関根 光枝さん

関根 光枝さん  家族支援専門看護師 

活動風景
活動風景

所属施設

○日本赤十字広尾訪問看護ステーション(2007年1月1日開設)
東京都渋谷区広尾4-1-22 日本赤十字社医療センター内
看護師数:常勤10名 24時間緊急対応体制あり
利用者数:190名/年 訪問件数:8,682件/年 (2017年度実績)

○日本赤十字社医療センター
病床数:一般708床  診療科数:41
職員数:1,776名 看護職員数1,049名(内、助産師238名)
専門看護師:9領域13名、認定看護師:13領域21名
平均在院日数:10.9日 入院患者数:1日平均624人
外来患者数:1日平均2,012人 (2017年度実績)

資格取得までの道

急性期病院で勤務する中、がん患者家族を体験し家族看護の必要性を感じる。数年後、休職を勧められるも自らの意思で退職し、大学院修士課程に進学。修了後、同急性期病院に再就職。
2010年資格取得

活動紹介

再就職の際、当時の看護部長に家族支援専門看護師の特徴と活動がどのように組織に貢献できるかについて説明し、その専門性をより発揮できる場として相談支援部門への配属を希望しました。その希望を叶えて頂き、部署の管理業務も兼ねながら、様々な医療・療養相談、退院支援等の業務を活動の拠点とし、組織横断的に活動していくことができました。また、当時は退院支援に診療報酬が認められ始めた時期であり、従来の退院調整、退院支援の仕組みを見直し、再構築していきました。退院調整、退院支援は、患者家族の生活に直結するものであり、その過程で患者を含む家族内の意向の相違や医療者との不調和等、倫理的課題も生じやすくなります。ケースの状況に応じて、家族支援専門看護師として直接関わったり、部署のスタッフの後方支援をしながらモニタリングしたりと、自分自身の関わり方を見極めながら対応してきました。その中での実践を通して、自分がアセスメントして形成した家族像や提供しているケアの意味などを現場のスタッフに言語化して伝えながら、家族看護に対する理解を深めてもらえるように関わってきました。

介護力不足が明らかで医療者は転院が妥当と考えていた患者に対し、家族が強く自宅退院を希望し医療者との不調和を招いていたケースでは、院内外の多職種との調整を細やかに行うことで自宅退院を実現し、延命治療を望んでいなかった患者の気管切開への同意に対して家族内の意向の相違で苦悩していたケースでは、改めて医師、看護師、家族が患者の意向と現状を踏まえてより良いことは何か話し合う場を設け、倫理調整をしていくことで、インフォームドコンセントの実現に加え、その後の退院支援も円滑に進めていくことができるようになりました。このような関わりを通して、各部署で家族看護の力を実感してもらうことができ、勉強会に発展することもあります。また、医師をはじめ、他職種にも家族支援専門看護師としての存在を認めてもらい、看護師のみならず、他職種からも直接相談を受けることも増えました。そして、現在はレベル別の家族ケア研修を実施したり、院外からの要請も多数頂き、組織を超えて活動する場も増えています。

家族の多様化、個人化、少子高齢化などにより、家族機能の脆弱化が言われて久しいですが、院内での活動を進めていく中で、本来地域で暮らす家族の力を高めていくことの必要性を改めて痛感し、活動の場を施設内ではなく、地域におくことを考え始めた時、病院に併設されている訪問看護ステーションの管理者が退職することもあり、看護部長に勧められて3年前に異動しました。家族支援専門看護師として何ができるのか、何をしていかなければならないのかを問い続けながら、役割を発揮していけるようにこれからも努力していこうと思います。

所属施設上司等から受けた支援

再就職時から現在に至るまで、看護部長をはじめ、看護部全体で家族看護の重要性を理解し、活動しやすい環境を提供してもらっています。また、活動成果を数値ではなかなか表すことが難しくても、一つ一つの実践の質として肯定的にフィードバックしてもらい、認めてもらえていることを実感しています。院外での活動も積極的に応じられるようにバックアップしてもらっており、陰日向となって支援してもらっているからこそ、活動を推進できていると思っています。
 

上司からのメッセージ
古川 祐子さん(前日本赤十字社医療センター 副院長兼看護部長)

専門看護師は認定看護師と共に、看護の質向上のために欠かせない存在です。特に、専門看護師は幅広い知見を有し、認定看護師に比べて組織横断的な活動が期待されています。当センターでも、診療報酬への貢献はもとより、診療の質向上に貢献していることから、医師をはじめ他職種からの信頼も厚く、チーム医療のリーダーとして活動しています。

看護部の支援としては、「専門・認定看護師会議」を設け、月に1回の会議を開催できるようにしました。その会議で、院内外の医療施設や地域住民に各領域の活動や教育の機会を紹介できるようにするなど、活動を支援しています。また、専門看護師の資格取得支援として、大学院への進学のための休職や、仕事と両立しやすい勤務のあり方などを検討し、組織の協力を得て専門看護師の育成に積極的に取り組んでいます。今後も診療に欠かせない存在として、育成およびキャリ支援を行っていきたいと思います。

(2019年5月8日掲載)

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