室岡 真樹さん

室岡 真樹さん  地域看護専門看護師 

所属施設

新潟県総務管理部人事課健康管理室・主査
新潟県職員保健師数約100名。8割は保健所保健師として活動、他は県庁関係部署には配属。3-4年間隔で県内各所・部署を異動し、複数の地域・職務を経験する。県職員保健師のCNSは1名。現在の所属部署である健康管理室は保健師3名、他、嘱託員の保健師2名、看護師2名が在籍している。

資格取得までの道

2000年4月新潟県職員保健師として採用され、以降、県内保健所で地域保健分野にて活動。採用から10年前後、自分自身の活動への自信のなさや今後の保健師としての方向性に悩んだことをきっかけに大学院のCNSコースへの進学を考えた。その後、2011年4月~2014年3月まで、在職しながら職場内の自主研修制度を利用し新潟県立看護大学大学院に在学。2014年4月より現職にて産業保健分野に従事(約7,000人の職員の健康管理)。同12月にCNS認定を受ける。

活動紹介

保健所での地域保健活動に10年以上従事した後、現部署での産業保健活動に従事し6年目となる。県全体の保健師研修への参画や県内各地域の保健師研修の講師・助言者等の機会や、県内大学が企画・実施する事例検討・シンポジウムにも協力させていただく機会もあり、職場内外でCNSの役割機能を生かした活動を展開できるよう意識している。以下、具体的に職場内外の活動の一部を紹介する。

2020年1月自主グループ
2020年1月自主グループ

【保健師自主グループ活動の企画・運営・支援】
現在、当県の県職員保健師会では新任期(主に1~6年目)と中堅期(主に10~20年目)の自主グループがあり、各期の課題に応じたグループ活動を展開している。県職員保健師の力量形成のために必要な教育機会であると考え、CNSの役割(相談・教育・研究)を意識した活動の企画・運営及び必要な支援を行っている。
新任期グループに対しては、主に企画・運営のコンサルテーションを行い、新任期保健師が自ら課題解決に向け活動を計画・実施し、その後の継続した活動を考えられるよう支援している。また、中堅期グループは、自分と同世代で共通する課題もあることから、日々の活動の悩み・課題・自信のなさを解消し、力量形成と同時にモチベーション向上を図ることをめざし、CNS資格取得と同時に、会を立ち上げ、企画・運営をしてきた。会の活動当初、話し合いを重ね日々の活動への思いを語り合い、課題を整理するとともに課題の解決策とグループが担う役割・活動について検討した。その結果、中堅期保健師は、集団・地域を対象とした、多くの関係者と連携した事業を展開する上での困難感が強いことが分かった。まずは自身でリフレクションをし活動の言語化・可視化を行い、さらにグループ内で事例(事業)検討を行うことで、課題解決策を様々な視点からみることができ、その後の活動につなげることができた。この活動の言語化・可視化は、職場内で事例等の検討や振り返りを行う際に役立っている。また、グループとして検討した結果をもとに「県中堅保健師の事業展開における現状・課題」を整理し中堅期保健師に必要な支援の検討を行い研究としてまとめ学会発表を行った。現在、次の課題解決に向けグループの活動を継続している。中堅期のグループは、今後育っていく新任期世代の次の成長の機会となるため、活動を継続し、中堅期・新任期がお互いに交流を図りながら、それぞれの力量形成ができるような合同自主グループ等への活動の展開を考えている。

【産業保健:職員のメンタルヘルス対策・長期療養者の復職支援】
主に職員のメンタルヘルス対策を担当している。個別支援としてはメンタル不調となった職員の復職支援が多くを占める。昨今のメンタルヘルス不調の事例は複雑化しており、職務不適応や人間関係の問題への関与・調整のみでなく、本人の個別性やプライベートの問題等も含め、本人・関係者の事情・思いを考慮しながら倫理調整やコーディネーション機能を用い復職支援を展開していく必要がある。例えば、Aさんはうつ病により休職しているが、慢性疾患を抱えているため、復職後の勤務継続はかなり難しい状況であり、金銭的な問題も抱えていた。復職できない場合は生活保護受給等の可能性もあるため、本人同意の上、医療機関の関係者だけでなく、市町村保健師等地域の支援者と連携し支援を行った。産業保健は基本的に「働いている人」が対象となるが、Aさんのように多問題を抱える複雑な事例の場合、退職後もその人が地域で自立して生活できるよう、必要により在職中から地域関係者との連携・調整を図りながら、職場以外も巻き込んだ支援が必要であると考えている。今後もこのように複雑かつ、産業保健以外の関係者と連携していく必要性のある事例は増えていくと想定される。複雑・困難と言われる事例に対しより良い支援が行えるよう、産業保健スタッフの対応スキル向上と連携の円滑化をめざし、定期的に職場内外の関係者で事例の共有や検討をできるような体制を作っている。

所属施設の上司・先輩等からの支援

CNSという位置づけがない中でも、勤務時間内で職場外活動である保健師等育成のための研修講師・検討委員や大学等の講義・実習講師等ができるのは、職場上司の理解・協力があってのことだと考えている。また、県庁内の保健師人材育成部門の統括及び担当保健師、関係する先輩保健師から、CNSとして研修・検討会等に活用してもらえたことは活動実績と自身の力量形成の機会ともなっている。上司や先輩保健師の支援は、CNS活動を継続し、資格を維持していくためには不可欠であり、活動の原動力、大きな支えとなっている。 

上司からのメッセージ
山田 洋子さん  福祉保健部 医師・看護職員確保対策課 副参事 
            (現・上越地域振興局健康福祉環境部 地域保健課長)

室岡さんには、県が行う保健師研修の事前課題シートの改訂への協力や、研修での指導・助言、県保健師の人材育成の検討会委員など、CNSとして幅広く協力していただいています。研修受講者の能力向上に貢献するほか、研修にファシリテーターとして参加している保健師にとってもCNSの役割を実感する有効な機会になっています。また、CNSが活躍することで後輩のロールモデルとなり、保健師の意欲向上やレベルアップにつながるとともに、保健師を目指す学生の増加にもつながることを期待しています。現在、室岡さんの影響もあり、後輩がCNSを目指し学び始めました。
今後も県として、CNSの室岡さんに、保健師の人材育成等への協力をお願いするとともに、活躍の場を提供できるよう支援していきたいと思っています。

(2020年8月28日掲載)

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