協会ニュース2026年1月号

年頭所感 ウェルビーイングの実現を目指して

日本看護協会 会長 秋山 智弥

2026年の年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
昨年6月に日本看護協会会長に就任して以来、慌ただしくも充実した半年を過ごしてまいりました。目まぐるしい日々ですが、社会から看護に寄せられる期待の大きさ、そして人々の健康と療養をさまざまな場で支える看護職の実践に触れるたび、看護職の一人であることを改めて誇りに感じています。それぞれの現場で看護職が力を十分に発揮できるよう、この一年も一層気を引き締めて職責を果たしていきたいと存じます。
本会では昨年「看護の将来ビジョン2040 ~いのち・暮らし・尊厳を まもり支える看護~」を公表いたしました。急速な高齢化と現役世代・担い手の減少が同時に進み、またAI・デジタル技術が加速度的に発展するなど、社会が大きな転換期を迎える2040年。その時に向けてビジョンでは、人々の生涯にわたり、どのような健康状態にあってもその人らしく生きることを支えるという、看護の本質的な使命を再確認しています。
医療提供体制の基盤は「人」であり、より良い医療・看護が確実に提供されるためには、現場で働く一人ひとりが健康でやりがいをもって長く働き続けられることが何よりも大切です。このたびのビジョンでは、健康で安全に充実感をもって働ける、看護職一人ひとりの「ウェルビーイングの重要性」を打ち出しています。本会は、会員・看護職の皆さまがウェルビーイングな状態で働ける職場環境の実現を目指すとともに、看護職という職業に魅力を感じ、将来の担い手となる若い世代が一人でも増えていくよう看護の価値を高める取り組みを一層進めてまいります。
長引く物価上昇に伴う医療機関の経営悪化や、他産業との賃金格差拡大など、昨年はさまざまな課題が一気に深刻化し、医療界が危機的な状況に直面した一年でもありました。本会をはじめ関係団体が一丸となって現場の窮状を強く訴え、昨年11月には政府の総合経済対策が示されるなど、医療機関の経営改善や処遇改善に向けた一歩を進めることができましたが、まだまだ道半ばです。引き続き抜本的な改善に向けて共に取り組んでまいります。
社会が大きく、そして急速に変化を続ける今、さまざまな専門職が互いを尊重し合い、地域や職域の垣根を越えて緊密に連携することが、これまで以上に強く求められています。本会はいかなる状況においても、人々のいのち・暮らし・尊厳をまもり支えられるよう、本年も力を尽くしてまいります。
本年が皆さまにとりまして健やかで実り多く、希望に満ちた一年となることを心より祈念申し上げ、新年のごあいさつとさせていただきます。

あけましておめでとうございます

経験を力に変え、看護の未来を共に描く一年に

副会長 任 和子

新しい年を迎え、全国の看護職の皆さまに心よりごあいさつ申し上げます。日々、多様な現場で地域の健康と暮らしを支えてくださっていることに、深く感謝申し上げます。
いま私が大切にしている言葉に、創造の世界で語られてきた「Move On」があります。これは、過去の出来事を無理に忘れたり否定したりするのではなく、抱えたものを力に変えて、一歩ずつ前に進む力を指します。看護職は、人々の健康と暮らしに寄り添う中で、多くの経験と向き合い、それらを未来の実践へと丁寧につないできました。その歩みこそが、新しい看護を生み出していく確かな原動力であると感じています。また、人生のさまざまな局面に応じた生き方・働き方が尊重されることも、大切な視点です。「看護の将来ビジョン2040」では、多様で柔軟な働き方、専門性の発揮、キャリアの継続を重視しています。若い世代の不安も、管理職の葛藤も、組織の挑戦も、全てが未来につながる大切な点描です。互いを認め合い、つながり合うことで、新しい看護の姿を共に描いていきましょう。看護が培ってきた知と実践の積み重ねは、変化の時代においても揺るがない価値として、社会に確かに息づいています。本年も、皆さまの専門性と情熱が、人々の健康と暮らしを支える保健医療福祉を力強く前へと進めていくことを心より願っております。

新たな看護のモデル作りに取り組みましょう

副会長 山本 則子

新年あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
昨年本会は「看護の将来ビジョン2040」を公表し、新たな看護の方向性を示しました。医療介護の複合ニーズを持つ方の長期的な生活支援を展開する、そしてそれが実現できるまちづくりに貢献するための看護が、いま求められています。これまでの制度では実現していない、新たな看護実践の形です。このようなビジョンを基に、これまでの制度にとらわれない積極的なトライアルが各地で行われることを期待します。
私の所属する大学では、地域のニーズに基づき、しあわせ社会の実現を目指すための「オープンラボ」を昨年5月に開所しました。多様な取り組みを開始し、地域の住民や医療介護従事者の皆さまと徐々にお近づきになっています。「ともに学ぶケア講座」を開始すると、予想をはるかに超える応募があり、ケアについて学ぶニーズが住民の皆さまにあることを実感しました。生と死について語り合い、アドバンスケアプラニングを考える「デスカフェ」の取り組みも、大変盛況でした。大学以外にも、いろいろな取り組みが始まるでしょう。看護の可能性を信じ、変化する社会の中で、新たな時代を切り開いていきましょう。

その人らしさを尊重する生涯を通じた支援!

副会長 勝又 浜子

お健やかに初春をお迎えのことと存じます。お餅のように粘り強く頑張ります。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
父がこの年末、95歳で大往生。昭和生まれの仕事人間で頑固な人でしたが、母が認知症になって料理が作れなくなってからは、家のことは全て父が行っていました。本当に大声でけんかばかりしていた2人でしたが、父が全てを受け入れ、母に対しておおらかに見守り、手を貸し、大事にしている姿には頭が下がりました。母はのびのびと認知症を楽しんでいるかのように、いつもニコニコ笑い感謝をし続けています。
「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が2024年1月に施行されました。この法律は認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らせる社会の実現を目指し、特に、当事者の意見に耳を傾け、その意見を反映することに重きが置かれています。
そして、われわれ日本看護協会も昨年6月に「看護の将来ビジョン2040~いのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護~」を公表しました。看護がめざすものとして、その人らしさを尊重する生涯を通じた支援を掲げ、その達成に向けて、今年も国民一人ひとりの声、現場の声を聴きながら取り組んでまいります。