協会ニュース 2022年8・9月号

看護補助者の確保・定着に向けた取り組み事例紹介

  • 富山県立中央病院
  • 看護職員数:正規職員 757人
    非正規職員 70人
  • 看護補助者数:80人

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副院長・看護部長 岡本里美さん

富山県立中央病院(病床数733床)は、多様な雇用形態の実現により、看護補助者の確保・定着につなげている。

同院では2004年から、看護部が非常勤職員として看護補助者の直接採用を開始したものの、当初は応募が少ない状況が続いていた。そこで、就業希望者が直接ケアに不安を感じ、応募に迷うことがある点を考慮し、まずは業務内容を物品搬送、物品補充、環境整備などの周辺業務に限定して、ハローワークに求人票を出すこととした。加えて、短時間や希望時間での勤務も可能とした。その後、2010年には、直接ケアを担う看護補助者の雇用を開始した。勤務時間を早朝・夜間帯としたこともあり、直接ケアを担う看護補助者への賃金を引き上げることができた。さらに、2016年には事務や入院オリエンテーションを担う看護補助者も導入した。こうした経緯から現在看護補助者の業務内容は、物品搬送・補充および環境整備は共通項目として、雇用形態によって①ベッドメーキングなどの周辺業務②事務的な周辺業務③直接ケアのいずれかを担当する体制となっている。岡本里美副院長・看護部長は「看護部として確保策を考えてきた。募集する業務を細分化・明確化したことで、応募が増え人員確保が進んだ」と振り返る。

看護補助業務の細分化に伴い、看護補助者の業務実施体制を整備した。業務規定の明文化と、看護補助者および指示を出す看護師への周知、業務に応じたユニフォームの支給、マニュアルやチェックリスト、業務指示に活用するタイムスケジュールなどである。さらに看護補助者への研修会や、配属先の希望の聞き取りも行い、看護補助者の定着を図った。

2020年の地方公務員法改正により、それまで非常勤職員だった看護補助者は、県の会計年度任用職員としての雇用形態となった。これにより、賞与や有給休暇などの処遇が改善した。応募者には「まずは会ってみて、業務を見てもらうこともある」と話す。週1日のみや週末のみの勤務者もいるほか、採用年齢も定めておらず、現在も勤続10年以上になる80歳代の看護補助者が活躍している。

岡本看護部長は「今後も看護師と看護補助者がお互いを尊重し看護チームとして協働していきたい。それによって看護師がさらに看護の専門性を発揮できるようにしたい」と抱負を語った。