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2020年

9月号

日本看護協会 国際部

ICN‐ICM‐WHO三者会議
ICN各国看護師協会会長会議

2020年6月16〜19日の間、第8回三者会議および各国看護師協会(NNA)会長会議がウェブ上で開催された。今年は、ナイチンゲール生誕200周年、看護師・助産師の国際年という記念すべき年である。同時に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックという不測の事態の発生により、世界的に看護職の貢献に関心が高まっている重要なときでもある。

第8回三者会議

三者会議は、国際看護師協会(ICN)、国際助産師連盟(ICM)、世界保健機関(WHO)の三者が主催し、2年ごとに開催される。本会代表者も含め、145カ国以上から600名を超える政府の主任看護・助産官、各国看護協会・助産協会および主要パートナーの参加があった。
会議では、看護職の保護、指導力の維持・支援、緊急時の対応やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)、人々の健康とウェルビーイングを高めることへの看護職の貢献に焦点が当てられ、三者声明を採択して閉幕した。会議の主な内容は以下となる。

①COVID-19における経験を教訓に
COVID-19感染拡大により、保健医療従事者の約6割という最大の集団である看護職が、保健医療システムの中核をなすことへの市民の認識が高まったことが報告された。一方で、政府の医療費削減による看護職不足の煽りを受け、看護職の労働条件が十分確保されていないことや、既存の保健医療システムの脆弱さ、個人防護具の欠如、保健医療従事者に対する暴力・スティグマに関する課題が浮き彫りとなった。また、ICNが世界中から収集したデータを分析した結果、看護職のCOVID-19の感染率は保健医療従事者の中で最も高く、少なくとも600人が死亡していることが明らかとなった。
生命をリスクにさらして保健医療サービスを提供している看護職が十分保護されなければ、必要とするすべての人々に保健医療サービスを提供できず、その結果さらなる悲劇を生む。今回の学びを柔軟性のある保健医療システムの変革につなげていかなければならない。

②報告書を活用し政策提言を
2020年4月には、191カ国のデータを含む「世界看護状況2020報告書」が公表された。報告書には、世界の看護に関するエビデンスやデータ、政策の選択肢が記載されており、これらを地域の状況に落とし込んだ上で、政策対話に活用することが期待されている。
看護職の貢献に関する政府や市民の認識が高まっている今こそ、政策を提唱するのに最適な時期である。患者の擁護者である看護職が、保健医療政策の開発・意思決定に参画し、政府に対して看護職の教育・リーダーシップ・雇用への投資を要請することが重要である。

NNA会長会議

NNA会長会議には65協会が参加し、COVID-19への対応に関する報告および今後の優先事項についての情報交換が行われた。本会は、COVID-19にかかわる取り組みと今後の課題を述べた。参加者は、すべての人々に対する保健医療サービスの提供に向けた看護職の保護、看護職の能力と労働力の強化、高度な実践を行う看護師等の役割開発に取り組んでいくことを共有した。

●参考資料

  • COVID-19の世界的パンデミックの状況を鑑み、3日間にわたってウェブ上で開催された

  

  

前・ICM Western Pacific 担当理事  谷口初美

2020 ICM Triennial Council Meeting(評議会)報告

2020年度は、Covid-19の世界的な猛威でICMの3年毎の評議会・学術集会を大きく変更せざるを得なかった。今年6月にインドネシアのバリで開催予定であった評議会・学術集会は、来年の6月に延期された。しかし、会期中に早急に決めなければならない役員人事や、2020〜2023年におけるICMの戦略的方針、決議案に関しては、電子評議会となり、その準備が3月末から6月にかけて実施された。

電子評議会の開催は初めてで、事務局があるオランダが都市封鎖されたため、ICMスタッフは在宅勤務でICMのホームページにCouncil Platformを立ち上げた。これは必要な説明書類や詳細なビデオファイルを閲覧し、ディスカッションボードで意見を述べ、投票することができるシステムで、全世界の会員団体にとっても初めての試みのため、使用方法への指導を徹底し、全体評議会の発表へと持ち運んだ。

5月最後の週に世界各地域での評議会がウェブ会議ツールのZoomを利用し開催された。日本が所属するWestern Pacific地域は、5月27日に開催され、2020〜2023年までのICMの戦略方針が検討され、Western Pacific担当理事の選出のためのスピーチがオーストラリアのAnn Kinnear氏と筆者の谷口で行われた。後日の結果は、12:10(白票1)でAnn Kinnear氏に決定した。皆さまの多大なるご支援にかかわらず、諸外国の票を得ることができなかった。その難しさを痛感した。

