会長の手帳(日本看護協会 会長 秋山 智弥)

機関誌「看護」2026年2月号より

看護職の処遇改善に向けて前進あるのみ!

6月11日の会長就任から半年が経過しました(執筆時は2025年12月末)。この間、急激な物価の高騰とそれに見合う賃上げの潮流の中で、看護職の処遇をいかに改善し、他産業への人材流出を防ぐかという喫緊の課題に対し、実態を示す調査、エビデンスの集積、そして要望活動に奔走する毎日でした。

関係団体と協力・連携した活動の結果、まずは6月13日に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針2025』(※1)いわゆる『骨太の方針』では、社会保障関係費について、高齢化による増加分に相当する伸びに、新たに経済・物価動向等を踏まえた増加分を加算することが明記され、大きく前進しました。その後、7月20日の参院選で自民党が惨敗すると、9月7日には石破茂首相が自民党総裁の辞任を表明、10月4日には自民党総裁選で女性初となる高市早苗総裁が誕生しましたが、公明党が26年続いた連立を離脱、替わって日本維新の会との連立合意によって、10月21日、日本史上初の女性首相の下、新内閣が発足しました。

政界が混沌としていた間にも物価は引き続き高騰し、医療機関の経営は危機的状況を迎えつつありましたが、11月21日に閣議決定された『「強い経済」を実現する総合経済対策』(※2)において、医療機関や薬局に対して、報酬改定の時期を待たず、前倒しで補助金を「医療・介護等支援パッケージ」にて緊急措置することが明記され、1兆3,649億円の同パッケージ(医療分野1兆368億円のうち、賃上げ・物価上昇に対する支援分5,341億円)を盛り込んだ令和7年度補正予算(※3)が、12月16日、無事に参議院で可決され成立しました。

そして、本丸は令和8年度診療報酬改定。12月19日、高市首相、上野賢一郎厚労相、片山さつき財務相による三者協議によって、「診療報酬本体改定率3.09%」が決定されました。30年ぶりに3%を超える大幅なプラス改定となったのは、まさに、関係団体が一致団結して勝ち取った成果だと言えます。ですが、ここからは関係団体間の配分(取り合い)合戦です。

本会としては、今回の補正予算とこれからの診療・介護等報酬の増加分が、確実に看護職の給与として皆さまの手元へ届くよう、引き続き、働きかけてまいります。労働に見合う処遇の改善なくして、看護職の活躍は期待できません。全国の看護職174万人が力を合わせれば、もっともっと理想的な働き方や処遇の実現に近づくことができます。しかしながら、日本看護協会の会員数は年々減少の一途を辿っており、現在は約73万人(2025年3月末)。社会を動かすパワーをよりいっそう発揮するため、本年はもっともっと多くの看護職に入会していただきたいと心から願っています。

※1 内閣府:経済財政運営と改革の基本方針2025,2025年6月13日[2025.12.22確認]
※2 内閣府:「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~,2025年11月21日[2025.12.22確認]
※3 本号「TOPICS」(p.8-10)参照

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