日本看護協会とは

常任理事のマンスリー通信

月刊『看護』2020年7月号より

常任理事 吉川久美子

常任理事 吉川久美子

【診療報酬でも新型コロナウイルス感染症に対応に】

日本看護協会がある表参道のケヤキ並木の新緑が美しい季節になりました。緊急事態宣言の発令下は、自粛要請に伴い、今まで満員だった通勤電車がガラガラになりました。通勤時、地下鉄の駅から地上に出ると、いつも人の頭しか見えない場所が、見たことのない景色――青山通り方面に向けまっすぐ一直線に伸びる歩道、緑の木々、そこにはためくNursing Nowのフラッグ――に一変しているのに驚きました。とても美しい光景ですが、フラッグを見てくれる人が少ないのは逆に残念です。新型コロナウイルス感染症蔓延に伴い、4月以降の中医協はオンライン会議に変更となりました。診療報酬においても、新型コロナウイルス感染症へさまざまな対応がなされていますので、ぜひ注視していただきたいと思います。また、重症度、医療・看護必要度に関する診療報酬上の要件変更に伴い、本会では、院内研修に役立つよう動画コンテンツを作成し、7月上旬の配信をめざし準備をしています。ぜひ院内研修にご活用ください。

  • 月刊「看護」7月号「医療行政なるほど塾」(p.100 〜101)参照。

常任理事 熊谷雅美

常任理事 熊谷雅美

【#Nurshing Now_いま私にできること

2020年はナイチンゲール生誕200年であり、国際看護師の年です。そのような記念すべき2020年、世界中が新型コロナウイルス感染症のパンデミックとなりました。最前線で患者の生命を守り、自身も感染してしまうかもしれないという不安と向き合い看護をしておられる看護職の皆さまに、いま一度感謝を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染であり、感染防止には密閉・密集・密接を避けることが何より重要で、世界中の人が「3密」を避け日常生活をしています。ナイチンゲールは『看護覚え書き』の中で、人間の持つ自然治癒力を高めるためには、外部環境の調整が重要であると述べています。新型コロナウイルス感染症への対応は、まさにナイチンゲールの教えだ!と実感します。あらためて彼女の著書を読みました。この2020年、看護の原点に回帰し、しっかりと前を見すえ、進みたいと思っています。まずは現場の看護職の皆さんとともに頑張ります。

  • 日本看護協会では、国民の皆さんに、いま何ができるかを考え、行動に移していただくため、一人ひとりの「いまできること」と「#NursingNow_ いま私にできること」を含むツイート(投稿)行っていただくハッシュタグキャンペーンを実施しています。ぜひご参加ください(詳細はこちら)。

常任理事 荒木暁子

常任理事 荒木暁子

【あらゆる場が最前線】

先日、ある看護師の友人が、自分はCOVID-19患者の看護現場で働いていないので最前線ではない、申し訳ないと感じているとメッセージを送ってくれました。どの場で働いていても、そこが最前線。そこに看護師がいて、1人ひとりを見てリスクをアセスメントし、適切な感染予防策を講じられることが大事だと思っています。躊躇することなく看護の力を発揮してください。
国際看護師協会(ICN)は5月6日に、全世界で少なくとも9万人の医療従事者がCOVID-19に感染したとニュースリリースを発し、翌日には日本でも多くのメディアに取り上げられました。ICNは、医療現場での感染データの収集や報告を体系的に行う必要性を指摘しています。また、4月29日にはCOVID-19に関して看護師を暴力から守る必要があるとして、偏見や差別による不安、うつ状態などのメンタルヘルスに関するガイダンスを発出しています。各国の対応から学び、本会の活動の方向性も議論していきます。

常任理事 鎌田久美子

常任理事 鎌田久美子

【感染症対策における公衆衛生の第一線機関としての保健所保健師活動】

新型コロナウイルス感染症は全世界に広がり、人々の生命と安寧な暮らしを脅かしています。保健所は地域における公衆衛生の向上と増進をはかる機関として、地域保健法に基づいて設置されています。期待される機能として、①効果的なサーベイランスの実施、②対象者を適切な医療へつなげる、③効果的に疫学調査を実施し、感染拡大を防止・抑制する、④地域流行時に、適切な保健・医療・福祉が提供できる体制を保健所圏域内に構築する等があります。これらを踏まえ、現在、保健所では、電話相談やPCR検査、医療機関への入院調整、感染者の発症前後の行動履歴調査、濃厚接触者の健康観察等の疫学調査を行っています。感染源や感染経路にかかわる調査・分析や感染症拡大防止のための指導等は、戦後の結核対策時代から保健師に脈々と培われてきており、平時から集団感染に対応してきた技術が蓄積されています。健康危機への対応の積み重ねを通して、感染症発生時の活動のさらなる質の担保が求められます。

常任理事 井本寛子

常任理事 井本寛子

【新型コロナウイルス感染症拡大が妊産婦ケア体制に与えた影響について】

今般の感染症拡大を受け、各医療機関は面会や外来の制限等を実施しました。妊産婦にかかわる体制においても、妊婦健診の家族同伴や出産準備クラス、家族立ち合い分娩や里帰り出産の受け入れについて中止等の対応がとられました。また、地域のサービスである「産後ケア」や「こんにちは赤ちゃん訪問」を中止する自治体もありました。新型コロナウイルス感染症に関する妊産婦や胎児への影響については十分な情報がない上、さまざまなサポートが中断され、妊産婦とその家族はとても不安な状況に置かれました。この状況を改善しようと、相談や出産準備クラスについては個別対応への切り替えや電話やオンラインによる支援等が実施されました。家族立ち合いの代替策としてオンライン中継による家族出産を試みた施設もあったようです。国では感染拡大前から、妊産婦に対する切れ目のない支援体制等について成育医療等協議会で議論しています。今回の実態を支援対策のあり方の議論に生かしたいと思います。

常任理事 岡島さおり

常任理事 岡島さおり

【介護報酬改定に向けて】

2021年度は3年に1度の介護報酬改定の年です。今年度は、給付実績やさまざまな調査に基づき前回改定の検証を行うとともに、次年度の改定方針を検討する年です。5〜6月には介護事業経営実態調査が行われ、秋ごろには事業種別の分析結果が示されます。ただし、今年度の調査は2019年度の事業支出を回答するもので、この回答から算出される利益率や収支差額は今現在の経営実態を表すものにはなりません。今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により事業収入が低下し、感染症対策に多大な経費がかかるなど、非常に厳しい経営状況にある事業所・施設が多いことと思います。このような現状や実践者の皆さまの声を検討の場に届け、実態と異なる調査結果で看護にかかわる介護報酬が改悪されないよう意見を出していきます。5月13日現在、介護給付費分科会は今年度開催予定の3回分がすでに流れていますが、会議と並行して国への要望活動も行いながら、皆さまを応援していきたいと思います。