常任理事のマンスリー通信
機関誌「看護」2025年8月号より
常任理事 井本 寛子
2025年度全国助産師交流集会を開催
先般行われた交流集会では、2024年に情報収集を進めてきた地域で助産師が役割発揮するための体制構築を主テーマに取り上げました。最初に、こども家庭庁より、国が推進している母子保健事業の解説が行われ、プレコンセプションケアや産後ケア事業などに関する助産師への役割期待が述べられました。その後、公立病院からの市保健センターへの助産師出向の事例、第8次医療計画で推進がはかられているセミオープンシステムを活用した妊産婦支援の事例について、それぞれ取り組み施設から具体的方策をご報告いただきました。「少子化だからと言って助産師の役割が減少しているわけではない!少子化の時代だからこそ助産師がもっと地域で活躍すべきである」と会場から意見がありました。少子化の中にあって妊産婦の孤独感は高まり、よりいっそうの支援が必要です。また、女性の健康課題は社会問題となっています。今後も地域での助産師の活動がさらに広められるよう最後の1年しっかり取り組んでまいります。
常任理事 木澤 晃代
3期目のごあいさつ
令和7年度通常総会におきまして、常任理事として3期目の信認を賜りました。就任当初は臨床現場とは異なる業務に関して戸惑いがありましたが、5年目となり、自身のやるべきことを着実に、そして真摯に実行することに注力したいと思います。所掌業務は、医療保険制度・診療報酬に関すること(中央社会保険医療協議会)、特定行為研修制度に関すること、看護資格認定制度に関すること、国際活動に関すること(ICN、国際関連団体との連携含む)です。
診療報酬関連では、引き続き処遇改善と、新たに医療・看護の質向上や連携強化に向けた看護管理体制の強化を要望しています。看護職員就業者が確実に減少する中、質の高い看護を提供するためには、ロールモデルとなってけん引する専門性の高い教育を受けた看護管理者・看護師の計画的で着実な人材育成が重要です。関係者と調整しながら、地域偏在なく教育が受けられるような体制整備に努めてまいります。
常任理事 田母神 裕美
2025年度事業の取り組み
令和7年度通常総会において3期目の信任をいただきました。引き続き、「看護基礎教育・准看護師制度」「在宅医療・訪問看護等」「介護保険制度・介護報酬」「介護保険施設の看護」「看護師職能委員会Ⅱ(介護・福祉関係施設・在宅等領域)」を担当します。今後の社会を見すえすべてが重要な課題であり、皆さまからご意見をいただき進めてまいります。看護師基礎教育については課題の把握とともに強化すべき内容を含む改革案提示に向けた検討、准看護師養成に関する課題への対応については情報提供に関する具体的な検討とともに、現在就業している准看護師への支援として看護師養成所への進学支援、本会ガイドライン(※)に基づく業務のあり方の普及を行います。また、重点事業「地域における看護職の確保と活躍推進」の実施計画「在宅・施設領域の看護職確保・活躍推進」では、要介護高齢者の住まいとして看護職の活躍が大きく期待される介護施設領域の人材確保策を含め、検討を進めます。
常任理事 松本 珠実
保健師の原点への回帰
通常総会の翌日、全国保健師交流集会を開催しました。全国から146人の参加があり、講演と、「地域への愛着」をテーマにシンポジウムを行いました。地域で奮闘する保健師の漫画を描いておられる埜納(ののう)タオ氏から保健師の魅力を語っていただいた後、長年、住民の地域への愛着をテーマに研究している聖路加国際大学大学院の大森純子教授に「地域への愛着」に関する概念整理と保健師活動への応用についてお話しいただきました。その後、新任期、中堅期、プラチナ世代の保健師より、住民を生活者として捉え、その生き方を尊重しながら、住民やステークホルダーを主体としたさまざまな工夫やネットワーク、事業が創造されるプロセスが語られました。フロアからの各地域の好きなところを教えてほしいとの質問に、3名とも、地域住民の人としての魅力や住民同士の絆を挙げられたことが非常に印象的でした。まさしく、保健師の原点回帰となり、明日からの糧となる温かい時間を共有しました。
常任理事 橋本 美穂
「カスハラはNO!」を周知し安心・安全な職場を
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の改正により、大企業は2020年から、中小企業は2022年から、職場におけるパワハラに対し事業主に雇用管理上必要な措置を講じるよう法的に義務づけられました。2007年の男女雇用機会均等法の改正によりセクハラ対策が、2016年の男女雇用機会均等法および育児・介護休業法の改正によりマタハラ、ケアハラ対策が義務づけられています。こうした動きに対し、カスハラについては、対象が「従業員等」ではなく、「顧客等」であることから法制化が難しいとされていました。しかし、ついに本年6月4日労働施策総合推進法等の一部を改正する法律が国会で成立し、カスハラについても事業主に対し対策の措置義務が法制化されました。患者・家族からの暴言、暴力によって、安心・安全な職場が損なわれている実情があります。この法制化を機に「カスハラはNO!」が国民に周知されるよう本会も取り組みを進めてまいります。
常任理事 淺香 えみ子
常任理事就任のごあいさつ
臨床の場は、創意工夫の中で変化する状況に対応し多くの変革をもたらしてきました。同時に大きな負荷を抱え続けています。多様な実践の場に唯一の正解はないと思いますが、看護職のウェルビーイングをめざし現実を直視しつつ将来への可能性を鑑みて、今すべきことを皆さまとともに考えていきたいと思います。「できない」ではなく「どうしたらできるかを考える」が私の行動指針です。これまでの大学病院副院長・看護部長としての管理経験や救急看護認定看護師としての実践とともに、国の協議会委員の経験を生かし、看護職が納得して働くことのできる体制を実現するために施策の提案と実装に向けて活動してまいります。所掌担当は看護職の労働環境・労働条件、看護管理(DiNQL含む)、看護業務(看護倫理を含む)の推進、医療機能評価、看護師職能委員会Ⅰ(病院領域)に関することです。人口減少がもたらす社会の変化を看護職の価値を際立たせるチャンスと捉え、将来を見すえて今を大事に課題に取り組んでまいります。
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