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DiNQLデータ抽出機能「for DiNQL」の活用と効果-導入過程での工夫(大阪公立大学医学部附属病院)
病院概要
【所在地】大阪市阿倍野区
【病床数】965床
【DiNQL参加開始年】2015年
【参加病棟数】26病棟
取り組みの背景
DiNQL参加当初、データ収集業務は管理者(師長・副師長・看護主任)やスタッフが手作業で行い、多くの時間と労力を要していました。電子カルテのリプレイスに合わせて、富士通Japan株式会社から販売されているDiNQLデータ抽出機能「for DiNQL」を導入しました。
運用・活用について
1)ワーキンググループの設置
自動抽出の実現にはデータ定義の確認と構造化が必要であったため、看護師、情報システム部、電子カルテベンターで構成するワーキンググループを設置しました。看護師は「看護の質評価委員会」(以下、委員会)から選出し、電子カルテから抽出する項目と抽出条件について一項目ずつ丁寧に議論を重ねました。特に電子カルテで取得できるデータとDiNQL項目の定義をすり合わせる作業に時間を要しました。
2)データ収集の業務フロー
当院では、複数の部門がデータ収集を分担しており、以下の業務フローに基づき、DiNQLデータの収集から入力までを実施しています。

3)収集の効率化につながった主な項目とその対応方法
自動収集を可能にするにあたり、電子カルテ内のどのデータを抽出すればDiNQLの定義に沿った集計が可能となるかを検討しました。必要に応じて、電子カルテに入力されるデータの構造化を行いました。
- 患者像・看護職の労働状況「緊急入院件数の割合」
- DiNQL定義に合わせて抽出するため、電子カルテの移動情報で「前日までにオーダーがない入院」を緊急入院と定義しました(夜間・時間外入院や前日オーダーのない転棟を含む)。また、術後患者の誤抽出を防止するため、術後ICU/HCUの予定帰室は、電子カルテの「移動戻り情報」にチェックして帰室オーダーをセットする運用に変更しました。
- 褥瘡ケアの取り組み「新規発生した褥瘡の改善率」「既に有していた褥瘡の改善率」
- 褥瘡改善率は、テンプレート機能で様式化した経過記録から抽出しています。複数ある場合は最も重症の褥瘡を一番目に記載する運用とし、その褥瘡を週1回DESIGN‑Rで評価して結果をシステムで自動集計できます。発生日・治癒日・評価日を適切に入力すれば、DiNQLの定義に沿ったデータ収集が可能です。
- 身体的拘束の状況
- 身体的拘束は電子カルテの「状態一括」機能(患者の状態や病棟管理事項をまとめて一覧で登録・参照できるもの)から収集しています。安全帯(体幹・四肢抑制帯・ミトン・4点柵)と転倒むし🄬の使用を「あり/なし」で入力し、いずれかにチェックがあれば身体的拘束「あり」として自動カウントします。マットセンサーなどは別欄へ記録しています。入力は病棟スタッフが勤務毎に行いリーダーが確認している。なお、同意書は取得前に紙出力した時点で「同意済」と判定し、システムで自動抽出できます。
身体的拘束に関する「状態一括」機能
取り組みの効果
- スタッフの負担軽減
- 現在ではDiNQL全項目の8~9割が自動抽出可能となり、病棟で手作業により収集する項目はわずか3項目にまで削減できました。さらに抽出困難な項目については自院の分析に本当に必要かを検討し、入力を行わない判断をした項目もあります。
- 看護管理や管理者育成へ活用
- DiNQLデータを基に看護管理や部署分析に活用する機会が増え、その過程でデータ活用の重要性を強く実感しています。管理者としてデータマネジメントを担う立場にとって、DiNQLは非常に有用なツールであり、事業参加・継続には大きなメリットがあったと感じています。教育の面でも積極的に活用しており、看護主任や副師長に向けて、看護管理を始める第一歩としてデータ管理や質管理の研修を実施した結果、徐々にDiNQLが浸透してきていると実感しています。
(2026年3月16日掲載)

