日本看護協会とは

常任理事のマンスリー通信

月刊『看護』2020年2月号より

常任理事 吉川久美子

常任理事 吉川久美子

【2020年度診療報酬改定はプラス改定。働き方改革の推進に向け準備を】

2020年度診療報酬改定(以下:本改定)は、増え続ける医療費を抑制するためマイナス改定としたい財務省に対し、医療従事者とりわけ医師の働き方改革の推進費用が加わり、結果的に本体部分は0.55%のプラス改定となりました。個別の報酬項目に関する単価などは2月ごろに決定する予定で、中医協等で検討が進められています。本会が要望した事項について、この原稿を執筆している2019年12月時点では、どのような結果になるかはまだわかりませんが、本改定における議論では、患者へよりよいケアを提供し、心身の改善に結び付く多職種でのチーム医療に対する評価が頻回に検討の俎上に上がりました。本改定の動向に関する情報収集を行い、診療報酬の算定がもれなく行えるよう、準備を進めていただければと思います。また、本改定の重点課題となっている「働き方改革の推進」に向け、医師からのタスク・シフト/タスク・シェアを受けつつ、看護職の仕事の他職種への移譲についての検討も積極的に進めてください。

常任理事 熊谷雅美

常任理事 熊谷雅美

【ICNアジアワークフォースフォーラムin 韓国】

2019年11月21〜22日にICNアジアワークフォースフォーラムに出席しました。アジアの11協会が参加した看護労働に関する会議です。各国から、少子高齢社会であること、看護職の確保定着に課題があることが報告されました。多くの国が、経験豊かな看護師(本会ではプラチナナースと呼んでいます)の活用促進はもとより、若い世代への対策を充実させていました。例えばマカオは若い世代の看護職を、今回のワークフォースフォーラムに出席させて、世界に視野を広げられるように育成をされていました。また看護職の労働環境を整えるためには、処遇改善が重要であるとの考えから、看護基礎教育の大学4年制化や免許の更新制度を推進していました。どの国においても看護職の地域偏在は深刻化しており、中には国家プロジェクトとして取り組んでいる国もありました。今回の会議での各国のプレゼンテーションや意見交換から得た大変多くの学びは、協会ニュースや本誌を通じてご報告させていただきます

  • TOPICS(p.26-27)参照

常任理事 荒木暁子

常任理事 荒木暁子

【特定行為研修を修了した認定看護師の活動のエネルギー】

全国の特定行為研修を修了した認定看護師の活動に触れることが多くあります。―ある東北の集中ケア認定看護師。看護管理者と話している中で、病院のビジョンと自分のやりたいことが重なるのを感じ、職場の支援を受けて特定行為研修を受講した。病棟看護師から「ICUに違うマスクがないか」という問い合わせがあった。非侵襲的陽圧換気中で、マスクを嫌がっている患者がいるという。研修前は違うマスクを渡して終わったかもしれないが、彼は手順書を用いて病棟看護師と一緒にフィジカルアセスメントし、マスクだけでなく呼吸器のモードも変更した。患者は吸気時の風が減って楽になり、マスクを外す行動が減った。彼は「集中ケア認定看護師は『治療の継続』だけでなく「快適性」も確保することが大事」と言った。
彼ら・彼女らの看護実践を聞いていると、看護の可能性、エネルギーを実感します。彼らの患者・利用者への姿勢はとても真摯で、それをまわりの看護師と惜しげもなく共有しています。

常任理事 鎌田久美子

常任理事 鎌田久美子

【「母子保健奨励賞」表彰式典が開催され15名が表彰】

母子保健奨励賞は地域に密着した母子保健活動を5年以上行い、他の模範となる存在でわが国の母子保健の発展と向上に尽力した個人をたたえるもので、1979年の国際児童年を記念して創設されました。同賞の創設にあたっては、当時、皇太子、同妃殿下であった、上皇、上皇后両陛下からの祝福を受けたとのことです。令和元年度(2019年度)第41回母子保健奨励賞(母子衛生研究会・母子保健功労顕彰会主催)の表彰式典が去る2019年11月27日に開催されました。2019年度は30名の応募者の中から厳正な審査の結果、母子保健に携わる15名の方が表彰されました(保健師5名、助産師7名、歯科衛生士1名、医師2名)。
最近、児童虐待等の報道がされるたびに心が痛みます。次世代を担う子どもたちの健やかな成長を見守り育む地域づくりが全国で展開されることを願っています。なお、受賞者の活動内容は、母子保健奨励賞ホームページに掲載されますのでご参照ください。

常任理事 井本寛子

常任理事 井本寛子

【産後ケア法案が可決〜母子に必要な支援を確実に届けるために〜】

2019年11月、産後ケア事業を実施する努力義務を各市町村に規定する「母子保健法の一部を改正する法律案」が成立しました。本会は同年5月に厚生労働省に対し、すべての妊産婦が産後に必要な支援を受けられる体制整備を推進するため、産後ケアセンターを母子保健法に位置づけることを要望しました。現行の事業は子育て世代包括支援センターの業務に位置づけられており、「利用対象者がリスクを持つ母子等、特定の条件に適合していない場合」は「(希望通りには)利用できないこともある」とする市町村があるなど、必ずしも支援が十分とはいえない現状がありました。本法案の成立により、支援が届かない母子は確実に減ります。産後ケア事業は、現在も市町村から委託を受けた病院や診療所、助産所が担っていますが、今後は全市町村への努力義務として推進されることになります。実施に当たっては助産師をはじめとする看護職の役割発揮が求められます。法律施行に向けて議論を注視していきたいと思います。

常任理事 岡島さおり

常任理事 岡島さおり

【介護施設等における看護指導者養成研修を終えて】

本研修会は、介護施設等において看護の指導的立場にある方を対象に、本会神戸研修センターで毎年開催しています。厚生労働省「高齢者権利擁護等推進事業」の一環として、利用者の権利擁護を推進する上で必要な看護職としての専門的知識・技術を習得し、各都道府県における研修企画への参画や地域のネットワーク構築を推進する人材を養成することを目的としたものです。2019年度は11月27〜29日の3日間で、26都道府県から約60名の受講者を迎えました。講義や演習を通じて、人材育成や他職種との連携の難しさ、医療的視点の重要性を理解してもらうことの大変さなどが共有されたほか、利用者の満足やスタッフのやりがいにつながる指導方法なども含めて活発な情報交換がなされました。介護施設等における看護の価値を高め、ケアの質を向上させるために、2020年度も都道府県看護協会や介護保険施設関連団体を通じて情報発信をしていきます。次年度もぜひ多くの方にご参加いただきたいと思います。