協会ニュース2023年12月号

訪問看護オンライン資格確認・請求が開始、義務化へ

本年4月から既に保険医療機関・保険薬局に原則義務付けられているオンライン資格確認が、2024年6月には訪問看護(医療保険分)でも導入される。訪問看護の場合、保険証廃止に併せて同年秋から「オンライン資格確認」「オンライン請求」が義務化される見込みであり、その準備が急がれる。

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オンライン資格確認とは?

オンライン資格確認は、マイナンバーカードを読み取ることで患者などの医療保険の資格情報などを取得する仕組み。医療機関などでは顔認証付きカードリーダーを用いて読み取るが、図1のとおり、訪問看護(医療保険分)の場合は、利用者宅等でモバイル端末などを用いて行うことになる(「居宅同意取得型」という)。利用者が設定した4桁の暗証番号を初回のみ本人が入力し、本人確認を行う。継続的に訪問看護(医療保険)が行われている場合、2回目以降の入力は不要となる(※1)。

マイナンバーカードで本人確認を行った上で、利用者が同意すると、診療情報・薬剤情報なども取得できるため、医療の質や効率性の向上につながることが期待される。

なお、利用者がマイナンバーカードを取得していない場合や読み取りエラーが生じた場合などには、現行の健康保険証または資格確認書(2024年秋の保険証廃止以降に交付)などにより資格確認を行うこととなる。

※1 マイナンバーカードの写真が利用者と一致することを目視で確認することで暗証番号の入力を不要とする仕組みも来年度中に導入される予定。

オンライン請求とは?

オンライン請求とは、電子的に作成したレセプトデータを、セキュリティーが確保されたネットワーク回線により、オンラインで審査支払機関に送付して請求する仕組み。介護保険分では既に導入されているが、医療保険分の訪問看護についても来年6月(7月請求分)から導入され、同年秋から義務化される予定だ。

オンライン請求の導入により、レセプトの返戻件数減少や事務作業の効率化につながると期待されている。また訪問看護の実態や課題を介護保険分のデータとも併せて明らかにすることができるようになる。

オンライン資格確認・オンライン請求を導入するに当たっては、安全性の高い回線(IPVPN接続方式またはIPsec+IKE接続方式)が必要になる。また訪問先で利用するモバイル端末の導入や、レセプト作成用端末(レセコン)の改修などの費用が必要になることから、42.9万円を上限に財政支援(10分の10補助)が行われる。その詳細は、今後示される予定だ。

導入準備の進め方について

ky_202312182オンライン資格確認・オンライン請求の導入のための流れは、およそ図2のとおり。導入支援事業者(※2)や現在契約しているレセコン事業者(ベンダー)に相談し、見積もりを取得した上で、システム改修や必要な回線・端末などを発注する。さらにオンライン資格確認・請求の利用申請や機器のセットアップなどの準備を完了した後、補助金をポータルサイトから申請することになる。

介護保険同様、高齢などの一定の事情がある場合、義務化は猶予されるが、それに該当しない訪問看護ステーションにおいては、来年(2024年)秋の義務化に向けて、短期間での準備が求められる。仮にシステム整備が間に合わない場合は、義務化の2カ月前の月末までにベンダーと契約締結していれば、システム整備が完了する日(遅くとも義務化の6カ月後の月末まで)まで義務化は猶予されることから考えると、遅くとも来年夏ごろにはベンダーとの契約を締結していることを念頭に置く必要がある。

※2 導入支援事業者では、今後、オンライン資格確認を導入するためのパッケージ商品(資格確認端末の搬入・設定、ネットワークの導入作業などの必要な対応を一括で支援・提供するサービス)を販売開始予定。

最新情報の確認方法

オンライン資格確認・オンライン請求に関する情報は「医療機関等向け総合ポータルサイト」に随時掲載される。サイトにアクセス後「オンライン資格確認」のページに移動すると、訪問看護ステーション向けのページが表示される(12月時点)。

前述の補助金の要綱や、端末のセットアップの手順など、さまざまな情報が今後、同サイトを通じて提供されることになる。重要な情報は本会HPでも随時提供していくが、ぜひポータルサイトにも定期的にアクセス・確認いただきたい。

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