日本看護協会とは

会長の手帳(日本看護協会 会長 福井トシ子)

月刊『看護』2022年10月号より

看護の専門性の発揮に資するタスク・シフト/シェアに関するガイドライン

本年6月に標記のガイドラインを発出しました。看護の専門性の発揮に資するタスク・シフト/シェアの取り組みに関する考え方としては、あらゆる場で実践を行う看護職を対象とした行動指針「看護職の倫理綱領」(2021年)、保健師助産師看護師法で規定されたすべての看護職に共通の看護実践の要求レベルと責務を示す「看護業務基準」(2021年改訂版)を公表していますが、本ガイドラインは、これらに基づいて看護の専門性の発揮に資するタスク・シフト/シェアの取り組みを進める上で重要な基本的な考えを示しています。

医師の働き方改革が進められる中にあっても、国民に必要な医療が安全かつタイムリーに提供されるよう、医療機関で働くすべての職種がタスク・シフト/シェアに向き合っていくことが求められています。そのため、組織においてタスク・シフト/シェアの検討を行う際には、多職種から構成される検討の場を設け、「患者にとっての利益」を共通の目標とすることが必須です。自施設の理念や使命等を踏まえ、各職種がどのように協力・分担すれば、地域の人々に安全・安心な医療を提供し続けることができるのかといった視点で検討を進めることが大切です。

労働力人口の継続的な減少が見込まれる日本においては、業務の効率化を通じて組織全体の業務量を軽減し、限られた人材で効率的に医療を提供できる体制の構築は喫緊の課題です。医師の時間外労働の上限規制の適用を契機に、どのように組織体制を再構築し、どのように職種間で業務を分担していくのか、多職種で検討することが重要です。

国におけるタスク・シフト/シェア推進の流れは、医師の働き方改革を目的としており、「これまで医師が行ってきた業務をどの職種に任せるか」という点に注目が集まりがちです。しかし、人口構造や疾病構造等の社会や医療を取り巻く環境に大きな変化が生じており、看護業務のあり方や提供のあり方についても見直しが必要な時期でもあります。タスク・シフト/シェア推進は国を挙げた多職種が関与する大きな医療の変革です。看護界では、看護師がその専門性をさらに発揮し、より質の高い医療を提供できるようにするための契機としていくことが期待されています。そのため、①看護師が専門性を発揮し、患者の状態やその変化に応じて判断・対応できるよう医師とのタスク・シフト/シェアに取り組むこと、②看護師がその専門性を要する業務に専念できるよう他職種との業務分担を推進することにより、「看護の専門性の発揮に資するタスク・シフト/シェア」を進めていくことが重要です。

医師の働き方改革で看護現場は変わります。本ガイドラインを活用し改革を推進していただきたいと思います。