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2020年

7月号

日本看護協会国際部

世界看護状況2020(State of the World’s Nursing 2020)報告書

2020年4月7日世界保健デーに、世界保健機関(WHO)は、世界の看護状況を示す報告書「State of the World’s Nursing 2020」を公表した。WHOはこれまで、保健人材全体に関する世界的な不足、およびSDGsや経済への貢献について述べた報告書を公表してきたが、看護に特化した報告書は初めてである。

本報告書はICNおよびNursing Nowの協力のもと作成され、世界191カ国からデータが提供された。各国の最新データから明らかとなった世界の状況、および各国や関係者が現在の課題を解決し、看護の発展に向けた今後の方向性を定めていくための政策の選択肢が述べられており、看護への投資を獲得するための政策対話に活用されることが期待されている。

また、WHOのウェブサイトには、本報告書とあわせて国別プロファイルが掲載されており、世界各国の状況を比較できるようになっている。

主な結果

本報告書は、21世紀の保健医療システムにおける看護の役割を示し、看護の労働力確保の政策的手段・労働力に係る現状・労働政策の今後の方向性を述べている。主な結果は図表1となる。

政策の選択肢

今後の発展に向け、多くの政策の選択肢が提示された。看護職の定着、労働時間・労働安全・適切な報酬等の労働条件、暴力やハラスメント解消をはじめとし、看護労働力市場の分析に必要なデータの整備、現状を把握できる看護師免許登録簿の保持、看護師が受けた教育内容をすべて用いて働くことができる環境、意思決定の場に参画するためのリーダーシップスキルの育成等である。これらの多くは、本会においても重要な政策として位置づけ、推進している。

結論

本報告書は看護への投資を得るための政策対話と意思決定を支える資料となる。これを活用し、以下の取り組みを推進することが期待されている。

  • 看護の教育・スキル・仕事への財政措置の加速と維持
  • 社会における教育・健康・実践・雇用・ジェンダーの課題を解決するための看護リーダーシップと組織的な能力の構築
  • 教育・実践・移動・ディーセントワーク*2・公平な報酬・生産性・規制・看護労働力の定着に関する必要な政策の選択肢の適用により、既存の投資の利益の最適化

本報告書には、さまざまな課題や政策の選択肢といった多くの情報が包含されているが、それぞれが置かれた状況において優先事項を検討の上、課題に取り組むことが推奨されている。

●参考資料

  • 1 この推計値は、日本を含む大半の高所得国の状況は含まれていない。WHOは、看護師不足の推計値の計算にこれまで人材不足の推計に使用した、人口1000人に対する医師・看護師・助産師4.45人未満という基準を用いており、これに該当する主に低〜中所得国における看護師不足が反映された数値となっている
  • 2 働きがいのある人間らしい仕盟