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協会ニュース2025年1月号
年頭所感「2025年から2040年を見据えて」
日本看護協会 会長 高橋 弘枝2025年の年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
昨年の診療報酬改定では、医療機関などによる医療関係職種の賃上げへの対応を評価するベースアップ評価料が新設されました。このことは、コロナ禍においても奮闘し続けてきた、会員・看護職の皆さまの活躍や関係す
る皆さまのご尽力のたまものです。心より敬意と感謝を表します。日本看護協会としても、物価上昇に負けない賃上げを後押しするべく、医療機関などへの緊急財政支援を各政党に要望しているところです。あらゆる場で
働く看護職の処遇改善に、引き続きまい進してまいります。
また、昨年は能登半島地震という大きな災害で始まり、その後、同地域で豪雨災害も発生いたしました。改めまして、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。能登半島地震の際には、全国から災害支援ナースが派遣
され、55日間、延べ2,982人が活動いたしました。災害支援ナースは昨年4月から施行された改正医療法などにおいて、都道府県と医療機関の間に締結された協定に基づき、災害時および新興感染症発生時に派遣される仕組
みとなりました。今後もさまざまな災害などの発生が予想される中、平時から、必要な知識・技術を有した看護職の養成と関係機関の連携を進めることは、国民のいのちと暮らしを支えることにつながります。皆さまのご理
解とご協力を得て、この仕組みが効果的に運用されていくことを期待しております。
さて、本会はこれまでの10年間、2025年に向けた「看護の将来ビジョン」を掲げ、その方針に基づき活動してまいりました。そしてことしは、次の節目となる2040年を見据えた、新たな「看護の将来ビジョン」の公表を予定
しております。2040年は少子高齢化がピークを迎えるとともに、技術革新などにより社会や暮らしの劇的な変化がさらに進んでいると見込まれます。その中で看護は、時代の変化に柔軟に対応し、医療と生活支援の双方の観
点を持ち「いのち・暮らし・尊厳を まもり支える」という看護の普遍的な価値を、あらゆる場で提供し続けることを目指します。加えて、現在も活躍している看護職が、誇りややりがいを持って看護の仕事を継続していけるように、また、これから職業を選択する若い人たちに、魅力ある職業として選んでもらえるように、2040年を見据え、より一層励んでいく所存です。
社会から寄せられる医療への期待はますます大きくなっています。良質かつ適切な医療の提供を通じて国民の健康に寄与し、その期待に応えることは、医療従事者の使命です。
医療に関係するさまざまな職種・機関が互いに力を合わせ、いかなる状況においても、国民の健康をまもっていかなければなりません。目下の課題の改善を図り、明るい未来へと歩みを進めるため、本会は、本年も力を尽
くしてまいります。引き続きのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。本年が皆さまにとって幸多き一年となりますよう祈念いたしまして、新年のごあいさつとさせていただきます。
あけましておめでとうございます
ケアの力を信じて、新たな一年へ
副会長 任 和子
あけましておめでとうございます。
日頃から看護職の皆さまが各現場で果たしておられる大きな役割に、心より敬意を表し、深く感謝申し上げます。
私たち看護職は、新型コロナウイルス感染症への対応や超高齢社会の進展といった社会の転換期において、常に柔軟かつ粘り強く、患者や利用者に寄り添ってまいりました。看護職が担う役割は一層広がり、地域包括ケアの推進や感染症対策、そして高度急性期から在宅ケアに至るまで、幅広い分野での活躍が期待されています。一方で、看護現場では人材不足や長時間労働といった課題が依然として山積しており、解決が求められています。昨年末、2016年の熊本地震で被災された友人たちとの集いに参加する機会がありました。災害は生活を覆す出来事ですが、立ち上がる力の源は、人と人とのつながりとケアの力であると改めて実感しました。看護職はまさにケアをなりわいとする存在です。能登半島地震から1年が経過した今も、依然として困難な状況にある方々がいらっしゃいますが、ケアの力を信じ、活動を続けましょう。災害支援ナースの仕組みが整備されたことは大変心強いことです。この制度を持続可能なものとして活用し、災害に備えつつ、平和な日々を願い続けたいと思います。
自分の思いを臆さずポジティブに主張できる看護職に
副会長 山本 則子
あけましておめでとうございます。
能登半島をはじめ、いまだ復興の途上にある各地の皆さまに、心よりのお見舞いを申し上げます。
地球環境の変化、少子化と高齢化、世界で起きている紛争や変化など、社会の大きな変動を感じます。その中で、人々の健康とウェルビーイングのため、変わらず貢献できる看護職であることを改めて誇りに思います。私の責務は、第一線で働く仲間たちがより良い職場環境の下で存分に発揮できるよう努めることと、思いを新たにしています。
同時に、これからの社会に看護がより貢献できるよう、刻々と進化する必要がある部分もある、と考えています。私が願う看護職の進化は、自分の判断・意見・思いを臆さずポジティブに主張し、多職種協働の中で自律的に動けることです。もちろん多くの看護職がすでにそのような手腕を持って活躍されていると思いますが、そんな看護職がもっともっと増えてほしいと願います。そのためには、基礎教育や継続教育の充実、職場環境の整備、質保証のシステム構築、リーダーの育成、政策提言など、多様な領域での取り組みが求められるでしょう。本年も、会員の皆さまと共に楽しく進んで行けることを念願しています。
新しい「看護の将来ビジョン」の策定
副会長 勝又 浜子
新年、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
ご承知のとおり2025年は、いわゆる「団塊の世代」の方が75歳以上、つまり後期高齢者となる年です。本会は2025年に向けて、2015年6月に「看護の将来ビジョン~いのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護~」を公表いたしました。地域包括ケアシステムの構築、病院完結型医療から医療とケアと生活が一体化した地域完結型医療への転換は、約10年の時を経て着実に進んできています。
次なる照準は、団塊ジュニアが65歳以上となる2040年です。昨年度は、新しい「看護の将来ビジョン」の策定に向けて、精力的に文案を作成し、有識者へのヒアリングを実施いたしました。
本会内においても、地区別法人会員会や職能委員の皆さまからのご意見をお聞きした上で取りまとめ、12月に募集したパブリックコメントで広くご意見をいただきました。今後、さらなる精錬を重ねて、6月の総会において公表してまいりたいと考えております。新しいビジョンは、絵に描いた餅になってはいけません。一人ひとりの看護職がビジョン実現に向けて取り組み、国民のいのちと健康をまもっていきましょう。