ナース・プラクティショナー(仮称)制度構築
日本看護協会は「看護の将来ビジョン」(2015年6月)において、「暮らしの場での療養においては、医療的な判断や実施が適時的確になされることが、人々の安全・安心に直結する。将来的には、地域において人々が安全に安心して療養できることを目指し、常に人々の傍らで活動する看護職の、医療的な判断や実施における裁量の拡大を進める。」と掲げています。
医療ニーズがピークとなる2040年に向け、看護職にはさらに役割を発揮し、病気を抱えながらも住み慣れた地域で安心して暮らすことを支えていくことが期待されています。
そのため、日本看護協会は、看護の基盤をもちながら、一定レベルの診断や治療などを行う、米国等のような「ナース・プラクティショナー」の資格を、日本においても新たに創設し、急増する医療ニーズに応えていくことが必要だと考えています。
そこで、2020年9月に、米国等の「ナース・プラクティショナー」を参考にしたNP教育の課程認定を行っている日本看護系大学協議会と日本NP教育大学院協議会、日本看護協会で三団体協議を行い、ナース・プラクティショナー(仮称)制度創設に向けて協働していくことに合意しました。同年9月23日には、自民党看護問題小委員会宛に三団体連名で「ナース・プラクティショナー(仮称)制度の創設に関する要望書」を提出しました。
今後もナース・プラクティショナー(仮称)制度創設に向け、三団体で協働していきます。
- 米国等では、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる「Nurse Practitioner(ナース・プラクティショナー)」という看護の資格があり、医療現場で活躍しています。しかし、現在の日本の法律においては、看護職は、医師の指示を受けなければ医行為を行うことはできず、また、診断や処方を行うことはできません。したがって、米国等の「ナース・プラクティショナー」に相当する資格は現在の日本にはありません。
用語の定義
- ナース・プラクティショナー
- 米国等のような一定レベルの診断や治療などを行うことができる公的資格(現在の日本にはない)
- ナース・プラクティショナー(仮称)
- 日本看護協会が創設を目指している米国等のような一定レベルの診断や治療などを行うことができる新たな看護の国家資格
- NP教育課程修了者
- 大学院のNP教育課程を修了した現行法上の看護師(2021年4月時点で14校)
ナース・プラクティショナー(仮称)制度について
新たにナース・プラクティショナー(仮称)制度を創設するにあたり、既存行法で定める「看護師」などとの業の違い、制度創設の必要性について示しています。
ナース・プラクティショナー(仮称)と現行法で定める「看護師」の業の違い
月刊「看護」2020年2月号では「特集 ナース・プラクティショナー(仮称)制度創設の必要性」を掲載しています。
総論「最期まで安心・安全な医療がタイムリーに受けられる社会をめざして」をご覧いただけます。
最期まで安心・安全な医療がタイムリーに受けられる社会をめざして〜2040年に向けたナース・プラクティショナー(仮称)制度創設の必要性(日本看護協会・井本寛子常任理事)
これまでの取り組み
制度創設の必要性について情報発信をするとともに、関係者の合意形成・看護職への理解の普及、エビデンス構築に取り組みました。
- NP教育課程修了者の活動成果に関するエビデンス構築パイロット事業
- キャリナースの報告書ページにて「2019年度 訪問看護における看護師のケアの判断と実施に関する実態調査・結果概要」を掲載しました。(2020年10月9日掲載)
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