日本看護協会とは

会長の手帳(日本看護協会 会長 福井トシ子)

月刊『看護』2019年12月号より

組織が取り組むヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)の推進を

2019年10月2日(水)「ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)セミナー」をJNAホールで開催しました。参加者は約200名で、病院の看護職だけではなく、事務職の方や保健所や企業などに就業されている方の参加もあり、このテーマに関する関心の高さを実感しました。

日本看護協会は、「看護職の働き方改革の推進」を重点政策に掲げ、「看護職が働き続けられる環境づくり」に力を入れています。看護職が長期に渡る職業人生を健康で全うするためには、1人ひとりが尊重し合える職場環境・風土が大切です。超少子高齢社会が進む日本において、ケアを受ける人もケアを行う人も、誰もが安全・快適に過ごせるようにすることが必要です。しかし、医療・介護の現場では、患者や利用者、そして職場の同僚からの暴力・ハラスメントが、課題となっています。

2019年5月の国会で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、「労働施策総合推進法」が改正されました。職員によるハラスメント行為について事業主に対策が義務づけられ、附帯決議の中では、カスタマーハラスメントについても雇用管理上の配慮が求められる旨が盛り込まれています。

「顧客からの迷惑行為」については、事業主による対策の義務づけは見送られましたが、本会の調査や、政府の「平成30年版過労死等防止対策白書」において、看護職が職場で顧客からの迷惑行為を受けている実態が明らかになっています。

この状況を受けて本会では、2019年4月に厚生労働大臣宛に、事業主(医療機関)が構ずる対策を明確にしてほしい等の要望を行い、厚生労働省は「医療現場における暴力・ハラスメント対策普及啓発事業」として、医療現場における患者からの暴力やハラスメントに対する教材作成や周知活動に充てるため、来年度の概算要求として3,400万円を計上しました。本会では、今後も、制度による規制と現場のマネジメントの両面から、看護職が安心して安全に働き続けられる職場の実現に向けて取り組んで参ります。

セミナーでは、カスタマーハラスメントに焦点を当て、「国におけるハラスメント対策について」「組織的ハラスメント対策における産業保健師の関わり」「多職種連携によるカスタマーハラスメント防止対策」「カスタマーハラスメントと職員間パワーハラスメントの経時的分析及び対策」について、さまざまな立場から報告していただきました。

本セミナーが、組織が取り組む、健康で安全な職場づくりの推進に役立つことができるよう期待しています。