協会ニュース2023年6月号

令和5年度通常総会 第14代会長に高橋弘枝氏

日本看護協会は6月7日、令和5年度通常総会を幕張メッセ(千葉市)で開催した。総会には746人の代議員が出席し、一般参加者1,088人が参加した。6月下旬からは、会員マイページ「キャリナース」でアーカイブ映像も公開する。

総会では、議決事項の「名誉会員の推薦(案)」「2023年度改選役員及び推薦委員の選出について」と4つの報告事項が協議・報告された。議決事項はいずれも承認され、3期6年の任期を終える福井トシ子会長の後任として、高橋弘枝氏が第14代会長に選出された。また、副会長に任和子氏、山本則子氏、常任理事に中野夕香里氏が新たに選ばれた。

開会のあいさつで福井会長は、6年の任期について「新型コロナウイルスとの闘いの日々で、今まで以上に現場の声を代弁する職能団体の存在の尊さを実感した。これまで多くの皆さまに支えていただき、任期を終えることができた」と謝辞を述べた。そして、①診療報酬による看護職員処遇改善評価料の新設②国家公務員医療職俸給表(三)の級別標準職務表の改正③「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の改正に向けた検討に着手したことなどを振り返った。

報告事項では、令和4年度の事業と、決算及び監査の報告、令和5年度の重点政策・重点事業並びに事業計画と資金収支予算及び収支予算が報告された。

高橋新会長から福井前会長へ花束贈呈の様子

令和5年度の本会の政策については、重点政策の取り組みのスパンである3カ年の2年目として、基本的には昨年度の重点政策4本柱を踏襲するとともに、進捗状況の評価や社会状況の変化への対応を盛り込んだ重点事業に取り組むと説明。さらに2025年に向けて取り組んできた「看護の将来ビジョン」の実現や、国際交流におけるリーダーシップの強化についても触れた。

協議・報告後の退任役員の紹介では、福井会長のほか、齋藤訓子、秋山智弥の両副会長、鎌田久美子常任理事らが紹介され、代表して福井会長があいさつ。新会長に選ばれた高橋氏が花束を手渡した。

最後に高橋氏は「看護職の明るい未来と、看護の力で健康な社会を創ることを目指して邁進する」と会場に呼び掛けた。

通常総会の詳細(重点政策・重点事業・質疑など)や6月8日に開催された全国職能別交流集会については、本紙7月号に掲載予定。

2023年度 改選役員及び推薦委員 選挙結果

<役員>

  • 【会長候補者】高橋弘枝
  • 【副会長候補者】任和子、山本則子
  • 【理事】勝又浜子、木澤晃代、田母神裕美、中野夕香里、森内みね子、吉川久美子
  • 【地区理事】宮城県:石井幹子、山形県:若月裕子、福島県:佐藤博子、茨城県:白川洋子、群馬県:神山智子、埼玉県:澤登智子、神奈川県:長野広敬、新潟県:斎藤有子、山梨県:佐藤悦子、長野県:松本清美、石川県:小藤幹恵、福井県:江守直美、静岡県:松本志保子、三重県:谷眞澄、兵庫県:丸山美津子、奈良県:飯尾美和、鳥取県:松本美智子、島根県:池田康枝、山口県:藤谷圭子、徳島県:森恭子、香川県:安藤幸代、愛媛県:久保幸、高知県:藤原房子、福岡県:大和日美子、佐賀県:南里玲子、大分県:大戸朋子、沖縄県:平良孝美
  • 【監事】居関剛一

<推薦委員>

上野千賀子、岡本里美、佐久間あゆみ、杉本友子、田中かおり、鶴森立美、橋爪直美、長谷川美穂、藤田幸恵、松本奈美、宗宮昌子

  • 投票総数は746票。
  • 通常総会後に開催した理事会で、会長は高橋氏、副会長は任氏、山本氏、専務理事は勝又氏、常任理事は木澤氏、田母神氏、中野氏、森内氏、吉川氏が承認された。

令和6年度診療報酬・介護報酬改定 要望書を提出

令和6年度は6年に一度の診療報酬、介護報酬および障害福祉サービス等報酬の同時改定になるとともに、医療計画や介護保険事業(支援)計画、医療保険制度改革などの関連制度の一体改革にとっても大きな節目となる。

医療・介護・障害福祉サービスのさらなる連携推進が目指される中、あらゆる場において適切に看護の機能・役割を発揮できる提供体制の整備とその評価が不可欠であり、5月16日に厚生労働省の伊原和人保険局長宛に診療報酬改定に関する要望書を、22日には大西証史老健局長宛に介護報酬改定に関する要望書を提出した。

入院基本料・訪問看護基本療養費などの引き上げ

電気代などをはじめとする諸物価の高騰が続く中での医療機関や訪問看護ステーションの厳しい経営状況を支えるため、入院基本料・訪問看護基本療養費などの引き上げを強く要望した。

安心・安全な療養環境整備、質の高い看護の効果的・効率的な提供に向けた要望

特に夜間の看護職員配置の強化や救急外来の看護職員配置、看護補助者の確保・定着、重症化予防に向けた外来における療養指導の推進、医療機関と介護施設などとの連携強化の評価を求めた。さらに精神科や小児、周産期医療における看護ケアの充実に向け、看護配置の強化や医療機関と訪問看護の連携強化などを要望した。

看護職員処遇改善評価料の対象医療機関の拡大

対象医療機関が急性期を担う一部の医療機関の看護職員に限られているため、全ての看護職員の処遇改善を目指し、算定対象病院の拡大を強く求めた。

診療報酬と介護報酬の双方における、訪問看護に対する評価の充実

同時改定であることを踏まえて、医療と介護の複合的なニーズや在宅看取りに対応できる訪問看護サービス提供体制の整備に向けた要望を行った。地域で安全・安心な療養生活を継続できるよう、24時間対応可能な看護体制の評価を求めた。

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の機能強化・設置促進

看多機ではさまざまな疾患・状態像の利用者を受け入れ、看取り期までのケアを提供していることから、利用者の状態に応じたターミナルケアや重度者への柔軟な対応体制への評価を求めた。さらに、看多機が地域の利用ニーズに応えるため、市町村が定員の増加を条例で定めることが可能であることの周知についても要望した。