日本看護協会とは

常任理事のマンスリー通信

月刊『看護』2020年10月号より

常任理事 吉川久美子

常任理事 吉川久美子

【元気な人も熱中症には要注意】

長雨が続いた7月が終わり、8月は異常なほどの猛暑となりました。新型コロナウイルス感染症と猛暑の重なりから「Stay Home」となり、多くの方は遠出せずに過ごしたことと思います。私も、お墓参りと自宅での孫との水遊び以外は、ごく普通の日々を過ごしました。私には一緒に生活している95歳の父がいます。幸いなんの支援も必要とせず、とても元気なのですが、その父がお墓参りで熱中症になり、歩けなくなったと弟より報告を受けました。35 度を超える猛暑の上、アスファルトの照り返しで、路面は40度以上に温度が上がっていたものと思われます。数メートル先の休憩所に行きたくても足が動かなくなったとのこと。弟夫婦、孫たちで水分を取らせ、近所のコンビニで氷を購入し首筋を冷やし介抱した結果、大事には至らず、救急搬送等で医療機関に迷惑をかけずに済んだことにホッとした次第です。元気な高齢者も熱中症になるという恐ろしさを身近に感じた出来事でした。

常任理事 熊谷雅美

常任理事 熊谷雅美

【看護職の働き方モデル】

就業看護職の平均年齢の上昇(2018年度43.4歳)や個人的な事情による夜勤免除などにより、夜勤に従事する看護職の確保が非常に困難な状況にあります。そのため、看護職が安心・安全に働き続けられる労働環境整備が喫緊の課題です。本会は2019年度「病院および有床診療所における看護労働実態調査」を行いました。その結果、看護職個人の「持続可能な働き方」に関連する要因として、①夜勤負担②時間外労働③自己裁量(仕事に対する自己コントロール感)④暴力・ハラスメントという4つが抽出されました。例えば、時間外労働と言っても、年齢や職位によって具体的な状況は違ってきます。また、看護職は夜勤・交代制を行います。そのような就業形態において、労働基準法にある時間外労働の上限月45時間が妥当なのかどうかも検証する必要があります。今年度は、詳細分析を行い、「持続可能な働き方」を提案します。第1報として昨年度の調査結果を本会協会ニュース8・9月号で報告しています。

常任理事 荒木暁子

常任理事 荒木暁子

【COVID-19対応の最前線に立つ看護師を守る】

緊急事態宣言が解除されて以降、陽性者数の再びの増加が毎日のように報道されています。定期的な手洗い、ユニバーサル・コミュニティ・マスキング、3密を避けるなど、1人ひとりの理解と責任ある行動がよりいっそう求められています。
国際看護師協会(ICN)によると、すべてのCOVID-19症例の推定8%が医療従事者であり*1、世界中で600人以上の看護師がCOVID-19により命を落としています*2。同時に、ICNは医療従事者の感染状況の調査・追跡システムを政府へ要望していく必要があること、さらに、ワクチンが利用可能となったなら、看護師にそれが速やかに行き渡るよう求めていく必要性も強調しています。これらは感染予防策をより実効性のあるものとして精緻化し、医療従事者からの伝播、感染拡大を防ぐために重要な対応であると考えます。引き続き、ICNや各国看護師協会などと情報共有し、よりよい対応の提案につなげていきたいと思います。

常任理事 鎌田久美子

常任理事 鎌田久美子

【2021(令和3)年度障害福祉サービス等報酬改定に対する意見出し】

厚生労働省「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」に対し、医療的ケア児(以下:医ケア児)や家族を支えるサービスの充足、精神障害者を支える保健・医療・福祉の連携強化、有事に備えた平時からの医療・福祉両面の協力体制の整備に関する意見を出しました。特に医ケア児に関しては、住み慣れた地域で切れ目なく支援が受けられる場の確保が求められるため、①医療ニーズに対応可能な看多機が共生型サービスの指定を受けた場合の単価を拡充し、医療処置や身体の状況に応じた加算の創設、②児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、看護職を配置した場合の基本単位数の引き上げ、③現行の「欠席加算」「送迎加算」を廃止し、月額の「医療的ケア児管理加算(仮称)」の新設、④医ケア児は医療処置や身体の状況により見守りや管理が異なるため「医療的ケア児特別管理加算(仮称)」の新設、⑤電話やオンラインで支援した場合の報酬上の評価を求めました。今後も要望が通るよう、しっかり意見を述べていきます。

  • 医ケア児は急な欠席となることが多いほか、送迎やケアに人員が必要となることを鑑みたもの。

常任理事 井本寛子

常任理事 井本寛子

【産前・産後サポート事業ガイドラインおよび産後ケア事業ガイドラインの改訂について】

今年は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、例年とは異なる夏を経験されたと思います。私も例年は実家のある兵庫で、稲刈り準備をするのですが、今年はかないませんでした。
さて、8月5日付で標記ガイドラインが改訂され、各都道府県に通知されました。特に、現在、病院や診療所を中心に実施されている産後ケア事業については、2019(令和元)年に公布された母子保健法の一部を改正する法律において、出産後1年を超えない女子および乳児に対する産後ケア事業の実施が市町村の努力義務として法定化され、2021(令和3)年4月1日に施行されることを受け、内容が改訂されました。すでに市町村から産後ケア事業の委託を受けて実施されている医療機関の看護管理者の方も含め、ぜひご一読いただきたいと思います。産後ケア事業は、まだ実施率が低いのが現状ですが、法律施行を機に全国に展開され、産後ケア事業を希望する妊産婦に支援の手が届くことを期待したいと思います。

常任理事 岡島さおり

常任理事 岡島さおり

【訪問看護師の裁量拡大について】

がん末期で訪問看護を利用しているAさん。主治医は在宅医ではなく、入院歴のある一般病院の医師です。外来で膀胱留置カテーテルを交換してから3日目、家族から「急に尿量が減った」との連絡が入りました。あらゆる原因を想定しながら全身を観察し、カテーテル交換が必要と判断。主治医の指示を仰ぐため連絡したもののなかなかつながらず、最終的に病棟看護師を介してカテーテル交換の指示が出ました。その一部始終を見ていた家族から「緊急時に看護師さんが判断して実施してはいけないの?」と素朴な疑問。外来でも在宅でも看護師が処置をしているので、一般の方には医師の指示を要する行為がわかりにくいのだろうと思います。カテーテル交換以外にも脱水時の補液や褥瘡の処置など、相応の教育を受けた看護師が自らの判断で即座に対応できる体制があれば、患者・家族の苦痛を早く取り除ける例があるのではないでしょうか。皆さんは在宅における特定行為や看護師の裁量拡大についてどう思いますか?