副会長活動ダイジェスト

機関誌「看護」2025年7月号より

副会長  任 和子

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多様性が生きる組織へ

内閣府では、性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスの解消をめざし、さまざまな活動を展開し(※1)、その一環として「オールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)」(※2)に着目した啓発動画が公開されました。OBNとは、男性を中心とした非公式な人間関係の構造で、例えば、飲み会の付き合いや過去の人脈が実力や公正な評価よりも重視され、昇進や意思決定に影響を与える状況を指します。こうした慣習は多様な人材の活躍を妨げることがあり、私自身、看護職として歩んできた中で、男性中心の社会構造が看護職の働き方にも影響していることを経験してきました。看護職は女性が多数を占めるものの、職位が上がるほど組織全体の意思決定の場では男性が目立ち、そこでの暗黙のルール等に戸惑うこともあります。また、女性が多い職場でも長年の関係性や同調圧力が優先され、新しい視点や働き方が受け入れられにくいという指摘もあります。性別や年齢にかかわらず、多様な力が生きる職場づくりを看護の現場から進めていきましょう。

※1 「女性活躍・男女共同参画の重点方針2024」に基づき活動が行われている
※2 オールド・ボーイズ・ネットワークについての啓発動画(内閣府ホームページ)

副会長  山本 則子

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人口減少社会における新たなケアシステム

厚生労働省の各部会では、次回の報酬改定を見すえた新たな議論が始まっています。その内容を見ると、日本社会のさらなる高齢化(85歳以上人口の増加)と人口減少の同時進行の影響が急速に拡大すること、また、それを見越して各種の対策が急ピッチに検討され始めていることを実感します。ケアの担い手がいっそう少なくなる中で、社会のケア力をどのように持続拡大するのか、実に厳しい局面にあります。人は、生まれてから死ぬまでの生涯のどこかで必ず他者のケアを受けて生き延びています。そのことを社会の大前提として踏まえつつ、新たなケア提供体制を考えるときが来ているように思います。これまでのケアに関する制度やシステムでは対応し切れないという時代に、私たちはすでに足を踏み入れています。看護職の持つ力を最大限に発揮できるよう、テクノロジーと人の手の温もりを組み合わせ、既成概念にとらわれない自由な発想で、新たなケアシステムのあり方を考えていきたいと思います。

副会長  勝又  浜子

副会長 勝又浜子

“顔と顔の見える関係”づくりのためにも

私は1979年に保健師として市役所に入職し、係長の勧めにより日本看護協会の会員となりました。その後、早い時期に滋賀県看護協会の教育委員として各種研修会の立案等にかかわりました。若い保健師でしたので、看護師の課題や研修に対する希望がどのようなものであるのか理解するのが難しいと感じていたところ、当時、一緒の委員であった先輩看護師たちに仲良くしてもらい、病院の看護の現状などについて教わり、保健所保健師として仕事する上で多くの示唆をいただきました。10年後、私が厚生労働省の役人として、再び滋賀県庁の医務薬務課長で出向した際、その先輩たちは済生会滋賀県病院・滋賀医科大学医学部附属病院の看護部長として県の看護の最先端で活躍されており、医療政策を推進する上で、多くのアドバイスをしていただきました。このように、さまざまな立場や勤務場所が違う看護職と“顔と顔の見える関係”が築けるところが看護協会です。多くの看護職の入会を期待します。

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