常任理事のマンスリー通信

機関誌「看護」2025年10月号より

常任理事 井本 寛子

常任理事 井本寛子

全国助産師職能委員長会を開催

47都道府県の助産師職能委員長および本会の助産師職能委員が8月初旬に参集し、「地域における生命(いのち)の誕生の伴走者として助産師の活躍推進・役割拡大~いま、助産師職能委員長に期待されること~」について議論しました。グループ討議では、少子化の影響で分娩数が減少し、産科混合病棟が増加している等の実情、産後ケア事業のニーズが高まる中、自治体ごとのルールや考え方が医療機関での委託の障壁になっている等の課題が報告されました。一方、助産師職能委員会が産科区域の特定を実施できていない県内の分娩取り扱い病院を「出産なび」で確認し、取り組みを促した結果、全病院が実施できたというグッドプラクティスも共有されました。ほかにも、助産師によるプレコンセプションケアの推進に向けて県行政に交渉を開始したという報告等もあり、地域で助産師の役割発揮がよりいっそう求められる中、各県の助産師職能が精力的に活動していることを共有し熱い時間を過ごしました。

常任理事 木澤 晃代

常任理事 木澤晃代

特定認定看護師(B課程CN)教育の見直しについて

2040年の医療提供体制の整備に向け、あらゆる場で専門性の高い看護師の活躍が期待されています。人口減少は医療人材の確保にも大きな影響がありますが、そのような状況でも専門分野のロールモデルとして認定看護師の養成推進は重要です。2019年の認定看護師制度改正の中間評価として、特定行為研修を含んだB課程教育が有用である一方、研修時間の増加、専門分野の教育内容の希薄化、教員の確保、特定行為区分の活用ニーズ、特定行為研修の実習場所の確保困難などが課題として挙げられています。現場の看護師確保が困難な状況において、特定認定看護師教育が受講できるような体制整備に向けて検討を進めています。
さらに、特定行為研修受講修了者にも、履修免除を活用して特定認定看護師となる仕組みを検討しています。詳細につきましては、随時広報していきますので本会ホームページなどをご覧ください。

常任理事 田母神 裕美

常任理事 田母神裕美

訪問看護師の処遇改善に向けて

7月23日に、本会、日本訪問看護財団、全国訪問看護事業協会の3団体は、厚生労働省保険局長に訪問看護師の処遇改善について要望書を提出しています。また、本年2月26日には厚生労働省老健局長に在宅・介護領域に従事する看護職員の確保に資する看護職員の処遇改善を目的とした補助金の創設を要望しています。要望書では、本会調査に基づくデータを示しています。調査にご回答をいただきました皆さまに御礼を申し上げます。2024年度の診療報酬改定では、「訪問看護ベースアップ評価料」が創設されています。2025年1月には届出様式の簡素化がはかられましたが、訪問看護事業所の多くは小規模事業所であり、事務負担をはじめとした課題があると思います。厚生労働省ホームページでは届出に関するわかりやすい動画が公表され、本会においても情報を掲載しています(※)。今からでも届出でき、賃金改善率の大小にかかわらず届出ができる評価料を、関係者で課題を解決し、活用してまいりましょう。

※ 訪問看護事業所の皆さまへ(訪問看護ベースアップ評価料の活用について)

常任理事 松本 珠実

常任理事 松本 珠実

被災地に赴く看護職へ

2023年に日本看護協会事業として開催された、自治体保健師の魅力発信のためのイベントに、当時、全国保健師長会会長の立場で参加させていただきました。そのときに、十島村の保健師からプレゼンテーションがあり、青く美しい海に囲まれた島々と船中で住民と交流している保健師の笑顔は、今も忘れることができません。6月21日からのトカラ列島近海の地震活動に伴い、7月3日には十島村で最大震度6弱が観測されました。4日に鹿児島県から鹿児島県看護協会に対して災害支援ナースの派遣要請があり、鹿児島県看護協会のご調整により、7日から26日まで、4班8名の災害支援ナースを派遣いただきました。写真で見たあの地のあの住民が被災されたと考えると、その不安はいかばかりかと心が痛みましたが、そこへ赴いた災害支援ナースや保健師の存在が島民の不安を和らげる存在となったことは、幸いでありました。赴かれた看護職、それを支えた周囲の皆さまに感謝いたします。

常任理事 橋本 美穂

常任理事 橋本 美穂

神戸研修センターサードレベル修了者フォローアップ研修を開催
閉所前にセンターでの集い

2026年3月末の神戸研修センターの閉所に伴い、2001年から当センターで開講してきた認定看護管理者研修課程サードレベルは、2025年度をもって閉講することとなりました。当センターにおけるサードレベル教育は、認定看護管理者カリキュラム基準に則りつつこれからの看護管理者に求められる“制度・政策を活用・立案するための力”の強化をめざしてきました。
全国各地から参加いただき、これまでに739人が修了し、多くの認定看護管理者を輩出できました。
当センターサードレベル修了者を対象としたフォローアップ研修を2026年1月24日(土)に開催します。最後に学び舎に来ていただける機会としたく、対面集合研修で行います。10月1日から申し込み開始で先着100名となります。なお、2026年度からは、看護研修学校にて認定看護管理者教育課程サードレベルを開講いたします。

常任理事 淺香 えみ子

常任理事 淺香 えみ子

納得感のある賃金へ 賃金制度の見直し

看護職の処遇改善は、看護職一人ひとりの働き方や能力、担っている職務や役割等に応じて納得感のある賃金を支給することと、併せて看護職全体の基本給のベースアップを両輪で進めていく必要があります。ベースアップには物価高騰を背景とした課題に対し骨太方針に沿った賃金増を目的とした報酬改定の要望書を提出しています。本会は、納得感のある賃金に向け、原資の範囲内でも導入可能な「複線型等級制度」を提案しています。2019年に公表した「看護職のキャリアと連動した賃金モデル」を改訂し9月末に公表予定です。複線型等級制度と併せて納得感のある賃金体制を検討いただきたいと思います。賃金制度の見直しには、看護管理者だけでなく、経営層の十分な理解と各病院の規模や経営状態に応じた専門家の丁寧な支援が必要です。看護管理者および事務長等を対象に、前述した賃金モデルの説明と社会保険労務士等からの直接の助言・支援の機会となるセミナーを年度内に3回開催しますのでご参加ください。

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