常任理事のマンスリー通信
機関誌「看護」2026年7月号より
常任理事 井本 寛子

8年の任期を振り返って②
前号では、常任理事として、国のさまざまな検討の場に参加するたびに、国民からの看護への期待の大きさを感じたことをお伝えしました。中学生のころ、日本における立法過程を習いました。そのときには自分とは遠い話に聞こえましたが、今はそうではありません。私たち看護職は、保健師助産師看護師法に位置づけられた国家資格者だからです。今後、より進展する少子高齢化社会において、あらゆる場の看護ニーズに対応するためには、自分たちの声を意見として制度設計に反映してもらわねばなりません。在任中は、総会、理事会、職能交流集会等、多くの場を通じて、現場の課題等を聞く機会があり、この声を国の議論へ届けることが私の使命でした。多くの皆さまにご支援ご協力を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。今後も、看護職一人ひとりの実践から生まれる知見を、職能団体を通じて社会や政策に反映していくことが、よりいっそう求められるでしょう。引き続きご協力をお願い申し上げます。
常任理事 木澤 晃代

『風、薫る』(※)からあらためて看護について考える
『風、薫る』では徐々に実習シーンが多くなり、「あんな患者さんいたな~」と思い出しながら見ています。「看護の基本となるもの」を具体的に描写しているシーンが多くあります。清浄な空気、清潔なリネン、物音、身体の清潔など。現在では全館空調で、窓を開けて(窓は開けられない)換気をする必要がなく、リネン交換も専門スタッフが行っています。お見舞いの花は持ち込み禁止となっている場合が多いと思います。私が新人のころは、申し送りが終わったら一斉にベッドサイドに行き、寒い日でも窓を開け寒がって布団をかぶる患者さんに廊下に移動してもらい、ベッドぼうきと呼ばれるブラシのような小型のほうきでベッドの上を掃いていました。ほこりを宙に舞わせながら自分自身がすっきりしていたような気もします。ある患者さんの部屋には月下美人の鉢植えが置かれていて「一年に一度、夜にだけ咲く花が咲いたのよ。よい香りでしょう」と言って、夜勤のときに見せていただいたその花は、今でも心に残っています。
※ 連続テレビ小説『風、薫る』(NHK)
常任理事 田母神 裕美

処遇改善を地域の持続可能な看護提供体制につなげよう
診療報酬、介護報酬の活用を!
令和8年度診療報酬改定では、訪問看護ベースアップ評価料を含む各種ベースアップ評価料の届出様式が簡素化されました。また、令和8年度介護報酬改定では、訪問看護が介護職員等処遇改善加算の対象に加わり、加算の申請時点では、要件について令和8年度中の対応の誓約で算定可能とする措置が講じられています。介護報酬の上記加算では、「キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ及び職場環境等要件」あるいは「令和8年度特例要件」(ケアプランデータ連携システムに加入等)の要件から選択でき、それらは事業所の発展に生かすことができる内容でもあります。
これら加算の届出については、厚生労働省ホームページで動画(※1,2)やQ&Aも公開されています。他産業に比べ、賃金改善が低調である医療・介護の状況を改善し、今後、人口減少が進展する中でも地域で訪問看護師を確保し続け、利用者に質の高い看護を実践し続けるために、これら報酬上の評価を活用する管理者の視点と役割発揮が重要です。
※1 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について(6を参照)(厚生労働省ホームページ)
※2 令和8年度の介護職員等処遇改善加算計画書の記入方法について(厚生労働省ホームページ)
常任理事 松本 珠実

保健師活動指針の改正
5月15日に厚生労働省から「地域における保健師の保健活動について」(いわゆる保健師活動指針)が発出されました。13年ぶりの改正で、新たに保健師のマネジメントが追加されました。統括保健師については、都道府県や保健所設置市等では本庁に、一般市町村では本庁又は保健センター等に配置し、事務分掌へ明記し、一定の権限を有する職位・役職に充てるよう努めることを求めています。また、統括保健師の役割は、住民の健康の保持増進を図るための様々な活動等を効果的に推進するため、中長期的な視点を持って①保健師の保健活動の組織横断的な総合調整、②人材確保の推進、③技術的及び専門的側面等からの人材育成の推進、④健康危機管理体制の整備の中核的な役割を果たすことと示されました。保健活動の推進に欠かせない存在である統括保健師がすべての自治体に配置されるよう、本会でも情報発信するとともに、地域での周知や国への要望などを進めてまいります。
常任理事 橋本 美穂

看護職の確保に向けて その②
地域全体での育成•確保
2040年に向けて、生産年齢人口の急激な減少が進み、看護職の養成数ならびに看護職員数の確保が相当難しくなっていきます。また、医療機関の連携・再編、集約化、医療と介護の連携なども進んでいく中で医療提供体制の地域差が広がっていくと予測されます。そういった難しい状況の中で看護職の確保を考えるときには、まず、地域の実情に応じて、地域全体を「面」で捉え、一つの病院単位だけではなく、地域全体でどの分野にどのぐらいの看護職が必要かを把握することが必要と考えます。そして、地域単位で看護職を育成・確保し、共有するという考え方への転換が求められます。具体的には、地域全体での人材育成・研修機会の提供や、自施設で継続して勤務してもらうための取り組みに加え、病院や施設、訪問看護ステーション等間での出向や転籍など、潜在化や他業種への転職を防ぎ、地域で継続して活躍してもらうための方策が重要になってきます。
常任理事 淺香 えみ子

看護職の『多様で柔軟な働き方』シミュレーションツール
多様な働き方をサポートする2つのツールを本会公式ホームページに搭載。所定労働時間・夜勤回数等を変更した場合の賃金変動パターンを自由にシミュレーションできる「わたしの働き方シミュレーター」(※1,2)と、3交代から2交代への変更や、複数の勤務体制を混合させたときの人数の過不足を、総数に加え、勤務帯別・時間別に表示する「多様な働き方導入シミュレーター」(※3,4)です。実際の数値で表示されることで自身の働き方、部署の勤務内容を客観視できます。前者は、すべての看護職を対象としており、希望する給与を得るために必要な勤務日数を考えたり、転職先として考えている職場と比較したりすることが可能になります。後者では、病棟の看護管理者が短時間勤務や夜勤制限、曜日指定の希望など多様なニーズを持つ職員のニーズにどこまで対応可能なのかがわかります。そして何を工夫すれば希望がかなえられるのか、必要人数が確保できるのか、そのポイントに気づくツールです。活用し感想をお寄せください。
※1 わたしの働き方シミュレーター
※2 わたしの働き方シミュレーターの使い方
※3 多様な働き方導入シミュレーター
※4 多様な働き方導入シミュレーターの使い方
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