村島 正俊さん

村島 正俊さん  精神看護専門看護師 

所属施設

長崎県精神医療センター 看護部
大村市西部町1575番地2
精神科139床
看護師数 106名(うち、専門看護師1名)

資格取得までの道

一般の大学を卒業後、定時制の看護学校へ進学して看護師免許を取得。
5年の臨床経験を経て退職し、大学院へ進学。修了後、長崎県に移り、現在の病院へ就職。
2011年認定資格取得

活動事例及び所属施設上司からの支援について

活動風景
活動風景

私が大学院を修了して当院へ就職した当時から、長崎県内の精神科病院に勤務する専門看護師(CNS)はおらず、認知度は低いものでした。しかし就職時には、看護部長の配慮で、認定審査へ向けた実践報告書の作成のため、多くの事例を経験したいことから精神科救急病棟へ配属してもらいました。その後9カ月の実務経験を経て、CNSの認定を受けました。それから7年間、病棟所属のCNSとして活動しています。

当初は、病棟に所属しながら、CNSの役割をどのように発揮すればよいのか試行錯誤が続きました。当院は精神科3次救急施設として、精神科救急医療、児童思春期医療、医療観察法に機能特化した長崎県精神科医療の中核的役割を担っています。そのため、県内でも重度の精神疾患患者が入院しており、スタッフにも高いケア提供力と倫理的感受性、他職種との調整力が求められます。そこで、私が特に対応困難な患者を担当してロールモデルとなり、CNSの機能への理解を周囲へ求めました。こうした取り組みを続けることで一定の成果もあり、現在勤務する包括治療病棟では、強度行動障害にて10年の間、施錠された個室で過ごす自閉症患者を担当し、看護師同伴にて市中へ外出したり、入所施設の見学に出かけられるようになりました。こうした成果を目にしたスタッフからは、もうあきらめていたがこのような力があると思わなかった、といった声も聞かれ、刺激を受けているようでした。さらに、ロールモデルとしての実践を重ねるなかで、各スタッフが担当する患者に関してコンサルテーションを受ける機会も増えてきました。

こうした所属部署での活動の他に、月に1日の組織横断的な活動が認められていました。当院は看護研究が盛んなこともあり、例年、私自身が行う研究の他に、いくつかの看護研究の指導にもあたっています。そこで、活動日はそうした研究指導や、ケアに関するコンサルテーション、スタッフのメンタルヘルスマネジメント、各部署で起こった倫理的問題の解決へ向けた支援などに活用してきました。また、当院では心の相談窓口を開設しており、外来患者やその家族から、医師による外来治療と並行して療養生活上の相談を受けることもあります。

当院には、私を含めてリソースナース委員会が組織されています。リソースナース委員会の役割として、スペシャリスト、もしくはエキスパートナースとして相互のリフレクションと役割開発があります。そこで、事例検討会や組織横断的活動でのさらなる役割開発、地域の精神科看護師へ向けた研修会の企画などを行ってきました。また、リソースナース委員には各自のブラッシュアップを目的として、学会への参加を支援する制度もあり、この機会を活用して専門の学会へ参加しています。その他の院内活動としては、就職当時より倫理委員会に所属しており、看護研究の倫理審査システムの構築を担いました。審査委員をするかたわら、研究指導においては倫理的側面の指導も行い、研究者を支援しています。

その他、地域における活動は、看護師向け研修会や看護教育機関での講師の役割を担っています。中学校のPTA研修会で、思春期のメンタルヘルスについて講演したこともありました。また、長崎県では領域を越えたCNS同士のピアサポートグループ(長崎CNSの会)があり、当初からこれに参加して、自身のリフレクションや役割開発の参考にしてきました。長崎県では専門看護師の認知度も未だ高くないなかで、管理者が他病院や職能団体へ私の存在をアピールしてくれることで、幸いこうした依頼は年々増えています。

私は現在、副看護師長をしていますが、このポジションにおいていかにCNSの機能を効果的に発揮できるのか、私のキャリアデザインの描き方とともに、CNSとしての役割開発として試行錯誤を重ねているところです。

上司からのメッセージ
山中 利文さん(長崎県精神医療センター 看護部長・認定看護管理者)

村島看護師は、専門看護師の活動は勿論のこと、病棟副看護師長として管理・マネジメント等、多岐に渡る活躍をしております。

患者さんに対しては、専門看護師としての専門的な知識や技術を駆使し、多職種チームと協働しながら心のケアを推進する中心的な役割を担っています。また、その活動は院内に留まらず、院外・地域において専門看護師の6つの役割(実践、相談、調整、倫理調整、教育、研究)を遺憾なく発揮しています。

今後もスタッフのロールモデルや看護管理者として活動してもらい、院内・外の看護の質向上に貢献して貰いたいと思います。さらには、地域における多職種連携の推進や地域包括ケアシステムの確立に大きく寄与して欲しいと期待しているところです。

(2019年4月5日掲載)

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