協会ニュース 2023年1月号

2023年 年頭所感「社会の期待に応えることが看護職の使命」

日本看護協会 会長 福井トシ子

2023年福井会長の画像

2023 年の年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

ことしもまた、新型コロナウイルス感染症との闘いの中での年明けとなりました。この場をお借りして、現場の最前線で尽力されている全ての会員、看護職の皆さまに心より敬意を表します。また今冬は、インフルエンザとの同時流行も危惧されており、医療現場等では予断を許さない状況が続いています。看護職をはじめとする現場の従事者には業務の負担に加え、精神的なストレスも重積しています。そのような状況下で不安な日々を過ごす看護職のために、日本看護協会では、新型コロナウイルス感染症対策のための寄付金事業の一環として昨年、「看護職のためのメンタルヘルス相談窓口」を開設いたしました。さまざまな現場で頑張る看護職が悩みを抱えきれなくなるその前に、少しでも支えることができればとの思いで取り組んでいます。新年にあたり、医療を支える看護職の皆さまがよりよい環境で働けるよう、本年も看護職能団体としての役割を果たしてまいりたいと思います。

折しも昨年末、感染症法をはじめとした関連法が改正されました。これにより、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、今後の重大な感染症の発生や蔓延に備えるための都道府県の権限の強化や、医療提供体制の拡充が図られることになります。感染症による有事の際の保健・医療提供体制に関して、医療機関の役割の明確化や県境をまたぐ支援人材の広域調整の仕組みなど、平時からの備えの確実な推進に期待が寄せられるところです。

また昨年、国家公務員医療職棒給表(三)級別標準職務表の改正が発表されました。これは「看護師のキャリアアップに伴う処遇改善」を具現化させたものであり、かねての日本看護協会の要望に沿うものです。看護に光を当て、今回の改正のためにご尽力いただいた関係者の皆さまに深く感謝いたします。

一方で現在、国家公務員医療職俸給表(三)が適用される看護職員数は1,800人程度と限定的でありますが、国家公務員医療職俸給表(三)を参照して賃金体系を作っている医療機関も多くあることから、より多くの看護師がさらに高い職務の級に昇格できる環境を全ての看護の現場で整えていく必要があります。引き続き、各施設のご理解をいただきますよう努めますとともに、看護の専門性と役割の重要性に見合った賃金体系の導入、そして看護師のキャリアアップに伴う処遇改善の推進を進めてまいります(4・5面に関連記事)。

2025年が目前に迫り、その先の2040年問題にも目を向けるべきこの時、今後社会から寄せられるであろう、看護・医療への大きな期待に応えることは、看護職の大切な使命と考えます。あらゆる場において、看護職をはじめとする医療職が結束し、その力をいかんなく発揮し、人々の健康を支えていかなくてはなりません。いかなる状況においても力を合わせ乗り越えられますよう、一人でも多くの皆さまのご協力をお願いしますとともに、一日も早いコロナ禍の収束により平穏な日々が訪れますことを祈念いたしまして、新年のごあいさつとさせていただきます。