日本看護協会とは

副会長活動ダイジェスト

月刊『看護』2022年10月号より

副会長  井伊  久美子

副会長 井伊久美子

【保健所強化について】

6月に公表された「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」の取りまとめを受け、次の感染症危機に向けた具体策につながる議論が行われています。当然、地域保健法に関する課題として「保健所の機能強化」が取り上げられています。しかしながら、本当に「強化」になるのかとても心配。人員配置については、この2年間で感染症対応業務に従事する保健師を900名増とされましたが、他の業務からの振り替えではなく純増になるか注視する必要があります。また、IHEATによる体制強化を全面的に打ち出しているものの、学会や団体所属の多職種の登録をもって3500名という数字がどのくらい有効なのか疑問です。それよりも、市町村には常勤保健師が3万人以上いるため、県保健所と市町村との連携があれば、まさに実戦力になると考えますが、まったく触れられていません。現在の保健所の人員配置の適正化と、平時からの関係機関や市町村との連携の仕組みづくりをもっと重視すべきと考えます。

Infectious disease Health Emergency Assistance Teamの略で、保健所での積極的疫学調査等の業務を支援する専門職を対象とした人材バンクに登録された人

副会長  齋藤  訓子

副会長 齋藤訓子

【夏季休暇の楽しみ】

第7波の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、医療機関での対応や在宅療養の支援をしてくださっている方々、保健所の方々にはあらためて敬意を表します。大学でも学生の感染者や濃厚接触者が増加し、実習を学内に切り替えたり、追実習を実施したりするなどの対応に追われています。定期試験を受けられなかった学生への追試験の実施もあり、在宅看護学領域を担当している私は、夏季休暇を取れない状況です。在宅での療養を支えている訪問看護師や臨床現場にいる看護職の方々は夏季休暇を取得できているのか心配しております。
私の夏季休暇の最大の楽しみは、北海道に帰省し、ビール片手に甲子園での高校野球を観戦することです。今年の夏は東北に優勝旗がわたりました。ニュースでしか見ることができておりませんが、高校球児の一生懸命さに毎回、涙が出るという状況で、涙腺も老化しているのだと感じています。来年こそ、帰省し、お墓参りとともに夏季休暇を謳歌できることを祈っています。

副会長  秋山  智弥

副会長 秋山智弥

【パンデミック下における倫理】

3年ぶりに行動制限のないお盆を迎え、人々が活発に動き出した8月。第7波もとどまることなく日本列島を襲い、医療従事者の間ですら陽性者が急増したため、病床に対する人員確保が難しい状況となりました。入院が受けられない病院、搬送先が決まらず次の要請に応じられない救急隊。目の前の命も到着を待っている命も同じ「いのち」。倫理的判断を迫られ、道徳的苦悩に心痛めるのはいつも現場のスタッフです。「倫理的判断の決定者は中央政府であるべきであり、『生き死に』の基準設定を現場に強いることで、倫理的・心理的負担を現場に課すべきではない」……そう語るのは、「パンデミックの倫理学」の著者、広瀬巌氏。8月に福岡で開催された第26回日本看護管理学会学術集会前夜のセミナーでパンデミック対策における倫理の重要性、および倫理原則と各国の取り組みについてわかりやすく解説してくださいました。まさにそのとおり、目から鱗でした。読書の秋、皆さまもぜひご一読ください

広瀬巌:パンデミックの倫理学 緊急時対応の倫理原則と新型パンデミックの倫理学,勁草書房,2021.