日本看護協会とは

常任理事のマンスリー通信

月刊『看護』2020年4月号より

常任理事 吉川久美子

常任理事 吉川久美子

【2020年度診療報酬改定で示された看護・医療の方向性】

桜のつぼみも膨らみ、皆さまの施設では、新入看護職員の入職準備、そして2020年度の診療報酬改定への対応を進められていることと思います。2020年度の診療報酬改定について、先月号に「重症度、医療・看護必要度」の基準、項目、該当患者割合の変更がなされることを書きました。これらの要件変更によって、急性期医療のあり方が明確化するとともに、今後入院医療においてさらに機能分化が進んでいくことが予測されます。また、「摂食嚥下支援加算」「認知症ケア加算」においては、専門性の高い看護師の評価が新設されました。2年に1度の診療報酬の改定は、看護職への影響も大きいものです。看護職の役割は病院内にとどまらず、地域連携などあらゆる場で求められています。安全で効果的・効率的に看護・医療が提供できるよう、また日々患者と向き合いケアを提供している看護職の専門性が評価されるよう、新年度を迎えた後も引き続き政策提言を行っていきたいと思います。

  • 月刊「看護」4月号p.26〜29「TOPICS」参照

常任理事 熊谷雅美

常任理事 熊谷雅美

【循環器病対策推進協議会】

日本人の死因の第1位は悪性新生物、2位は心疾患、3位が老衰、4位が脳血管疾患です*1。そして、高齢社会において、国は健康寿命の延伸を目標の1つに挙げ、心臓病と脳卒中の予防に、積極的に取り組む施策を展開しています。2019年12月1日「脳卒中・循環器病対策基本法」が施行されました。その法律を具体的に推進するための計画策定に向けて、2020年1月17日「循環器病対策推進協議会」が設置されました。私も委員として参加し、看護が循環器病において、予防、治療、重症化予防、再発防止に、あらゆる場で活躍している状況を発言しています。2017年には、入院患者の26%は85歳以上となり*2、患者の状態は多様化・複雑化しています。さらには病床機能分化や医療の発展により、在院日数の短縮化が進んでいます。そのような中においても、看護師は、患者とともに、患者に寄り添い、エビデンスのある看護を提供しています。循環器病対策の中にしっかりと看護の役割が明記されるように活動します。

  • 1.厚生労働省:平成30年(2018)人口動態統計(確定数)の概況,2019.
  • 2.厚生労働省:平成29年(2017)患者調査の概況,2019.

常任理事 荒木暁子

常任理事 荒木暁子

【あらゆる場で活用できるJNAラダー】

この号がお手元に届くころ、新しい仲間を迎える準備も佳境に入りますね。新卒看護師を温かく迎え入れる環境や教育の準備。また、既卒の方は1人ひとりの豊かな背景を思い描き、この職場を選んでくれた思いに応え、少しでもスムーズに力を発揮してもらえるよう、さまざまな工夫をされていらっしゃることでしょう。標準的な看護実践能力を示す「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」(以下:JNAラダー)は約9割の看護師が知っています。今年度も福岡と東京の2カ所でJNAラダー交流会を開催し、700名以上の看護師・看護管理者が集まりました。会では、JNAラダーの人材育成システムへの位置づけや実践能力確認の具体的方法などについて情報提供したり、評価者の育成などについてディスカッションしました。JNAラダーがあらゆる場で働く看護師の“共通”の指標となり、地域の中で看護師を育成する仕組みに組み込まれる日を夢に描きつつ、活用支援を行っていきます。

  • 公益社団法人日本看護協会:2017年看護職員実態調査,2018.

常任理事 鎌田久美子

常任理事 鎌田久美子

【地域包括ケアシステム推進にむけた保健医療福祉の連携のあり方に関する会議】

厚生労働省先駆的保健活動推進交流事業 において、地域包括ケアシステムを推進し保健医療福祉の連携モデルを構築することを目的に、都道府県保健所の保健師が組織内外の看護職と連携・協議する場として2月14日に標記会議が開催されました。保健所単位の課題を共有した上で、地域の実情に応じた看護職の連携モデル案の普及に向けて本会が実施した事業(課題解決のための新たな医療・看護サービスの創出や、患者・住民への切れ目のない看護提供体制の整備等)の成果を報告しました。地域包括ケアシステム推進の連携段階には、第1段階「顔の見える関係・相互理解・情報共有」、第2段階「目的達成のための連携体制の構築」、第3段階「相互に役割を発揮し、包括的なケアシステムを運用・評価」があります。本会議を通して、顔の見える関係をさらに発展させ、地域全体の看護のあり方や、医療・福祉・介護連携までも視野に入れた地域独自の取り組みが推進されることを願っています。

  • 厚生労働省先駆的保健活動推進交流事業「地域包括ケアシステム推進にむけた保健医療福祉の連携強化に関する検討委員会」

常任理事 井本寛子

常任理事 井本寛子

【成育医療等協議会での議論が開始】

2018年12月に成立した「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(成育基本法)を受け設置された成育医療等協議会の第1回会議が2月13日に開催されました。この法律は、法律名にもあるように、すべての妊婦や子どもに妊娠期から成人期まで切れ目のない医療・教育・福祉を提供することの重要性が定められたものです。そして、国や地方公共団体をはじめ、私たち看護職を含む医療関係者の責務も明記されています。協議会は、夏ごろまでに基本方針案を取りまとめ、具体的な施策を実施するために必要な法制上または財政上の措置が講じられることになります。初回会議では、多くの委員が「妊産婦や子どもに切れ目のない支援を届けるには縦割りの仕組みではなく子どもの成長を縦軸にした仕組みが必要である」と意見しました。皆さまにもぜひ、議論の経緯や基本方針案について注視していただきたいと思います。

常任理事 岡島さおり

常任理事 岡島さおり

【看護師基礎教育における臨地実習について】

2019年10月に公表された「看護基礎教育検討会」の報告書に基づき、保健師助産師看護師学校養成所指定規則が改正されます。保健師・助産師・看護師・准看護師のいずれも、臨地実習の総単位数に変更はなく、本検討会で教育機関側から挙げられた課題の1つに実習施設の確保困難がありました。また、実習施設では多様な教育機関から学年も到達度も異なる学生を受け入れる負担感という課題を抱えています。臨地において体験的に学ぶ実習が重要であることは共通認識であるにもかかわらず、多くの地域では両者の課題を共有する場もないまま今日に至っています。質の高い看護師を養成するために基礎教育はどうあればよいか、臨地実習にはどのような体制を整えていけばよいか、あらゆる領域の看護管理者と教育関係者、そして都道府県行政と看護協会の皆さまがともに考えていくことが重要と考えています。本会としても取り組みを強化していきますので、関係者の皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。