常任理事のマンスリー通信

    機関誌「看護」2024年7月号より

    常任理事 吉川久美子

    常任理事 吉川久美子

    通常総会開催に向けて現場から貴重な意見をいただきました

    2024年6月の日本看護協会通常総会の開催に向け、5月の連休明けから都道府県看護協会の代議員の皆さまへ、通常総会および本会の事業の説明に回っています。直接会員の皆さまとお話しできる機会であり、本会の事業のみならず、現場の状況を聞くことができる貴重な機会となっています。看護職の確保が厳しい状況の中、育児等の理由で夜勤勤務ができない看護職が増えており、一部の看護職への負担の増加や72 時間の夜勤時間数の遵守に苦労していることなどの意見を複数いただきました。また、認定看護師や特定行為研修修了者を育成するために、研修受講しやすい体制を整備してほしい等の意見もいただきました。生涯学習支援体制の構築や資格認定制度のあり方を考えていく上で重要な課題と理解しました。通常総会においても、さまざまな意見をいただくと思いますが、皆さまの意見を参考に、看護職の働きやすい環境づくりや安全で質の高い看護提供に向けて事業を進めていきます。

    常任理事 井本寛子

    常任理事 井本寛子

    2024年度の「看護職賠償責任保険制度」研修会のお知らせ

    好評をいただいている看護職賠償責任保険制度研修会を、2024年度もWEBにて2回(9月、12月)開催予定です。テーマは「インスリンバイアル製剤等の安全な管理と法的責任」と「タスク・シフト/シェアでの看護職の役割」です。1回目の研修では、事故が起きたときの看護職を取り巻く状況・リスクを踏まえ、賠償責任保険の意義および必要性を解説し、インスリンバイアル製剤の安全な投与・管理方法、医療廃棄物の適正処理の手順等を振り返ります。インスリンバイアル製剤に関する事故事例は、日本医療安全調査機構策定の「医療事故の再発防止に向けた提言(第15号)」〈薬剤の誤投与に係る死亡事例の分析〉でも取り上げられています。4件の死亡事例すべてでインスリンバイアル製剤を使用しており、うち2件は専用注射器を使用せず過量に量り取っていました。研修には会員は無料で参加できます。ぜひ、自施設の医療安全管理体制を確認する機会にするとともに、看護職賠償責任保険にも関心をお寄せください。

    常任理事 森内みね子

    常任理事 森内みね子

    情報連携に同意してNuPSを活用しよう

    現在、国では2024年度内に開始予定のデジタル改革関連法に基づく「マイナンバー制度を活用した看護職の人材活用システムの構築」を進めています。本システムでは、免許申請・変更申請のオンライン化によって手続きが簡素化され利便性が向上すると同時に、マイナポータルを活用した資格情報の閲覧が可能になります。本会が運用するナースセンター・コンピュータ・システム(NCCS)も情報連携の対象であり、NCCS内には2024年11月にポータルサイト「NuPS(ナップス)」を新設します。「NuPS」は自身のキャリア等を確認できるとともに、修了した研修情報の管理・閲覧ができ、さらにはナースセンターからの就業支援や情報提供も受けやすくなります。ただし、これらはそのメリットを理解し情報連携に同意していただかなければ活用いただけません。チラシ等の配布、動画の作成、WEB/SNS広告、学会等さまざまな場で、周知・説明を積極的に行いますので、多くの皆さまに同意と活用をお願いします。

    常任理事 木澤晃代

    常任理事 木澤晃代

    ベースアップ評価料は6月から算定可能になります

    2024年度に新設されたベースアップ評価料で得られた収入は、すべて職員の賃上げに充てる必要がありますが、具体的にどの職種の賃金をどの程度上げるかや、医療職への配分は各医療機関の裁量となっています。本会では、令和4年度診療報酬改定での看護職員処遇改善評価料の新設をきっかけに、病院、診療所、訪問看護ステーション等のすべての看護職員への賃上げを要望してきました。このベースアップ評価料をしっかりと活用し、1人でも多くの看護職員の賃上げにつなげていく必要があります。そのためには、看護管理者がこの評価料の趣旨や内容を理解し、施設内での検討に積極的に参画する必要があります。厚生労働省より「ベースアップ評価料計算支援ツール」※が公表されています。自施設の給与等を入力すると、ベースアップ評価料算定により得られる収入合計額が自動計算で算出されます。まずは、シミュレーションを行い、自施設での検討をお願いいたします。

    「ベースアップ評価料計算支援ツール」

    常任理事 田母神裕美

    常任理事 田母神裕美

    共生社会の実現を推進するための認知症基本法
    当事者、家族の参画と施策の推進

    5月8日開催の第2回認知症施策推進関係者会議※において、「認知症の方ができる限り住み慣れた地域で暮らす上で重要と考える取組の方向性」のテーマでヒアリングが行われ、関係団体として意見を述べました。内閣官房に設置された同会議では、国の認知症施策推進基本計画案等について検討されます。ヒアリングでは、看多機や訪問看護による個別性の高いケア提供や、介護施設や認知症グループホームの医療ニーズも有する利用者への訪問看護等と連携した看護の提供、医療機関の外来看護の機能強化、認知症看護認定看護師等の育成推進等により、地域で認知症の方と家族への切れ目ない支援を構築することについて意見を述べました。同会議では、認知症である本人、家族、幅広い関係者が参画し検討が進められています。誰もが当事者である認知症に関する施策や看護の充実に向け、本人、家族の真の意見を聴く。信頼関係の構築と専門性のいっそうの向上が私たちに求められています。

    認知症施策推進関係者会議

    常任理事 中野夕香里

    専務理事 中野夕香里

    「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」開始

    厚生労働省で「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」が開始されました。精神保健福祉法改正等の施策のフォローアップに加え、行動制限や非自発的入院にかかわる課題についても議論し、制度のあり方にかかわる論点をまとめるとしています。初回会議では、現状とこれまでの取り組み等をレビューした後、構成員がそれぞれの立場から課題などを述べました。これまで、検討会での議論が施策として実現されてこなかったことを反芻する指摘もありました。また、法律の研究者の方が、わが国は短い期間で圧縮して近代化を遂げてきたため、司法インフラと行政インフラが十分ではない中で、この領域での対応において家族と医療に過度に依拠してきた、というようなお話をされたのが印象的であり、学びでありました。この年齢になってなお、新たな視点をいただくとうれしくなります。具体的な対策につなげることを見すえて、参画してまいります。

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