日本看護協会とは

会長の手帳(日本看護協会 会長 福井トシ子)

月刊『看護』2018年6月号より

特別支援学校等における医療的ケアの実施に向けたガイドラインの整備を

省庁等への平成31年度予算・政策に関する要望を4 月から行っています。
4月23日には、文部科学省初等中等教育局長へ、特別支援学校等における医療的ケアの実施に向けたガイドラインの整備と周知に関する要望をしました。

特別支援学校等に在籍する医療的ケアを必要とする児童生徒等は、増加傾向にあります。「平成29年度特別支援学校等の医療的ケアに関する調査結果」*1によりますと、医療的ケアが必要な幼児児童生徒数は、平成25年度7,842名から、平成29年度8,218名へと増加しています。

障害も重度かつ重複しており、人工呼吸器の管理等の高度かつ多様な医療的ケアが必要になっています。同調査結果を平成28年度の調査結果*2と比較してみると、延べ人数が増加している医療的ケアは、胃ろうを含む経管栄養、気管切開部(気管カニューレ奥)からの吸引、気管切開部の衛生管理、ネブライザー等による薬液(気管支拡張剤等)の吸入、酸素療法、人工呼吸器の使用等でした。特に呼吸系に関する医療的ケアが増えています。

このように、医療的ケアを必要としている子どもたちが増え、制度も変化しています。平成17年に日本看護協会が文科省から委託を受け、「盲・聾・養護学校における医療的ケア実施対応マニュアル」*3を作成しましたが、作成からすでに10年以上経過しています。

そこで、特別支援学校等における医療的ケアの実施に向け、関係機関や職種の役割、標準的な実施体制を整備した統一的なガイドラインの整備が必要と考え、要望したところです。文科省では昨年11月から「学校における医療的ケアの実施に関する検討会議」が開催され、医療的ケアを必要とする子どもたちの支援のあり方について、議論が開始されています。

この検討会は、今年度に中間とりまとめがなされ、平成31年度末まで検討されるとのことですが、検討事項としては、
①医療的ケアの実施体制の在り方について
②人工呼吸器の管理等の特定行為以外の医行為を実施する際の留意事項について
③実施できる医療的ケアの範囲の明確化について
④校外学習・宿泊学習など学校施設以外の場で医療的ケアを実施する際の基本的考え方の整理について
⑤看護師が学校において医療的ケアに対応するための研修機会の充実について
が挙げられています。

中間とりまとめにガイドラインを作成する方針が示されるよう、審議経過を注視し、意見や提案をしていきたいと思います。