診療・介護報酬
このページでは、診療報酬および介護報酬の看護に関する改定情報をお知らせします。
診療報酬
令和8年度診療報酬改定を受けて
看護職の皆さまへ
公益社団法人日本看護協会
会長 秋山智弥
2026年2月13日の第647回中央社会保険医療協議会総会(以下、中医協)にて、令和8年度診療報酬改定に関する答申が取りまとめられました。改定率3.09%という、3%を超える大幅なプラス改定となったのは30年ぶりとなります。これは、日本看護協会をはじめ、医療関係団体が一丸となり、粘り強く訴えてきた結果であるとともに、この財源をしっかりと活用しながら、持続可能な医療従事者の働き方を確保し、全ての地域・世代の人々に安心・安全で質の高い医療を提供していくことが強く期待されていることを意味しています。
現在、日本は人口構造の変容、持続的な物価・賃金上昇など、経済や国民を取り巻く状況が大きく変化していく、転換期にあります。その中で令和8年度診療報酬改定は、大変厳しい医療機関等の経営状況を支える足元への対応と、2040年とその先を見据えた医療・介護提供体制を構築する観点からの、「はじめの大きな一歩」としての対応を行う内容となりました。
まず、足元への対応としては、医療の現場で働く方々を守り、そして地域の医療提供体制を守り抜くために、賃上げや人材確保に向けた取り組みが不可欠です。本会は、特に看護職の夜勤手当が2010年代以降横ばいであることを強く懸念し、夜勤手当の引き上げや職責に見合った処遇改善の必要性を強く訴えてきました。今回、改定率の半分以上を占める1.7%が賃上げ分として確保され、看護職員処遇改善評価料及びベースアップ評価料による収入を夜勤手当の増額にも用いることができると明確に示されたことは、大きな前進と受け止めています。一人ひとりの看護職員に確実に届くよう、診療報酬を活用した夜勤手当や賃金引上げを各施設において進めていただくことを強くお願いいたします。
また、2040年とその先を見据えた医療・介護提供体制の構築に向けた対応としては、医療法改正を踏まえ、新たな地域医療構想に基づく、医療機関の機能分化・連携の推進、地域における医療の確保の方向性が強く示されました。本会は2025年に「看護の将来ビジョン2040」を公表し、2040年に向けて①その人らしさを尊重する生涯を通じた支援、②専門職としての自律した判断と実践、③キーパーソンとしての多職種の協働という、3つの目標を掲げ、その実現に向けた取り組みを進めています。あわせて、いのち・暮らし・尊厳をまもり支える仕事だからこそ、看護職自身のウェルビーイングが大切であり、職場環境や処遇の改善にも力を注いでいます。今回の改定内容は、新たな地域医療構想や本会の「看護の将来ビジョン2040」で目指す姿の実現を後押しするものと考えています。特に看護職が着目すべき重要な項目として、以下に3点を取り上げます。
1.病院の急性期機能に着目した評価と、看護管理者への評価について
地域で病院が果たしている救急搬送の受入や手術等の急性期機能に着目し、新たに「急性期病院A/B一般入院基本料」が新設されました。
本会としても、各地域に必要な急性期医療の提供体制を確保するうえで、これまでの病棟単位の機能を中心とする評価だけでなく、病院単位の評価にも着目した評価体系とし、「治す医療」と「治し支える医療」を担う医療機関の連携を推進することが重要と捉えています。急性期病院A/B一般入院基本料の施設基準において、看護配置基準や重症度、医療・看護必要度、平均在院日数等の基準を満たすことに加え、病院が適切に機能を果たしていくための体制整備の一環として、「看護師長又は同等以上の職に従事した経験を5年以上有し、所定の研修を修了した看護師を配置することが望ましい」とされたことは、特に注目すべき点です。
本会では、これまで認定看護管理者の資格認定制度や教育課程の運営を通じて、質の高い看護管理の普及に長らく取り組んできました。令和8年度診療報酬改定に関する要望書においても、認定看護管理者によるマネジメント機能の発揮により、タスク・シフト/シェア、専門性の高い看護師の地域活動、ICT活用、働き方改革や夜勤者の確保等、様々な取組み推進に好影響を与えていることをデータで示してきました。今回こうした形で、診療報酬上、質の高い看護管理者が院内にいることを評価されたことは、多くの病院で看護管理者の方々が果たしている役割への高い評価と、看護管理者によるマネジメントのさらなる必要性を意味しているものと捉えています。医療機関の枠を超え、地域全体での医療・看護の質向上を目指す広い視野のもと、多職種連携・多施設間連携の推進、業務効率化など、あらゆる面で看護管理者の方々が要となって活躍されることを強く期待しています。本会としても、引き続き、看護管理者の人材育成や活躍の支援に取り組みます。
2.病棟における看護・多職種協働の推進について
