協会ニュース2025年6月号

令和7年度通常総会 第15代会長に秋山智弥氏

日本看護協会は6月11日、令和7年度通常総会を幕張メッセ(千葉市)で開催した。総会には747人の代議員が出席し、一般参加者1,310人が参加した。
総会では、議決事項の「名誉会員の推薦(案)」「2025年度改選役員及び推薦委員の選出について」と四つの報告事項が協議・報告された。議決事項はいずれも承認され、2年の任期終了で退任する高橋弘枝会長の後任として、秋山智弥氏が第15代会長に選出された。また、常任理事に淺香えみ子氏が新たに選ばれた。
開会のあいさつで高橋会長は「看護の将来ビジョン2040」を策定したことに触れ、看護提供体制を確保するための前提として「看護職のウェルビーイングの重要性」を明確に打ち出したことを説明。「看護職個人の生活や健康が成り立ってこそ、働き続けることができ、専門性を継続的に向上していくことができる。現場では仕事を優先せざるを得ない状況もあると思うが、これからの時代、その根底に『看護職自身のウェルビーイングを大切に、お互いに尊重しよう』という意識を持ち、私たちの中にこれまで以上に根付かせていくことが何よりも大切。働く時間や場の主体的な選択など、安全・安心で持続可能な働き方を看護職が率先して改革し、社会をリードしていく存在でありたい」と力強く語った。
一方、物価高騰や人材の他産業への流出は、医療機関・介護施設・訪問看護事業所などの経営に深刻な影響を与えており、依然として厳しい状況が続いている。こうした緊急性の高い課題を一刻も早く改善できるよう、他の医療関係団体と連携しつつ、引き続き強く国へ働きかけていくと述べた。
報告事項では、令和6年度の事業報告と、決算報告及び監査報告、令和7年度の重点政策・重点事業並びに事業計画と資金収支予算及び収支予算が報告された。
協議・報告後の退任役員の紹介では、高橋会長、吉川久美子常任理事、渡邊カヨ子監事のほか、地区理事13人が紹介され、代表して高橋会長があいさつ。新会長に選ばれた秋山氏が花束を手渡した。
最後に高橋会長は「変化の時代だからこそ、看護の現場と職能団体、国政の連携をさらに強化し、一体となって看護政策を進めていくことが重要。看護職一人ひとりが、この仕事を選んで良かったと思える未来の実現に向け、これからも共に歩んでいきましょう」と会場に呼びかけ、2年間の任期を締めくくった。

通常総会の詳細(重点政策・重点事業・質疑など)や6月12日に開催された全国職能別交流集会については、本紙7月号に掲載予定。

2025年度 改選役員及び推薦委員 選挙結果

<役員>

【会長候補者】秋山智弥
【副会長候補者】任和子、山本則子
【理事】淺香えみ子、木澤晃代、田母神裕美、
中野夕香里
【地区理事】宮城県:浦山美輪、山形県:若月裕子、福島県:佐藤博子、茨城県:中島貞子、群馬県:神山智子、埼玉県:澤登智子、神奈川県:本舘教子、山梨県:遠藤みどり、長野県:松本清美、石川県:小林千鶴、福井県:五十嵐行江、静岡県:松本志保子、三重県:谷眞澄、兵庫県:丸山美津子、鳥取県:松本美智子、島根県:池田康枝、広島県:黒瀬真理子、山口県:𠩤田美佐、徳島県:庄野泰乃、愛媛県:久保幸、高知県:森下安子、福岡県:濱田正美、佐賀県:藤満幸子、大分県:玉井保子、沖縄県:平良孝美
【監事】佐藤悦子

<推薦委員> 

青木春美、伊東恵美子、炭谷みどり、田瀬裕子、谷口理恵、新納郁子、西岡令子、畑幸枝、早川みつほ、山本純子、吉田智枝美

※ 投票総数は747票。各氏の得票数は本会HP参照。
※ 通常総会後に開催した理事会で、会長は秋山氏、副会長は任氏、山本氏、専務理事は中野氏、常任理事は淺香氏、木澤氏、田母神氏が承認された。

新たな時代への挑戦!
「看護の将来ビジョン2040~いのち・暮らし・尊厳を まもり支える看護~」公表

2040年に向けて、さらなる少子高齢化の進展、DXの推進や働き方改革など、看護を取り巻く環境は大きく変化していきます。この変化への対応は、看護職の力を最大限に発揮し、活躍の幅を広げる契機でもあります。またこれら変化の中で、あらゆる人々の健康や療養を支えていくためには、これまでの習慣や既存の枠組みにとらわれず、今こそ大胆に発想を転換する必要があります。本会は、2025年6月11日の通常総会において「看護の将来ビジョン2040」(以下、新ビジョン)を公表しました。

新ビジョンでは、2040年までに想定される社会、医療の変容を踏まえ、看護が進むべき方向性を示しています。どのような健康状態にあってもその人らしく暮らせる社会の実現のため、「2040年に向けて看護がめざすもの」として、看護職が日々の実践を通して力を注ぐことをまず示し、それらめざす看護の実現に向けた本会の取り組みの方向性として「あるべき看護の実現に向けた戦略」、そして、さまざまな実践を支える土台として「看護職が活躍する基盤となるもの」を位置付けました(図参照)。特に基盤となるものにおいては、看護職が健康で安全に充実感を持って働けるよう、看護職一人ひとりのウェルビーイングを重視することの重要性を打ち出しています。
本会は新ビジョンの実現に向けて、毎年の重点事業をはじめとするさまざまな事業を計画的に進め、定期的に評価をしながら取り組みます。看護職の皆さまもこの新ビジョンを、日々の実践と重ねながらぜひご一読ください。これからの15年、新ビジョンの下、その実現に向けて共に取り組み、挑戦していきましょう。