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協会ニュース2024年8・9月号
改訂版 分娩取扱施設における災害発生時の対応マニュアル作成ガイド公表
日本看護協会は「分娩施設における災害発生時の対応マニュアル作成ガイド」を「分娩取扱施設における災害発生時の対応マニュアル作成ガイド(以下、作成ガイド)」として、約10年ぶりに改訂した。作成ガイドの目的は、有事の際でも妊産婦が安全に安心して出産できる分娩取扱施設の体制を整備できるよう、各施設がマニュアル作成に取り組む際に活用してもらうことである。対象としては、分娩取扱施設の産科病棟の看護管理者と、助産師および産科業務を担う看護師を想定した。
作成ガイドの構成
第1章 平時から災害に備えるために必要な「対応マニュアル」の作成
第2章 発災直後の対応に必要な「対応マニュアル」の作成
補 章 中・長期的な支援に必要な視点
作成ガイドの内容
「平時からの備え」を重視し、対応マニュアルを作成する際に考慮すべき内容や各施設において準備・検討を行う事項を整理した。出産は災害でも途中で止めることはできない。そのため、分娩取扱施設が有事の際にどのような体制整備が必要か、いざという時の行動を明確にしておく「平時からの備え」が、分娩取扱施設においては重要であり、看護管理者の役割であることを示した。
各章の概要
第1章 平時から災害に備えるために必要な「対応マニュアル」の作成
1.分娩取扱施設の看護管理者に求められる役割
有事の際、適切に行動するためには、正確な情報が欠かせない。看護管理者は、円滑な母体搬送や新生児搬送のために、日ごろから地域の医療機関や行政とのネットワーク連携を活用しておくことが重要である。併せて、地域特性や地理的な条件の考慮および、地域内での自組織の役割・方針を明確にしておくことは、災害時の自組織内外の活動に有用になる。
また、非常用物品は通常の災害対応に必要な物品に加え、分娩時に必要な物品を準備するとともに、施設建物が損壊した際を考慮し、安全に分娩ができる場所(作成ガイドでは第2分娩室という)を確保することが望まれる。さらに、入院中の妊産婦に対する避難経路や避難方法の確認、周知方法についても検討が必要である。妊婦の身体的変化を考慮した避難経路や、出産直後の褥婦や新生児は要配慮者であり、看護管理者は考慮する必要があることを記載した。
2.有事に備えた助産師の実践能力の強化
有事の際は平時のような分娩介助が難しい。分娩中の災害発生や、災害を契機に分娩が始まる場合など、助産師はいかなる場合でも安心、安全な助産ケアを提供するために助産実践能力を高めておくことが求められる。そのために看護管理者は必要な体制を整備し、看護職員の能力の開発、維持・向上への支援を行う必要があることをこの項で示した。
3.妊産婦と家族の防災意識向上のために
入院中に災害が発生した場合に備え、妊産婦とその家族への対応方法や、発災時の授乳支援、母子健康手帳が災害時には重要な情報源になることを記載した。
4.地域の災害の特性にあわせた防災訓練
防災訓練が職員や地域住民の防災意識を高め、防災力の向上に役立ち、日ごろの準備の評価に役立つ取り組みであることを記載した。
第2章 発災直後の対応に必要な「対応マニュアル」の作成
1.災害発生時の行動手順
発災直後に最も重要なことは、妊産婦および新生児と職員の安全確保である。危険なものや場所から距離をとることが、二次被害の予防の観点から重要であることを示した。
2.災害発生時の入院中の妊産婦への対応
発災による妊産婦の転倒や負傷および避難行動の際には、新生児の取り違いに対する二次被害の予防が重要であることを記載した。
補章 中・長期的な支援に必要な視点
被災した地域で避難生活を送る妊産婦への支援に必要な情報を記載した。避難生活に関する基本情報や、妊産婦やこどもが避難生活を送る上での課題と支援を補足的に記載した。
作成ガイドの活用について
安全で安心して出産できる環境を確保するために、自然災害に対する「平時からの備え」は必須である。対応マニュアルの作成に関係職員全員が参加することが、災害対策の一つになる。自組織の対応マニュアルは定期的な見直しだけでなく、他の地域で発生した災害を機に見直し、常に最新の状態にしておくことが大切である。各施設がマニュアル作成に取り組む際に、作成ガイドを活用していただきたい。
~訪問看護ステーションの皆さまへ~
訪問看護管理療養費1の経過措置期間が終了します 届け出は10月1日まで!
令和6年度診療報酬改定で、全ての訪問看護ステーションで届出が必要となった、月の2日目以降の訪問で算定する訪問看護管理療養費について、経過措置期間が9月30日までとなっている。
届出時点で訪問看護管理療養費1の施設基準を満たしておらず、経過措置で管理療養費1を届け出ている事業所では、10月以降の算定にあたって、管理療養費1または2のどちらを算定する場合であっても、再度、届出が必要になる。訪問看護ステーションの管理者の皆さまには、いま一度届出の確認をお願いしたい。
なお、お問い合わせは、所管の地方厚生(支)局へお願いします。