日本看護協会とは

会長の手帳(日本看護協会 会長 福井トシ子)

月刊『看護』2019年10月号より

第47回フローレンス・ナイチンゲール記章授与

令和元年8月7日、午前中に授与式があり、日本赤十字社の名誉総裁であられる皇后陛下によって、御手ずから秋山正子様、竹下喜久子様にフローレンス・ナイチンゲール記章が授けられました。今回は世界18カ国29名が受章。これにより、世界の受章者総数は1,517名、日本からの受章者は110名で、世界で最も多い受章者数です。すなわち日本の看護が広く世界に認知され賞賛されていると誇らしく思います。

秋山様・竹下様のご功績を、紹介させていただきます。
秋山様は、看護大学ご卒業後、19年間臨床や看護教育の経験を積まれたのち、訪問看護を20年間実践され、その後、都営団地の一画に「暮らしの保健室」を立ち上げられました。これは、英国のがん相談支援施設「マギーズがんケアリングセンター」に共感し、「日本にも必要」という強い想いから立ち上げられたと聞いております。「誰でも、予約なしで、気軽に、無料で」立ち寄ることのできる暮らしの保健室は、地域住民の健康よろず相談室として、地域になくてはならない相談室になりました。この取り組みは、日本初の取り組みでした。この暮らしの保健室をモデルにした活動は、全国に50を超えるまでに広がりをみせています。

その後、この活動に共鳴する仲間と日本初の正式なセンターとして「マギーズ東京」を開設されました。そこは家族的で居心地のよい建物で、がんにかかわる人たちが気軽に利用でき、がんに詳しい看護師・心理士が友人のようにサポートをしてくれ、生きる力を取り戻せる居場所とお聞きします。

竹下様は、赤十字の看護教育機関をご卒業後、赤十字医療施設・教育施設、日本赤十字社に勤務され、このたび、国内外の災害救護活動への画期的な取り組みおよび医療施設の看護師への実践教育などが評価されました。

東日本大震災では、甚大な被害を受けた石巻赤十字病院の看護スタッフへの支援や全国の赤十字医療施設からの看護師派遣に尽力されました。6カ月間に及ぶ支援に奔走し、同院の災害医療体制維持に大きく貢献されました。これまでに例のない救護活動が求められた中、急性期の救護活動・心のケアの実施現場を通して、災害時における慢性期の看護へのニーズに気づかれたとお聞きします。そして、初めて「看護ケア班」を編成・派遣されました。この経験により、災害全サイクルに対応できることをめざして救護看護師教育の改善をはかられました。

このように、秋山様、竹下様の先見の明と卓越した行動力、情熱をもって看護界に新しい道を切り開いてくださいましたご功績は、まさにフローレンス・ナイチンゲールの精神にふさわしいものと存じます。

お2人には、これから後に続く私たちをご指導くださいますよう、お願い申し上げまして、日本看護協会としてお祝いの言葉とさせていただきました。

  • 看護師に与えられる世界最高の名誉ある記章で、傷病者の看護の向上に献身し、人道博愛精神を求めたナイチンゲール女史の偉大な功績を永遠に記念し、看護活動に顕著な功労のある方を顕彰する目的で授与される。平時または戦時にあって、傷病者、障害者、または紛争や災害の犠牲者に対して、偉大な勇気をもって献身的な活動をした方や、公衆衛生や看護教育の分野で顕著な実績、あるいは創造的・先駆的貢献を果たした看護師に与えられるとされている。