チームで実現するデータ収集・入力の効率化(福井県立病院)

病院概要

【所在地】福井県福井市
【病床数】744床
【DiNQL参加開始年】2016年
【参加病棟数】25病棟

取り組みの背景

DiNQL参加当初は1病棟・1カテゴリから開始し、段階的に体制を整備してきました。看護部内にDiNQL委員会を設置し、まずは固定メンバーで運営を安定させました。

運用・活用について

1)データ収集体制と役割分担

データ収集・入力は看護部が主に担い、情報システム室に看護師を配属して電子カルテや抽出作業の橋渡しを行っています。情報システム室の看護師はPower Query(※1)とAccess(※2)を学び、システムエンジニアに相談しながら、電子カルテなどからデータ抽出を行っています。病棟には小委員(褥瘡・安全など)を置き、各小委員が自部署の担当項目を収集・入力することで、負担が一人に集中しない体制を整えました。また、毎月の入力締切後は各部署の師長・副師長によるチェック、その後システム室看護師が全体監査を行う二段チェック体制を採用し、収集・入力・チェックの分担を明確にし、1人で抱え込まない工夫をしました。

福井県立病院_図1_データ収集プロセス

※1 Power Query:Excelのデータ加工機能。複数データ(ExcelやCSVファイル)の統合や不要データの削除など、前処理を自動化できる。
※2 Access:データベース管理ソフト。院内の患者情報や業務データを体系的に管理・分析できる。

2)電子カルテのテンプレートや既存ソフトを活用したデータ収集の効率化

病棟でのデータ収集や加工に伴う作業負担を軽減するため、Power Query とAccessを活用しています。抽出用のひな形は、情報システム室の看護師がシステムエンジニアと相談しながら作成しました。また、電子カルテのテンプレート機能を活用することで、抽出可能な項目を安定して自動収集できるようにしました。

3)収集の効率化につながった主な項目とその対応方法

データ収集は、電子カルテ上の各種テンプレートやオーダーなどのデータをDWHから抽出、Excelに出力し、これらをAccessやPower Queryで、必要な形に加工・構造化を行っています。

  • 患者像・看護職の労働状況「手術件数の割合」、周術期看護の状況「手術件数」
    • 電子カルテ内の「手術退室者一覧」から、1カ月分の手術件数や手術時間、時間外手術の件数を抽出しています。手術オーダー実績から緊急手術か否かを判断し、Power Queryで抽出しています。
  • 患者像・看護職の労働状況「緊急入院件数の割合」
    • 電子カルテの入院時評価テンプレートに緊急入院フラグを設定したことで、テンプレート入力件数を自動抽出できるようにしました。
  • 褥瘡ケアの取り組み「褥瘡推定発生率」など
    • 「褥瘡推定発生率」や「危険因子の評価を実施した患者数」「危険因子を有する患者数」「既に褥瘡を有していた患者数」は、褥瘡発生報告書、危険因子評価表、褥瘡対策計画書、経過記録からAccessで自動抽出するツールをシステムエンジニアと共同で作成しました。
  • 身体的拘束の取り組み
    • 拘束開始・継続・終了、解除時間、拘束部位などを記録できる電子カルテの専用テンプレートを作成し、Accessなどでの抽出が可能になりました。テンプレートは身体的拘束最小化チームが作成したため、臨床現場の運用性も考慮されています。

取り組みの効果

データ収集の効率化は「テンプレート化」「データ構造化」「Power Query/Accessによる自動抽出体制の整備」の組合せにより実現できました。これにより、以下の成果がありました。

  • 看護部内でのDiNQLの定着とデータ精度の向上
    • 委員会運営と段階的なメンバーの拡大により、DiNQLの院内浸透が進みました。師長会やDiNQL研修で入力ルールや解析事例を共有することで、現場の理解が深まっています。入力精度向上のための工夫を継続した結果、データの精度は向上しています。
  • データの利活用の拡大
    • 院内でDiNQL大会を年1回開催し、各部署の取り組みと成果を可視化・共有しています。また、学会などで発表するよう促しています。このような活動により、データを目標管理や部署評価に組み込む動きが生まれ、現場のモチベーション維持にもつながっています。
  • 「現場の記録様式を構造化する(テンプレート作成)」ことと、「電子カルテなどから必要なデータを自動抽出できるテンプレート(Power QueryやAccess)を整備する」ことが、作業効率化とデータ品質向上の両面で有効でした。

 

(2026年3月16日掲載)