常任理事のマンスリー通信

    機関誌「看護」2024年3月号より

    常任理事 吉川久美子

    常任理事 吉川久美子

    看護政策を推進していく上でデータ活用に関する看護職の専門家との連携は必須

    2024年1月1日に発生した能登半島地震で被災された方々にお見舞い申し上げます。また多くの皆さまの災害支援へのご協力に感謝申し上げます。地震災害に関する情報共有および災害支援ナースの派遣調整等の本会内の会議、国から発出される文書を確認しながら現状を把握しております。そのような中、先日、本会において「リアルワールドデータ(RWD)を用いた看護介入の現状と可能性」について、講師をお招きして勉強会を実施しました。看護政策を推進していく上では、データ活用が必須ですが、NDBやDPC等のビッグデータを分析するのは容易なことではありません。また、国などのビッグデータの中には、看護介入による効果を見ることができるデータが非常に少ないことから、本会ではさまざまな調査や実証事業を行い、データを集め、看護実践による効果等の収集をしています。RWD活用における看護職の専門家と連携することで、看護実践による効果の可視化が進められると思いました。

    常任理事 井本寛子

    常任理事 井本寛子

    看護職における賠償責任保険制度の意義を考える機会を持ちましょう

    このたびの能登半島地震に被災された皆さまにお見舞い申し上げるとともに、支援をしてくださっている看護職の皆さまに感謝申し上げます。さて、各現場では新人看護職の受け入れ等、次年度の準備を進めていることと思います。この機会に、看護職の“備え”としての「看護職賠償責任保険制度」について考える時間をお持ちいただけますでしょうか。今年度に実施した研修アンケート結果では、制度について職場で情報提供を受ける機会が「ない」との回答が半数に上りました。医療は高度化・複雑化し、看護職が独自の業務を行う場が拡大して法的責任を問われる事例も増加しています。病院が民事訴訟を起こされた場合に、訴訟に係る費用を関係した看護職に求償する事案も増えています。当事者となってから制度加入を検討しても、タイ
    ムリーな相談や補償は受けられません。本会ホームページには看護部門で視聴いただける「看護職賠償責任保険の意義」※を公開しています。新人オリエンテーション等にご活用ください。
    ※ 詳細は看護職賠償責任保険制度のホームページをご確認ください

    常任理事 森内みね子

    常任理事 森内みね子

    ナースセンターにおいて看護補助者の無料職業紹介に取り組みます

    2023年10月26日に「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」が告示されました。本指針には今回、新たに「看護師等の確保を図るための看護補助者による業務実施の推進」の項が加わりました。その中では、都道府県ナースセンターにおいて、地域の実情や病院等のニーズに応じて、職業安定法に定める必要な届出を行った上で、看護師等の無料職業紹介と併せて、看護補助者の無料職業紹介を実施することが重要であるとされています。
    看護補助者の確保が困難であることは喫緊の課題です。都道府県ナースセンターが、2024年度中に看護補助者の無料職業紹介が実現できるよう、中央ナースセンターにおいても都道府県看護協会・ナースセンター、ハローワークと連携を取りながら看護補助者の確保・定着の仕組み等の構築を進めてまいります。

    常任理事 木澤晃代

    常任理事 木澤晃代

    「2024年度診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定説明会」を3月に開催

    2024年度の3報酬の同時改定に関する説明会を3月25日(月)13:00~16:00にYouTubeライブ配信にて開催します。厚生労働省の各担当者および本会役員より、看護に関連する改定内容や、意図等について説明します。お申し込みをいただいた方は無料で視聴が可能です(日本看護協会会員限定)。説明会の視聴を希望される方は、日本看護協会ホームページの専用フォームより、3月12日(火)までにお申し込みください。施設単位で視聴される場合は、YouTubeライブに接続する代表者によるお申し込みも可能です。
    また、改定内容に関するご質問を、質問受付フォームにて受け付けいたします。個別の回答はしかねますが、可能な範囲で説明内容に反映します。今回の改定は、看護に関する事項も多くありますので、ぜひご参加ください。

    常任理事 田母神裕美

    常任理事 田母神裕美

    「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」から考える、看護師等の養成

    2023年10月に標記の指針が改定されました。厚生労働省・文部科学省が定める本指針には、今後の看護職の質的・量的確保にかかわる事項と方向性が示されています。多岐にわたる内容ですが、それぞれの立場で、さらに関係者と連携し、取り組みを進めることが重要です。指針の第二は「看護師等の養成」で、「就学者の確保」「資質の高い看護師等の養成」について記載があります。就学者の確保を持続可能なものとするために、18歳人口の減少や社会人経験者の就学を想定しつつ、「専門職としての看護師等の魅力」を国民に広く伝えていく必要性が指摘されています。魅力を構成するものは何か、と考えると指針第一から第七のすべてが関係してきます。養成に関して、看護教員の確保、地域包括ケアを念頭に置いた多様な場における実習の実施と実習指導者の確保、看護系大学・大学院の充実等が述べられています。看護職の基盤となる基礎教育について、指針を通して考え、取り組んでいきましょう。

    常任理事 中野夕香里

    常任理事 中野夕香里

    能登半島地震における災害支援ナースの活動

    2024年は深刻な年明けとなりました。能登半島地震で被災され、今も、さまざまな困難の中での生活が続いている皆さまに心よりお見舞い申し上げます。日本看護協会では、元旦の夜に対策本部を立ち上げ、被害のあった石川県、富山県、新潟県、福井県の都道府県看護協会と連携して現地の状況の把握に当たり、それを踏まえ、被害が甚大であった石川県への支援に注力してまいりました。全国の都道府県看護協会と連携した災害支援ナースの派遣は1月24日までに延べ1300人を超え、医療機関、避難所(1.5次避難所含む)等における看護支援活動を行っていただいています。困難と混乱がある中で、多くの方々にご協力をいただき、活動を継続できていることに感謝するとともに、これまでの経験値の重み、この仕組みをしっかりと育ててきたことへの感謝、そして専門職としての責務を痛感しています。引き続き、災害支援ナースが安心・安全に活動できるよう取り組んでまいります。

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