協会ニュース 2021年8・9月号

「新型コロナウイルス感染症対応 総理大臣官邸で自宅療養について意見交換」福井会長が出席

官邸で菅総理ほか、政府関係者や医療関係団体と意見交換する福井会長(左端)の様子
菅総理との意見交換に出席する福井会長(左端)

8月3日に総理大臣官邸で政府と医療関係団体の意見交換が開催され、日本看護協会から福井トシ子会長が出席し、菅義偉内閣総理大臣と意見交換を行った。政府からは田村憲久厚生労働大臣と西村康稔経済再生担当大臣が同席。医療関係団体としては本会のほか、日本医師会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会が参加した。

菅総理は新型コロナウイルス感染症への対応について、医療関係者の協力でワクチン接種が予想以上のスピードで進捗していることに感謝を示した。その上で前日に、重症患者などを除き、自宅療養を基本とする方針をまとめたことについて、病床の確保と自宅・宿泊療養の強化にあらためて協力を要請。「感染拡大地域では、重症患者や重症化リスクの特に高い方、すなわち、中等症のうち酸素投与が必要な方や、それ以外で糖尿病などの疾患をお持ちの方には、確実に入院していただき、それ以外の方々で、症状が悪くなった場合に、必ずすぐに入院できる体制を整備する」との考えも示した。

福井会長は、在宅療養している患者の増加で保健所の業務が逼迫(ひっぱく)し、訪問看護にも在宅療養者のフォローが期待されている現状に触れ、「在宅療養者の所在は保健所が把握しており、保健所を設置している区などとの契約で訪問看護に入ることは現実的な対応だ。入院待機者はもちろん、軽症者でも急激に重症化することがあり、感染の判明からスムーズに訪問看護につなぐことが重要。看護職として訪問看護への需要に積極的に応えていきたい」と述べた。また、コロナ対応で都道府県ナースセンターを通じた軽症者の宿泊療養施設やワクチン接種業務などに復職した看護職員数を紹介。引き続き復職支援に全力で取り組んでいく考えを示した。

さらに福井会長は、診療報酬における「新型コロナウイルス感染症を踏まえた診療に係る特例的な対応」の追加対応にも言及。「訪問看護がないと在宅療養は支えられない。訪問看護での加算を検討いただきたい」と要望した。

訪問看護に関する加算については、福井会長の要望を受けて、厚労省が翌4日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その52)」を発出。訪問看護ステーションでは長時間訪問看護加算(5,200円)を、保険医療機関では長時間訪問看護・指導加算(520点)を算定できることになった。