全体評議会の主な内容

最終の全体評議会は、6月26日に3カ国語の同時通訳ができるInterprefyというソフトを使用して、ICM加盟143団体の評議委員約170名近くがリアルタイム(日本時間午後7〜9時過ぎまで)で参加し、開催された。2020〜2023年までの議案の投票結果も報告された。全体評議会は、A:議案の投票結果発表、B:退任役員・新役員紹介、C:助産師と看護師の専門性に関する討論会、D:ICM Global Ambassador Toyin Saraki氏のさよなら講演、E:Franka Cadee ICM会長の閉会の辞で構成された。

この中から、A:議案の投票結果発表、B:退任役員・新役員紹介、D:ICM Global Ambassador Toyin Saraki氏のさよなら講演について述べる。

①A:議案の投票結果発表

評議会には118会員団体から評議員227名が参加し、現在加盟団体143団体の82.5%で定数を満たした。事前に行われたオンライン投票の有効票は202票で85.2%であった。8項目すべてに関し承認された。重要な項目は次のとおり。

1)ICMの財政赤字のための将来性を鑑みた新会費制度導入(案)は、各団体の会員1人当たりコーヒ1杯の代金をICMへという名目の新制度であり、可決され2023年度100%達成となる賛成128(76.6%:167票)、反対39(23.4%:167票)、白票35(17.3%:202全体)

2)2017年にWHOの地域に沿って改訂された理事の数に関して、現10名(ヨーロッパ3、アフリカ2、アメリカ2、東地中海1、東南アジア1、西太平洋1)から6名に削減(ヨーロッパ1、アフリカ1、アメリカ1、東地中海1、東南アジア1、西太平洋1)で可決賛成151(83.9%:180票)、反対29(16.1%:180 票)、白票22(10.9%:202全体)

3)2020〜2023年のICM Strategy Developmentは10項目のうち次の4項目が採択可決された。これらは、文言は多少変わるがICMで最終的な戦略表記として後日発表される①Leadership by and for midwives nationally,regionally,and globally:助産師による助産師のための全国的、地域的世界的なリーダーシップ②Quality of midwifery care,which includes Education,Regulation,Research and Respectful care:教育、規制、研究、敬意のあるケアを含む助産ケアの質③Strengthening midwifery as a profession(Professional framework):専門職としての助産の強化(専門家の枠組み)④ Promoting midwife−led continuity of care:助産師主導のケアの継続の促進

4)第34回ICM3年毎大会2026のホスト国は3カ国の応募があり、上位2カ国が選ばれ、最終的にICM理事会で決定されることになるリスボン159票(39.4%)、パリ133票(32.9%)

②B:退任役員・新役員紹介

退任役員、新役員は図表1のとおり。

③D:ICM Global Ambassador Toyin Saraki氏のさよなら講演

写真右 ヨーロッパ地域会議(5月1日)

Franka Cadee ICM会長の司会進行で、Toyin Saraki氏のICM Global Ambassadorとしてのさよなら講演が終了し、中央ヨーロッパ担当理事のSerena Debonnet氏がフランス語で、そしてWestern Pacific担当理事である谷口が英語で、ICM理事、事務局、全世界100万人の助産師からなる143会員団体を代表し、Toyin Saraki氏に対して今までのICMへの素晴らしい功績と助産師の活動を世界へ広くアピールしたことに関して賛辞を送った(写真)。

ICM理事としての3年間

写真下 5月年次理事会にてBoard members (前列左端がFranka Cadée 会長、後列左から2番目筆者)とSally Pairman事務局長(前列右端)

筆者がICM評議会に日本代表として参加したのは、2014年のプラハ大会のときが初めてであった。日本助産師会から岡本喜代子会長とともに国際委員長として参加した。そのときに、米国の親日家であるDorothea Lang氏(当時82歳)から「助産師よ、強くあれ!」の励ましのお言葉をいただき、2017年トロント大会でWestern Pacific担当理事に就任するという驚くべき名誉な機会をいただいた。あれから3年間、ICM理事としてプロフェッショナルな世界中の理事たちとともにICMのガバナンスを担う会合の中に入れたことにより、よりグローバルな視点で助産の展望が拡大された。同時に、この素晴らしく人間味あふれた温かなプロフェッショナルの仲間の中での仕事は、筆者自身をより豊かにしたように思う(写真)。

これまでのご支援に感謝申し上げると同時に、私の後に続く日本からの理事をぜひ皆さんの力で推薦して世界に送ってほしいと願う。