協会ニュース2026年4月号

令和8年度 通常総会 「看護の将来ビジョン2040」の実現に向けて

日本看護協会 会長 秋山 智弥

はじめに

昨年6月、日本看護協会の会長に就任してから1年が経ちました。この1年間、全国の看護職の皆さまとたくさんお会いでき、貴重なお声を数多くいただきました。そのたびに、2040年を迎えたとき、人々がどのような健康状態にあってもその人らしく暮らせるためには、地域のあらゆる場で看護職が活躍することが重要であり、看護職一人ひとりのウェルビーイングの重視が不可欠であることを改めて実感しています。

さて、昨年は日本初の女性の首相が誕生し、くしくも私自身も、本会初の男性の会長ということでさまざまな注目をいただいてきました。日本はいま、多様な価値観を尊重し合い発展していく社会へと向かっていることを感じます。一方、深刻な事実として、出生数は過去最少を更新し、国の将来推計よりおよそ17年早いペースで少子化が進んでいます。現役世代が減少する中でも社会機能を一定維持し、人々が安心して暮らせる社会をつくることに、もはや一刻の猶予もありません。

将来変化の予測が困難な中、看護の質の維持・向上を図り人々のニーズに応えるためには、大学における4年間の看護師基礎教育の推進など、看護職の養成課程をはじめ看護提供体制に関する、大胆かつ現実的で実効性の高い見直しが必要です。現在、厚生労働省では「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」を設置し、今後の看護政策の進むべき方向性の検討を進めており、本会は、質と量の両面からの看護提供体制の確保に向けて、その検討に積極的に参画しています。人々のいのち・暮らし・尊厳をまもり支え続けられる看護の提供体制はもとより、看護職一人ひとりのキャリアと研さんを支え、自律ある質の高い看護実践力を育成し、その力を十分に発揮できる専門職としての働きやすい環境づくりをより一層推進してまいります。また、かねてより本会が求めてきた、あらゆる看護職の処遇改善については、昨年も他の医療関係団体とともに現場の窮状を強く訴え、賃上げ・物価上昇に対する財政支援を実現し、令和8年度診療報酬・介護報酬改定による処遇改善へと道筋をつなげてきました。しかしながら、物価上昇は今後も続くとみられ、世間一般の賃金引上げの潮流に比して、まだまだ医療・介護分野が後れをとっている現状では、他産業への人材流出の懸念は高まる一方です。看護職が専門職として生涯にわたって働き続けられるよう、また、そのキャリアと職務の責任に見合う十分な処遇を得られるよう、本会はこれからも粘り強く働きかけてまいります。またかねてより本会が求めてきた、あらゆる看護職の処遇改善については、昨年も他の医療関係団体とともに現場の窮状を強く訴え、賃上げ・物価上昇に対する財政支援を実現し、令和8年度診療報酬・介護報酬改定による処遇改善へと道筋をつなげてきました。しかしながら、物価上昇は今後も続くとみられ、世間一般の賃金引上げの潮流に比して、まだまだ医療・介護分野が後れをとっている現状では、他産業への人材流出の懸念は高まる一方です。看護職が専門職として生涯にわたって働き続けられるよう、また、そのキャリアと職務の責任に見合う十分な処遇を得られるよう、本会はこれからも粘り強く働きかけてまいります。

重点政策・重点事業

令和8(2026)年度からの3年間、新たな重点政策・重点事業がスタートします。このたびの重点政策は、本会の「看護の将来ビジョン2040(以下、ビジョン)」を何としても実現する、強い意思を込めて策定したものです。重点政策は、ビジョンの「あるべき看護の実現に向けた戦略」を含む5項目で構成し、これらを15の重点事業として具体化しています。

重点政策の冒頭には「看護職一人ひとりのウェルビーイングの向上」を位置付けました。看護職が生涯を通じてさまざまな場で力を発揮するためには、看護職自身が健康で安全に充実感をもって働けることが欠かせません。看護職のウェルビーイングの実現は、職能団体としてのraison d'être(存在理由)ともいえる課題であり、最優先で取り組む決意です。

また、令和4(2022)年より重点政策とは別に、重点課題として位置付けてきた「准看護師養成の停止」「看護師基礎教育の4年制化」「ナース・プラクティショナー(仮称)制度構築」の3項目は、これらの2040年までの実現を逆算し、まさに今がより具体的な行動に移るべき時機と判断しました。これら3項目を本年度からは重点政策・重点事業に盛り込み、集中的に取り組みます。

おわりに

本会では、本年3月末をもって、神戸研修センターの教育課程を閉講し、同センターを閉所しました。同センターは看護職の資質向上を支援する西日本の拠点として、多くの資格認定者の輩出に貢献してきました。平成10(1998)年の開所以来、同センターの運営にご支援、ご協力をいただいた皆さまにこの場をお借りして心より感謝を申し上げます。今後は教育拠点を看護研修学校に一元化し、より効率的な教育体制の構築を目指してまいります。

世界では、武力行使も辞さない国家間の対立や緊張が絶えず、先行きの見えない状況が続いています。日本にとっても無関係ではなく、平和は自然に維持されるものではなく各国の努力の上に成り立っていることを改めて思い知らされます。平和への誓いの継承とともに、国際社会の安定と繁栄に貢献できる次世代の人材を育成していくこともまた、我々の責務であると感じます。

時代とともにさまざまなことが変化しても変わらない本会の使命は、看護職個人やその現場では解決できないことを、職能の組織として解決に向け取り組んでいくことです。その使命を果たすために、また看護職一人ひとりが、こうした取り組みに参画できるように、より一層の情報発信の強化、組織運営の効率化や組織強化など抜本的な改革に挑みます。看護の道を歩む者同士、一人でも多くの皆さまと、これからの看護を一緒につくっていきたい。会長として就任から一年経った今、改めて心からそう願っています。

令和8年度 通常総会・2026年度 全国職能別交流集会に参加しよう

【開催地】千葉県千葉市
【日程/会場】
①通常総会
 6月10日(水)9:30~16:45
 幕張メッセ 幕張イベントホール
②全国職能別交流集会
 6月11日(木)10:00~15:30
 保健師・助産師・看護師Ⅱ:TKP東京ベイ幕張ホール(※)
 看護師Ⅰ:幕張メッセ 幕張イベントホール
 ※アパホテル&リゾート<東京ベイ幕張>館内