国際情報のページ
機関誌「看護」2025年6月号
ICN SECN同盟発足および本会代表者について
日本看護協会国際部
聖路加国際病院
ICNによる初の取り組み SECN同盟 (日本看護協会国際部)
国際看護師協会(ICN)(※1)は、国際レベルで世界中の学生およびキャリア初期の看護師の声を届けることを目的に、ICN看護学生・キャリア初期の看護師同盟(Alliance of Student and Early Career Nurses;SECN同盟)を設立した。本同盟設立は2019年から検討されてきたもので、ICNによる各国看護師協会(NNA)へのコンサルテーションを経て実現した。発足に先立ち、各NNAの代表者1名の指名がICNから求められ、本会にて選考した結果、住谷友結氏(聖路加国際病院)を代表者としてICNに届け出た。
代表者の任期は、2025年2月から2027年5月1日までの2年3カ月。任期最後の3カ月間は、次期代表者への引き継ぎ期間となる。住谷氏は、このICN初の取り組みに、代表者として本会と連携しつつ携わる。新たなSECN同盟の取り組みが、今後、国際保健・国際看護領域をめざす人のキャリアの一助となることが期待される。
ICN SECN同盟参加に当たっての抱負 (聖路加国際病院)
2024年12月、筆者はNNAである日本看護協会での選考を経て、ICNのSECN同盟の日本代表に選出された。SECN同盟は、世界中の看護学生やキャリア初期の看護師の声を、国際社会に届けるために設立された枠組みであり、ICNの理事会への助言や国際的な政策提言を行う役割を担っている。本同盟は各NNAと協力しながら、若手看護師の視点を取り入れた政策提言を行うほか、次世代の看護リーダーの育成も担っている。
筆者は聖路加国際大学で看護師免許を取得後、同大学大学院修士課程で国際看護学を専攻。在学中に「第68回国連女性の地位委員会(ニューヨーク)」に日本のユース代表として参加し、「東アジア看護学術フォーラム(EAFONS)2024」などの国際学会で研究発表を行った。また、2024年11月からWHO西太平洋地域事務局(WHO WPRO)でのインターンを経験し、国際保健政策や看護のグローバルな課題について学んだ。これらの経験を生かし、日本の看護の強みや課題を国際社会に発信し、SECN同盟の活動に貢献したい。
①ICN大会に向けた準備
2025年6月、フィンランド・ヘルシンキでICN大会が開催される。本大会では、「医療の質と安全」「アドバンスト・プラクティス・ナーシング:チャンスをつかめ」「次世代の看護師教育」「危機や紛争における看護」などが議論される予定である(※2)。筆者は、日本の看護学生の教育環境やキャリア形成の現状を報告し、他国の代表者と情報交換を行うことで、日本の看護職の発展に寄与したいと考えている。
②日本の看護の特色と課題
日本は国民皆保険制度を持ち、高齢者ケアや在宅医療が充実している点が強みである。一方で、4年制大学での看護教育が一般的でなく、専門性向上のための教育改革が求められている。また、タスク・シフト/シェアの進行に伴い、看護師の役割拡大と適切な教育・研修の整備も急務である。ワーク・ライフ・バランスや給与の問題も、若手看護師の課題として挙げられる。
これらのテーマについてSECN同盟を通じて発信し、他国の成功事例を学びながら、日本の看護の発展に貢献していきたい。この活動により、日本の看護界がよりいっそう発展し、国際的な影響力を持つことを期待している。
※1 ICN公式ホームページ
※2 ICN大会の主要トピックはICN大会ウェブサイトから確認可能 こちら
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