名古屋 祐子さん

名古屋 祐子さん  小児看護専門看護師 

院外での研修会の様子
院外での研修会の様子

所属施設

宮城県立こども病院 看護部(外来配属)
宮城県仙台市青葉区落合4丁目3-17
東北地方唯一の小児周産期・高度専門医療施設として2003年に160床で開院。その後、2015年4月に医療型障害児入所施設と統合し、現在は241床となっている。
看護師・助産師数は約320名、認定看護師は4分野7名、専門看護師は1分野3名が在籍している。

資格取得までの道

大学を卒業後、現在の所属施設に入職。
小児がん病棟で働く中で、終末期ケア・緩和ケア領域の看護について学びたいと強く思うようになり、3人目の育児休業期間を利用して大学院に進学。
2013年資格取得

活動事例及び所属施設上司からの支援について

当病院には小児看護専門看護師3名が在籍しています。それぞれのサブスペシャリティは異なっており、私は外来配属で小児がん看護・緩和ケアを中心に、もう1名(2015年認定)は外来配属で小児アレルギー看護を中心に、もう1名(2016年認定)は小児集中治療室配属で急性期看護を中心にコンサルテーションを受けています。それぞれ得意な領域を活かしながら、専門看護師が担っている教育・研究の役割は協働で担っています。

当院の小児看護専門看護師3名
当院の小児看護専門看護師3名

活動紹介(院内)
[小児がんの子どもの家族支援]
大学院修了後、他施設の小児看護専門看護師の活動を参考にさせてもらいながら、小児がんの子どもの長期フォローアップや成人移行期支援、外来経過観察中に再発が分かった子どもと家族のサポートなどを手さぐりで行う日々でした。しかし外来で、「きょうだいが不登校になっている」「子どもには病名も含めて何も知らせていない」といった様々な問題に直面し、「外来だけでなく病棟に入院中から小児がんの子どもと家族の支援が行うことができたら切れ目のない支援ができるのではないか」と考え、認定を受けて半年後から病棟・外来の協力を得て、小児がんの子どもの家族支援を目的に月2回の病棟訪問を開始しました。入院初期から退院後まで継続的に関わることで小児がんの子どもと家族の抱える問題を早期に捉え、その問題解決に向けて病棟スタッフや多職種とともに1例1例丁寧に取り組んでいきたいと思っています。

[看護研究支援チーム]
2014年から、小児看護専門看護師が中心となり、院外での学会発表や論文投稿を目指すスタッフの支援を行っています。また近年、質的研究に取り組むスタッフが増えてきていることから、院内の教育委員会主催で[インタビュー調査の聞き方・まとめかた]をテーマに質的記述的分析を体験する研修会を年1回開催しています。研究支援チームはテーマ設定から発表資料作成まで一緒に行うため非常に大変ですが、年々院内の看護研究の質が向上しているのを実感し嬉しく思っています。

院内スタッフ向けの活動ポスター
院内スタッフ向けの活動ポスター

活動紹介(院外)
大学院在籍中の2011年に立ち上げた“宮城こどもかんごnet.”の運営活動を継続しています。宮城県は東京都の約3倍の面積を有しますが、人口は東京都の1/6と少なく、その人口の半数が県庁所在地である仙台市に集中しているため、広範な地域を点在する限られた小児医療の資源でカバーする必要があります。“宮城こどもかんごnet.”は点在する各施設の小児看護に携わる人たちの交流の場として隔月で研修会を開催し、2019年3月に第44回目を迎えました。県外からの参加者や、看護師だけでなく保育士、学校の先生、保健師など様々な職種が参加してくださり、少しずつ子どもと家族のケアに携わる人たちと施設の垣根を越えたつながりができているのを嬉しく感じています。また、“宮城こどもかんごnet.”は次世代の小児看護専門看護師育成の場にもなっています。

所属施設の上司から受けた支援
大学院に進学したいという希望を伝えた時から当時の病棟師長、看護部長は「協力するから病院に在籍したまま進学した方が良いよ」と温かい言葉をかけてくださいましたし、大学院を修了して復職する際にも「外来は組織横断的に活動しやすいし、外来は子どもと家族が一番見える場所だと思う」と配置先にも配慮してくださるとともに、院内研修の講師や院内看護研究支援チームの立ち上げなど、専門看護師1年目から様々な仕事を与えてくださいました。また、院外からの講師依頼をいただいた時には「頑張っているね」と励ましの言葉とともに快く送り出してくださり、とても嬉しく思っています。

 

看護管理者からのメッセージ
本地 眞美子さん(副院長・看護部長)

専門看護師(以下CNS)への相談では、他施設の状況や関連論文等の情報を提供してもらうことができ、そこから導かれる論理的なアセスメントを学ぶ機会にもなっています。CNSは、看護師が一歩前に進むことを確実に支えてくれる存在です。また、本院が直面する課題を抽出して、成人移行期支援のプログラムを作ったり、緩和ケアチームの推進力となって組織横断的に活動しており、看護師のスーパーモデルになりつつあると感じています。CNSが医療チームの中で看護の専門職として実践し、その実践の評価から看護ケアの方法の開発や効果の検証を続けて、「看護の成果」を明らかにする役割を果たすことができるよう管理者として支援しなければならないと考えています。実践の場の提供と検証する時間の確保(学会等の参加も含めて)についてCNSとともにマネジメントしたいと思います。

(2019年4月5日掲載)

前へ戻る