会長の手帳(日本看護協会 会長 秋山 智弥)
機関誌「看護」2025年9月号より
災害支援ナースの献身的な支援活動に敬意と感謝を表します
会長に就任してはや1カ月が経過しました。鹿児島県トカラ列島の地震活動の活発化は依然として心配な状況です。危険を承知の上で、住民の方々の健康管理や心身のケア、現地の看護職の負担軽減に大きな役割を果たしている災害支援ナースの活躍ぶりには本当に頭が下がるとともに、心から誇りに感じます。どうか、住民の皆さま、また、避難されている皆さま、そして災害支援ナースの皆さまが無事でありますように。
7月2日、国において「災害対応に係る保健医療福祉関係団体連絡会議」が開催され、令和6年能登半島地震における災害支援ナースの活動経過など、本会における災害対応の取り組みについて報告してまいりました。2024年1月1日、発災当日における本会内での危機対策本部の設置に始まり、1月5日には石川県看護協会が奥能登地域における医療機関3カ所で災害支援ナースの支援活動を開始、翌6日からは本会の派遣調整によって全国の災害支援ナースの支援活動も始まりました。2月29日の活動終了日までの間、医療機関5カ所、避難所15カ所、1.5次避難所(※)12カ所において、計27都府県看護協会から派遣された延べ2,982人の災害支援ナースによる献身的な支援活動が行われました。災害支援ナースの皆さまには心から敬意を表し、深く感謝を申し上げるとともに、派遣調整に当たられた石川県看護協会はじめ各都道府県看護協会の皆さま、そしてまた、快く災害支援ナースを送り出していただいた派遣元医療機関等の管理者の皆さま、さらにはまた、各医療機関等で災害支援ナースの分まで患者の看護に当たった看護職の皆さまに、心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
1995年の阪神・淡路大震災を契機に誕生した災害支援ナースは、2011年の東日本大震災で40都道府県看護協会の延べ3,770人が、2016年の熊本地震で15都府県看護協会の延べ1,688人が活動。震災はもちろんのこと、豪雨や台風などあらゆる自然災害において、被災された方々の心身のケアや健康管理、避難所の環境整備や感染症対策、また、被災した医療機関における看護業務の支援などに献身的に従事してこられました。従来は個人が休暇を取得して研修に参加し都道府県看護協会に登録され、支援活動に従事してこられた災害支援ナースでしたが、コロナ禍を経て、2024年4月からは、DMATやDPATと同様、国が養成・登録する「災害・感染症医療業務従事者」として医療法に位置づけられ、公的に活動できるようになりました。新たな養成研修は2023年度から始まり、2025年2月現在8,408名が修了しています。
自然災害はいつどこで起きても不思議ではありませんし、常日ごろから臨機応変な対応に迫られ、その技(わざ)や術(すべ)を身につけている看護職は誰しもが災害支援ナースの素養を身につけていると思います。引き続き、多くの看護職が養成研修に参加され、発災時のみならず平時からもその技術をいかんなく発揮され、看護の成果を上げられることを期待しています。
※ 被災地の避難所からホテル・旅館等の2次避難所へ移動するまでに過ごす被災地外に設置された一時的な避難施設
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