会長の手帳(日本看護協会 会長 秋山 智弥)

機関誌「看護」2026年10月号より

それぞれが、それぞれの立場で、できることを!
令和8年熊本地震での災害支援に当たって

令和8年熊本地震で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また、発災当初より懸命な支援活動に尽力されてきたすべての皆さまに、深く敬意と感謝を表します。

本会は、7月28日の発災直後より本会内に危機管理対策本部を設置し、国ならびに被災地域の各県看護協会と緊密に連絡を取りながら、被害状況の把握と必要な支援の調整を進めてまいりました。病院や避難所等への災害支援ナースの派遣は、熊本県看護協会による県内派遣が7月30日から開始され、8月31日までに延べ376人が支援活動に当たってきました。また、本会の調整による県外派遣は8月3日から開始され、9月2日までに計12府県看護協会から延べ1,538人が支援活動に当たってきました(※1)。そして、今なお県内・県外ともに支援活動が継続しています。引き続き、各都道府県看護協会ならびに関係団体、行政と連携し、被災された皆さまに必要な支援が届くよう、全力で取り組んでまいります。併せて、被災地の医療提供体制の維持に向け、熊本県ナースセンターにおいて「くまもっと活躍(復興応援)ナース」(※2)の緊急募集が開始されています。全国から多くの応募が集まりますよう、周知、お声かけのほど、ご協力をお願いいたします。

災害支援ナースは、阪神・淡路大震災をきっかけに看護協会独自の仕組みとして誕生し、大規模自然災害で被災された方々の健康を守るとともに、被災した看護職を支えてきました。2024年4月からは、これまでの多くの実績が評価され、法令等に基づく国の仕組みとなっています。本会は国からの委託を受け、都道府県看護協会とともに災害支援ナースの養成研修を実施しており、2026年3月末現在、全国1万1,472名の修了者を輩出しています。

阪神・淡路大震災のとき、東大病院で勤務していた私は、実家が大阪であることもあり、居ても立ってもいられず、われ先に派遣スタッフに手上げしたものの、病棟の人員不足のために聞き入れられず、つらい思いをしました。しかし、最前線に行くことだけが支援ではないことをすぐに悟りました。自分がここを守ることで、誰かを送り出すことができるのであれば、それも支援の一環なのだと。そして、東日本大震災の年、4月に京大病院看護部長に着任した最初のあいさつで新入職員に向けてその話をしました。居ても立ってもいられない新人もいたはずです。しかし、あなたたちが今できることは、1人でも多くの先輩ナースを被災地に送り出すために、1日も早く仕事を覚え、独り立ちすることなのだと。それがあなたたちの災害支援なのだと。

災害支援は、訓練を受けたDMATやDPAT、災害支援ナースはもとより、それらの職員を送り出すために所属機関の看護を守っているすべての看護職、そしてまた、被災した看護職を支援するためにさまざまな団体を通じて派遣されてくる看護職など、二重三重のバックアップ体制の下で成り立っています。「それぞれが、それぞれの立場で、できることをやる」-それこそがワンチームでの災害支援だと思います。皆で力を合わせて、乗り越えていきましょう!

※1 令和8年熊本地震 関連情報
※2 熊本県ナースセンター:TEL 096-365-7660、E-mail kumamoto★nurse-center.net(送信時に@にしてください)、「くまもっと活躍ナース」登録票

よりよいウェブサイトにするために
みなさまのご意見をお聞かせください