高齢者の救急搬送や高齢患者の増加に伴い、患者の早期退院やADLの維持、向上をめざすことが求められます。今回、急性期病院B一般入院料と急性期一般入院料4を算定する病棟において、規定の看護職員配置数(10対1)を超えた配置として、看護職を含む多職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士又は臨床検査技師)が協働して、専門的な指導や診療の補助を行う体制を評価する「看護・多職種協働加算(25対1)」が新設されました。
厚生労働省の改定説明資料では、各職種が専門性を活かして行う業務の例として、看護職員は「入院患者に対する看護」を、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は「随時、入院生活で患者が実際に活動する場面に合わせた評価、指導、訓練室でのリハビリテーションを生活場面で自ら行えるようになるための支援等」を行うと示されています。多職種の協働により業務を行う際には、医療機関において多職種で相談したうえで、多職種協働の目標や各職種が主に行う業務内容、各職種で協働・連携して行う業務内容、情報共有の方法等について、文書で整理し、病棟に配置される多職種間で共有していることが求められています。
多職種がお互いの役割を理解・尊重し合い、強い信頼関係のもとで協働することが重要であり、特に看護管理者は、看護職の日々のシフト表を作成するうえでも、多職種協働の具体的な内容と体制について十分に多職種と相談する必要があります。本会としても関係団体と協働・連携し、各職種の専門性を最大限に発揮した多職種協働を通じて、入院患者への医療の質向上に資するよう、取り組んでまいります。
3.ICT等の活用による看護業務効率化等について
2040年に向けてはさらなる生産年齢人口の減少が見込まれており、新たな地域医療構想のもと、医療機関機能に応じた適切な病床数の確保はもとより、ICT等の活用や業務の見直し等による業務効率化・負担軽減等を進めることが強く求められます。今回改定では、ICT機器等の活用により看護業務を軽減したうえで、適切に患者の看護を行うことができる体制がある場合に、7対1と10対1の看護配置を算定する急性期等の病棟において看護要員数等の1割以内の範囲の減少が可能とされました。
ICT等の活用は積極的に進めるべきであるものの、中医協等での議論では、ICT機器等の活用効果や、医療の質・医療安全、看護職の労務負荷等への影響に関するエビデンスデータが十分に示されたとは言い難い状況であったため、様々な意見がある中での柔軟化となります。改定の附帯意見にも、これらの影響を幅広く調査・検証し、今後も適切な評価の在り方について検討することが明記されました。導入したICT機器等をしっかりと活用し、安全で質の高い看護を効果的・効率的に提供していくことが重要であり、本会としても、事例把握やデータ収集を通じて、次回改定に向けた検証を進めてまいります。
他にも人材確保に関しては、都道府県ナースセンター等の無料職業紹介事業者の活用など、平時から看護職員確保の取り組みを行っているにもかかわらず、突発的で想定が困難な事象によりやむを得ない事情が生じ、看護要員数を一時的に確保できない場合に、配置基準の柔軟化が行われました。看護要員数の1割以内の一時的な変動については3か月を超えない期間に限り、施設基準変更の届出を行わなくてよいこととなりましたが、一部の看護要員へ過度な業務負担とならないよう、適正な労働時間管理を行うことに努めるよう求められています。やむを得ない事情の中でも、看護職への丁寧な対応をお願いしたいと思います。
最後に、今回の改定にあたり、中医協ではこれからの社会の変化を見据えて、データに基づく議論が積み重ねられてきました。看護職の皆さまには、改定の背景や趣旨を十分に理解いただいたうえで、患者・国民のニーズにどうこたえていくのか、地域の中で他施設と連携しながら、自施設がどのような役割・機能を果たすべきか、そのために診療報酬をどう活用するのか、ぜひ検討いただきたいと思います。
切れ目のない、質の高い医療・看護提供体制を構築していくためには、看護実践の内容とその効果をデータで示すことが重要になります。本会は引き続き、看護の可視化につながるエビデンスの創出と、エビデンスに基づく政策要望活動の展開に向け、皆さまと力を合わせて、取り組んでまいります。
2026年3月11日
【令和8年度診療報酬改定について】
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【入院基本料等の診療報酬のお問い合わせについて】
2014年2月末をもちまして、「入院基本料等の施設基準に係る届出書添付書類(様式9、様式9の2)」の自動計算機能付Excel表の公開を終了しました。
- 以下のお問い合わせにつきましては最寄りの厚生局へお願いします。
- 入院基本料(様式9等)、各種算定に関する届け出に関する事項
- 施設基準等の用語の定義・解釈に関する事項
- 各厚生局・都道府県事務所(厚生労働省ホームページ)

