日本看護協会とは

常任理事のマンスリー通信

月刊『看護』2018年6月号より

常任理事 中板育美

常任理事 中板育美

【地域と医療・施設間を結ぶ看護の力】

医療介護連携および地域包括ケアの牽引、災害への準備性の強化、困難事例対応、社会的弱者支援(生保受給者、虐待、障害者等)、市町村と保健所の重層的かつ分野横断的連携機能の復活、多機関連携などが各種報告や活動指針でも述べられ、統括ならびに管理職保健師の采配に期待がかかります。やりがいのなさや徒労感、慢性的疲弊が蔓延する前に、①いのちや生活にかかわる職務を担うことの確認、②年齢ピラミッドのゆがみや分散配置、異動周期の短期化などから生じるOJT機能不全を見直すなど、成果が実感できる働き方・育ち方を見直す時期でもあります。
在宅療養支援にせよ、入退院支援にせよ、地域の特性や資源の準備状況とともに個の家族特性を把握することなしに有効な支援の手立ては案出できません。家族力動を把捉する力とその家族が生き抜く環境改善につなげる力、そのために看護職がつながる努力は保健師本来の活動です。今年度は看護職の管理者間協働という実効性のある横展開に取り組んでいきます。

常任理事 川本利恵子

常任理事 川本利恵子

【緩和ケアの広がり!】

2016年末に「がん対策基本法」が改正され、緩和ケアについては、「がんその他の特定の疾病に罹患した者に係る身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安を緩和することによりその療養生活の質の維持向上を図ることを主たる目的とする治療、看護その他の行為をいう」と定義されました。これを受けて、循環器疾患等のがん以外の疾患(非がん疾患)に対する緩和ケアの推進に向け、「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」で議論が行われました。対策については厚生労働省ワーキンググループにおいて、まず循環器疾患における緩和ケアの検討が開始され、心不全の臨床経過や循環器疾患患者の全人的な苦痛、循環器疾患(特に心不全患者)の臨床経過を踏まえた緩和ケアについて、がんの経過と比較して共通点と相違点を検討しながら、チーム体制のあり方、緩和ケアの提供体制等について議論しました。緩和ケアの専門性の高い看護師の方々にぜひ注目していただきたいと思っています。

  • 2018年12月改正・施行

常任理事 勝又浜子

常任理事 勝又浜子

【ナース・プラクティショナー(仮称)実現に向けて】

「ナース・プラクティショナー(仮称)制度の構築」の推進に向け、米国(ハワイ州)における活動の実際等について情報収集を行うため、3月10〜14日まで、日本NP教育大学院協議会主催の研修に参加しました。米国ではNPは23万4000人、平均年齢は49歳、勤続年数11年、年収1100万円。ハワイ州はNPが独自のプラクティス(診断、治療、処方)、クリニックの開業、麻薬の処方・調整、検査オーダーなどをフルで行うことができる規程となっています。特にプライマリー領域において活躍し、患者の満足度に貢献、医療費の効率化・医師不足への対応にも効果を上げていました。患者を中心とした、Dr.、NP、PA、MA等さまざまな職種による同心円状のチーム医療が徹底され、それぞれの職種が自分の能力や業務範囲を厳格に守り、それを超える業務については専門家に委ねるという姿勢を貫いていました。高度実践を繰り返し、患者からの信頼を得ることと、実績を評価しエビデンスを蓄積する活動を続けていました。

常任理事 吉川久美子

常任理事 吉川久美子

【円滑な退院支援実現のために、入院前からの取り組みを評価】

新入職員のオリエンテーション、診療報酬改定への対応の進捗状況はいかがでしょうか?地域包括ケアシステムの構築として地域連携の強化、病院内の体制づくりは進んでいますか?2018年度の診療報酬改定では、入退院支援システムが強化され、入院前支援の実施にも加算が付きました。すでに多くの病院では、入院前に患者へのオリエンテーションが行われていますが、それらが評価されるとともにさらに強化されることになりました。
入院前にスクリーニングすることで、退院後に必要なことの予測が事前にできると、入院中のケア提供や患者サービスの向上につながります。地域との連携では、ケアマネジャーとの連携が重要になっていますが、ケアマネジャーにとって病院は非常に敷居が高いと言われています。病院のカンファレンスに積極的に参加を促すなど、同じ方向を向いてケアできるよう体制整備をよろしくお願いいたします。

常任理事 熊谷雅美

常任理事 熊谷雅美

【「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」改訂版が公表】

2018年3月14日、改訂「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が公表されました。この改訂に委員として参加させていただきました。改訂の経緯は、高齢多死社会の進展に伴い、地域包括ケアの構築に対応する必要があること、英米諸国を中心としてACP(アドバンス・ケア・プランニング)の概念を踏まえた研究・取り組みが普及してきていることなどがあります。これらを踏まえ改訂版は、病院における延命治療への対応を想定した内容の追加だけではなく、在宅医療・介護の現場で活用できるような見直しをしました。具体的には、①医療・ケアチームの対象に介護従事者が含まれることを明確化、②心身の状態の変化等に応じて、本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針や、どのような生き方を望むか等を、日頃から繰り返し話し合うことなどです。今後は、病院・介護現場のすべてのスタッフが一緒になって意思決定支援について学び、スキルを高めていくことが重要です。

常任理事 荒木暁子

常任理事 荒木暁子

【介護・福祉関係施設・在宅等領域で働く看護職の交流集会を開催!】

現場では、新任者への実務的な指導が始まったころでしょうか。診療報酬への対応もあり、 現場の息もつけない忙しさや鼓動を感じ、こちらも緊張してまいります。われわれ看護職は、 直近の2025 年、死亡数が最大となる2040 年と、迫り来る介護や看取りの課題に注目していま すが、そこに横たわる大きな日本の課題は人口、特に働き手の減少です。こういった状況を背 景に働き方改革が議論され、われわれ専門職には役割・機能の再考が求められています。在宅・ 介護施設の看護は、生活の中に医療的なニーズが埋め込まれている状況で行われます。家族や 介護職との協働において、私たちはさまざまな人に看護師の役割や仕事を伝え、お互いに理解 し合う必要があります。6 月の介護・福祉関係施設、在宅等領域で働く看護職の交流集会は、 アドバンス・ケア・プランニングや“伝える・伝わる”をコンセプトに講演やワークショップを 企画しました。さて、ご参加の皆さまには、何を持ち帰りいただけるでしょうか。