日本看護協会とは

常任理事のマンスリー通信

月刊『看護』2021年11月号より

常任理事 吉川久美子

常任理事 吉川久美子

【さまざまな人の力で守られていることへの実感】

9月初旬に、2021年度のヘルシー・ソサエティ賞の授賞式があり、今年は新型コロナウイルス感染症対策に貢献された5名の方が表彰されました。とても身近なテーマであるとともに、ふさわしい方々が受賞されたと思います。看護職では、医療・看護・介護従事者部門で、看護師としての使命の下、大阪府を医療崩壊から守るためリーダーシップをとり対応に当たられた大阪府看護協会の高橋弘枝会長、ボランティア部門で、島根県の木村久美子様が表彰されました。組織一丸となった日ごろからの活動の賜物であると思います。また、早期から保健所のデータ等を分析し感染予防策としての「3密」の概念を提唱したこと、私には耳慣れない「数理モデル」で感染症の流行を分析し「人の接触8割削減」を提言したこと、安心安全な国産ワクチンの開発の活動で表彰された3名の医師の紹介動画を拝聴しました。対策の背景をあらためて知るとともに、このような方々に守られていることを実感しました。

常任理事 鎌田久美子

常任理事 鎌田久美子

【保健所の即応体制整備の必要性―保健所の置かれている現状から】

今般の急速な感染拡大、陽性者数の急増に伴い、多い保健所では連日数百人単位の発生届を受理していました。陽性者への連絡の際、その怒りや死への恐怖心を受け止めていく日々の中、受診調整が進むことで救えた命と救えなかった命に直面し、「救えるはずの命を守れなかった」ことが一番辛いと語る保健師もおり、メンタルケアが重要な課題となっています。人員確保については、県によっては市町村との協定による応援派遣で対応できたところもありますが、最大発生時の人員確保はIHEAT※1の有効活用等が課題として残っています。また現在、My HER-SYS※2という自宅療養者の健康観察システムがあります。症状が安定している方には活用できますが、妊婦など重症化しやすい人にはこの仕組みのみでは限界があり、電話や訪問等が行われていました。今後、再び感染が拡大する局面も見すえ、これまでの取り組みで浮き彫りになった課題※3を踏まえた「保健所の即応体制の整備」が必要と考えます。

※1
新型コロナウイルス感染症等に係る、保健所体制強化のための人材派遣バンク
※2
新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム。陽性者本人がスマートフォン等で自身の健康状態を入力、保健所でその結果を確認した上で、必要に応じてフォローを行う
※3
人材確保・育成、ICTツールの活用による患者情報の的確な把握ができる体制整備等

常任理事 井本寛子

常任理事 井本寛子

【第2回「都道府県看護協会母子のための地域包括ケアシステム推進会議」を開催!】

9月8日に標記の会議を開催しました。今年2月の第1回では、都道府県内の母子の実情の共有、母子のための地域包括ケアシステム推進に向けてあるべき姿を検討し、本会議では、前回の会議から推進されたことや、本年4月1日に施行された「母子保健法の一部を改正する法律」の産後ケア事業の実施状況等を共有しました。また、人口動態や産科医療提供体制が類似した複数の都道府県で情報交換を行い、母子のための地域包括ケアシステム推進のための具体的方策を議論していただきました。意見交換では、新型コロナウイルス感染症陽性妊婦に関連した報道が相つぎ、妊産婦を取り巻く課題が浮き彫りになる中、よりいっそうの看護職の連携強化を確認し合いました。母子を取り巻く関連法規の公布や施行により、各都道府県、市区町村で実施されている事業が今後拡充されることが予想されます。母子とその家族が健やかに地域で生活できるよう、これらの情報も注視していただきたいと思います。

常任理事 森内みね子

常任理事 森内みね子

【労働環境の改善推進に向けて】

10月の全国労働衛生週間に合わせ、本会は厚生労働省が提唱するスローガン「向き合おう!こころとからだの 健康管理」をともに掲げ、労働衛生に関するコラムの掲載、ポスター配布、クリスタルコーンのライトアップなどを行いました。
労働関連については、脳・心臓疾患の労災認定の見直しが20年ぶりに行われ、7月の報告書※1を踏まえ、9月に労災認定基準が改正されました。新基準では、従来の基準である、脳・心臓疾患の発症との関連性が強いとする時間外労働の水準※2には至らないが、それに近い時間外労働に加え一定の労働時間以外の負荷がある場合、脳・心臓疾患の発症との関連が強いと評価すること、が示されました。一定の労働時間以外の負荷要因には、「勤務時間の不規則性」「身体的負荷を伴う業務」等が該当します。看護管理者をはじめ、多くの皆さまに目を通していただき、自部署の勤務環境の点検に役立ててほしいと願っています。

※1
厚生労働省:脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書外部リンク
※2
発症前1カ月間に100時間または2〜6カ月間平均で月80時間を超える時間外労働

常任理事 木澤晃代

常任理事 木澤晃代

【これからの社会の期待に応える看護管理者の養成推進】

コロナ禍以前より、看護管理者に期待される役割は多岐にわたっていました。労務管理や人材育成、目標計画管理、事業計画の推進に加え、毎日何度も起きる予想外の事柄への対応、気配り、目配り、心配り、そして自身のことは後回しというのが現実だろうと思います。
「管理者であればこうあってほしい」という、上から下からの役割への期待に応えるには、学ぶべき課題が多くなっています。これまで看護管理は役職に就いてから学ぶことが多かったと思いますが、これからは、学生から役職に就く以前の看護師も含めて、広く看護管理を学ぶことが必要であるといわれています。特にマネジメントには「気づく力」「問題解決力」「レジリエンス」「胆力」を強化する必要があると思います。過去に縛られず未来を切り拓く、しなやかで強いリーダーシップを発揮できる看護管理者を共に育成していきましょう。

常任理事 田母神裕美

常任理事 田母神裕美

【看護を学ぶ学生に対する支援に引き続きご協力を】

本年6月8日に、文部科学省で「新型コロナウイルス感染症下における看護系大学の臨地実習の在り方に関する有識者会議報告書」が取りまとめられています。報告書の中で、コロナ禍において臨地実習の代替を余儀なくされた看護系大学等の取り組みに関する調査結果として、「看護を行っている現場を遠隔で見学する」「看護の対象者と遠隔でコミュニケーション・情報収集する」「実際の患者カルテを用いて情報収集を行う」「遠隔で看護を行う(リモート家庭訪問)」「学内で臨地の人々とカンファレンスする」等、21のカテゴリーが示されています。
学校・養成所の先生方、看護管理者、実習指導者、関係団体等の連携により、教育が継続されています。新型コロナウイルス感染症の流行、ワクチン接種や病院・施設等の状況によって臨地実習の実施状況もさまざまですが、看護を学ぶ学生は、こうした厳しい現状だからこそ多くを学んでいると思います。それぞれの立場で学生の学びを支援していきましょう。

※1
文部科学省:新型コロナウイルス感染症下における看護系大学の臨地実習の在り方に関する有識者会議 報告書 看護系大学における臨地実習の教育の質の維持・向上について外部リンク