機および人道的環境: 危機的状況や人道的支援の場など、あらゆる環境下で活動する看護師の安全と安心を保証する


国際看護師協会ICN:International Council of Nurses):
1899年創立の「看護師のために、看護師によって運営される」国際組織で、保健領域においては最大規模かつ最長の歴史を持つ。日本からは日本看護協会が加入している。

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