副会長活動ダイジェスト

機関誌「看護」2025年10月号より

副会長  任 和子

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退院後に見えた現実と支えの大切さ

交通事故による骨盤骨折で入院していた家族が、5カ月ぶりに帰宅。つえもなく階段も登れるまでに回復し、期待以上でした。しかし現実は想像以上に厳しいもので、病院は整った環境で生活が支えられていましたが、自宅では効率が悪く消耗し、基礎疾患のない50代後半の体でも夕方には力尽きてしまいます。退院から10日ほどで実感したのは、「退院後のほうがむしろ厳しい」ということでした。入院中は「退院」という明確な目標があり努力できましたが、退院後は目標が分散し、思うように動かない体とのギャップに失望感が募ります。体調を崩せばリハビリも滞り、不安は増すばかりです。この経験から、退院直後をどう乗り切るかを支える重要性を痛感しました。食事が摂れ、排泄が整い、眠れる環境があること。そして「次の外来まで持ちこたえる」という小さな目標を重ねることが暮らしを続ける力になります。退院後の生活に寄り添う看護の視点は、本人にも家族にも大きな支えになると感じています。

副会長  山本 則子

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第1回全国職能委員長会

8月に都道府県看護協会の職能委員長と日本看護協会の職能委員が集まる全国職能委員長会が行われました。私は看護師職能委員会Ⅱ(介護・福祉関係施設・在宅等領域)に参加しました。急性期とは異なる在宅や介護・福祉関係施設での看護は、医療機関における看護職の立ち位置との違いから、働き始めてから戸惑ったり、自信ややりがいを喪失しかねない状況にあることも聞こえてきます。介護・福祉関係施設および在宅等領域における看護実践の魅力を発信し、このような場で働く誰もが自信とプライドを持って職務に従事することが望まれます。本領域で働く看護職の看護協会の活動へのいっそうの参加も呼びかけたいと思います。訪問看護総合支援センターを持つ都道府県協会も増えています。今回、センターがSNSを使って情報を発信したり、実務者同士が情報を交換したりする取り組みも紹介されました。都道府県を超えた地区ごとの取り組みなど、DXを最大限活用した新しいつながり方が可能な時代であることをあらためて思いました。

副会長  勝又  浜子

副会長 勝又浜子

乳幼児健診にかかわるエビデンスの確立

先の参議院選挙で石田昌宏氏が三期目の当選となりました。これからも意見交換をしながら、日本看護協会の看護政策実現に向けて取り組んでまいります。さて、8月6日にこども家庭庁の科学技術部会が開催され、令和8年度AMED研究において、新規研究課題として乳幼児健診の精度管理・標準化に資する研究が提案されました。これは、乳幼児健診の実施項目や各自治体が独自に先駆的に行っている健診事業ついて、その意義を明確にし、実施項目に関するエビデンスを確立することが目的です。私は、東京大学の吉岡京子准教授とお会いしたときの意見交換を踏まえ、乳児の股関節脱臼の予防・早期発見には、徒手的検査では限界があるため、沖縄県の本部・久米島両町で実施されている、保健師による超音波検査(※) についても検討対象とすべきことを部会で発言しました。なぜなら、早期発見で子・家族の負担が軽減し、また、高齢になったときの歩行障害の予防にもつながるため医療費の削減効果が期待できるからです。


※ 東京大学や沖縄県内医師、本部・久米島両町などの研究チームが、乳児股関節脱臼に関する超音波検査の普及実装をめざし取り組んでいる。

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