- ホーム
- 看護職の皆さまへ
- 労働と看護の質向上のためのデータベース(DiNQL)事業
- 参加病院の取り組み事例紹介
- 当院のDiNQL事業参加後の取り組み ~データの利活用の推進に向けた現場の力を引き出す支援体制~(川崎医科大学附属病院)
当院のDiNQL事業参加後の取り組み ~データの利活用の推進に向けた現場の力を引き出す支援体制~(川崎医科大学附属病院)
病院概要
【所在地】岡山県倉敷市
【病床数】1,138床
【DiNQL参加開始年】2015年
【参加病棟数】24病棟
参加した動機・きっかけ
看護実践や労働環境を可視化し、院内外と比較することで質向上や職場改善につなげたいという思いがあり、DiNQL事業に参加をすることとしました。
運用・活用について
1)参加直後の課題と取組みの目的
DiNQL参加初期、データの精度のばらつきや、分析・活用が難しいなど、改善行動に結びつきにくい状況が続きました。こうした背景から、DiNQL活用の目的を「信頼性のあるデータにもとづく柔軟で持続可能なマネジメントを実践すること」とし、2つの目標を掲げ取り組みを進めました。
(1)看護の質や職場環境を「見える化」し、他病棟・他施設との比較を通じて現状把握を行うこと
(2)看護管理者がデータを活用したマネジメントを行える体制を整えること
2)委員会の組織化と支援体制の構築
参加当初は看護副部長が一人でDiNQL担当をしていましたが、ワーキングを経て数年後に看護部の正式な委員会として組織化しました。現在は看護副部長1名と委員7名ほどで構成され、委員それぞれが担当部署を持ち、継続的な現場支援を行う体制を整えました(図1)。委員会は看護部の中で「病院の質保証・イベント委員会」に位置づけられ、感染管理室や医療安全管理室とも連携しています。
図1:委員会の組織化と支援体制
3)データ入力支援:説明会とツール整備
データ入力の精度向上と活用の推進を目的に、参加部署を対象に不明点や項目の定義を確認できる説明会を段階的に拡大しました。当初は年1回の看護単位責任者向け説明会でしたが、その後回数を増やし(現在は年3回)、対象者も看護主任、副主任、スタッフへと広げました。説明会ではDiNQLの指標や項目の定義、ベンチマーク結果の見方を丁寧に解説し、実際に自部署データを用いた演習も実施しました。
同時に、入力の負担軽減をするために収集項目のスリム化とツール(図2)を整備しました。当院オリジナルの収集シートは18項目に絞り、現場での理解を促進するとともにミス防止につなげています。DiNQLから提供されている標準シートも併用しています。このようにデータ収集体制を整備することで、より効率的で継続可能なデータ収集環境を整備することができました。
図2:データ収集スリム化のためのツール一覧
4)データ活用支援:可視化とフィードバック・部署訪問
データは集めて終わりでは意味がありません。そこで、DiNQLのベンチマーク画面から抽出した部署別時系列データや、院内のQI(Quality Indicator:医療の質指標)に活用できる項目をフィードバックし、現場での活用につなげています。現場の理解を深化させるとともに、具体的な改善行動につなげるために、担当委員が各部署を訪問して支援を行いました(1回30分程度)。部署訪問では看護の「見える化」結果を提示し、データの見方、データ活用相談、院内外比較・分析などを一緒に行いました。
取り組みの効果
取り組みの結果、説明会は年3回の実施となり、毎回16~18部署が参加しています。部署訪問を通じて「自部署の立ち位置が確認できた」「分析に活用している」といった前向きな反応が得られました。一方で「見方がわからない」「活用方法がわからない」といった声も残っており、理解支援や活用促進のさらなる工夫が引き続き必要です。
また、データの活用状況は、「部署目標に活用している」と回答した部署が支援前の34%から支援後75%に増加しました。これは、委員会による支援を通じて、目指したい看護実践をデータに基づいて具体的に示せるようになった変化を表していると考えます。

今後に向けて
委員会による支援体制の整備は、データ精度の向上と活用促進に効果がありました。特に、説明会や部署訪問は,現場の不安や疑問を和らげ,前向きな変化を促しました。委員が連携して支援することで,現場での活用が円滑に進み,継続的な改善につながると考えています。
今後は、さらに、委員自身のスキル向上と部署間の事例共有を通じて,実践的な活用へとつなげていきたいと考えています。
(2026年2月9日掲載)

