日本看護協会とは

会長の手帳(日本看護協会 会長 福井トシ子)

月刊『看護』2021年8月号より

看護人材緊急確保に貢献するナースセンター

コロナ禍にあって、看護職の就業を促進するために、全国のナースセンターが大きな役割を果たしています。ナースセンターは、1992年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づき設置されました。厚生労働省から日本看護協会が中央ナースセンターの、都道府県から47都道府県看護協会がナースセンターの指定を受けて、看護職確保対策等の取り組みを行っています。具体的には、無料職業紹介、離職時等の届出受付、再就業支援研修等、看護職をサポートするさまざまな事業を実施しています。

都道府県ナースセンターは、職業安定法の「無料職業紹介事業」の許可を得て、手数料や報酬等の対価を受けずに職業紹介事業を行っています。ハローワークや大学の就職課なども「無料職業紹介事業」です。人材紹介会社といわれる企業は「有料職業紹介事業」であり、求職者(看護職)を求人施設に紹介することで、求人施設から手数料または報酬等の対価を受けます。

都道府県ナースセンターで行っている無料職業紹介をインターネット上に展開したものがeナースセンターです。看護職や看護職をめざす学生および看護職を採用する求人施設の方はナースセンターに直接足を運ばなくても、インターネット上で、登録、検索、紹介依頼などができます。

本会では、コロナ禍以前から、保健師増員に関する要望書を国へ提出し続け、自治体保健師を増やす取り組みを行ってきました。コロナ禍の影響も受けて、自治体保健師を確保するための国の予算がようやく計上されたところです。

新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴って、ナースセンターはこの難局を乗り越えるための要となり、一致団結して全国で対応しています。コロナ禍の看護人材緊急確保に際し、都道府県ナースセンターの尽力により、2021年6月6日現在、全国で約5224人の潜在看護職員が再就業しました。全国のコールセンターや宿泊施設、ワクチン接種会場等の新型コロナウイルス感染症に関連する施設で活躍しています。

今回の人材確保では、1回目の緊急事態宣言発令の翌日、昨年の4月8日から、複数回にわたり、約5万人の登録潜在看護職に対し一斉メールを送付し、多くのレスポンスを得ました。これが可能となったのは、eナースセンターの「とどけるん」を通じて、潜在看護職とつながり、確実に連絡の取れるメールアドレスを含むデータベースを構築、管理していただいている都道府県ナースセンターの地道な努力があったからです。「とどけるん」は努力義務で、離職したすべての看護職が届けていないということが課題です。「とどけるん」に登録している看護職は14万人ほどで、そのうち求職しているのは5万人弱の潜在看護職です。潜在看護職は70万人とも言われていることを考慮すれば、課題が大きいことをおわかりいただけると思います。

看護職の資格活用基盤を強化していくことが期待されます。この資格活用基盤強化は、2021年度の重点事業として取り組んでまいります。