和田 孝子さん

和田 孝子さん  感染症看護専門看護師 

看護部長と今後の活動について相談中
看護部長と今後の活動について相談中

所属施設

JA長野厚生連 富士見高原医療福祉センター富士見高原病院 感染管理部
長野県諏訪郡富士見町落合11100
病院病棟数:3病棟 許可病床数:161床
※富士見高原病院は、以下の施設を有する富士見高原医療福祉センターに
属します。(以下2019年1月31日現在)
・診療所5か所
・老人保健施設5か所
・特別養護老人ホーム3か所
・グループホーム1か所
・訪問看護ステーション3か所
富士見高原医療福祉センター看護師数:244(うち病院147)人
(専門看護師数:1人、認定看護師数:4人)

資格取得までの道

進学後も元の勤務先で非常勤職員として4ヶ月間勤務したが、勉学に集中するために退職。
大学院を修了後、新しい勤務先へ再就職。
2011年資格取得

活動報告

私は2011年3月に大学院を修了後、就学前とは異なる病院の感染対策担当者として就職し、同年12月に専門看護師の認定を受けました。出身や就学前の勤務先、そして大学院も全て神奈川県でしたが、信州に魅力を感じて長野県にⅠターンしました。

その後5年間、茅野市にある病院の感染対策担当者として活動していました。この間、高齢者介護施設や歯科医院など、地域の様々な施設や職種より相談を受ける機会がありました。病院の感染対策担当者であるにもかかわらず、病院外からの相談件数は年々増えていきました。しかし、病院外の活動には割ける時間に限界があり、所属施設以外に対するタイムリーな対応ができず、活動に困難を感じることが多くなりました。そのような中で、もっと地域からの求めに対応できるような活動を開始したいと考えるようになりました。そのため、後任者へ引継ぎを行い、退職してフリーランスとなりました。

2016年4月より事業所を開設するための準備を開始し、6月に個人事業主の届け出を行い、10月から本格的に始動することになりました。長野県と山梨県を活動範囲として、勉強会の自主開催、高齢者介護施設などにおける施設内研修の講師担当、ニューズレターの発行、電話や訪問による相談対応などを業務としていました。地域における活動のはじまりが高齢者介護施設の職員向けの勉強会の自主開催であり、参加者からの講師依頼や相談が続くことになったため、活動内容が徐々に高齢者へのケアに関連するものとなっていきました。地域に対する活動を行うとしても、何から何まで1人では対応できないことを学んだこともあり、高齢者介護施設や地域に暮らす高齢者へのケアに関連する感染対策、感染症看護を専門にしようと決めました。

いつも一緒に活動している感染対策チーム
いつも一緒に活動している感染対策チーム

そうしてフリーランスとして活動をしていたところ、感染管理認定看護師でもある現所属の看護部長より、富士見高原医療福祉センター(以下センター)内の高齢者介護施設(当時は7施設)の感染対策担当者として、週に何日か勤務することができないかと声をかけてもらいました。そこで非常勤職員の採用面接を受けたところ、病院幹部より「うちで今の活動を続けてみてはどうか」と言われ、その場で常勤職員として就職することが決まりました。そして2017年9月に諏訪郡富士見町にある現所属に就職しました。現在はセンターに所属する9施設の感染対策担当者としての業務と、フリーランス時代から継続する地域に対する両方の活動を所属施設からの支援を受けて行っています。結果として短い期間となりましたが、起業について学んだことは今の活動に活かされており、大切な財産となっています。

さて、本年度の活動の一部をご紹介します。2018年4月から2019年1月の施設内研修の講師担当はセンター内8施設6か所16回、センター外19か所21回でした。長野県、山梨県内における自主開催の勉強会は、春に同内容を5か所、冬に同内容を6か所で開催し、延べ参加人数は387名でした。富士見高原病院を中心とする近隣地域の高齢者介護施設のネットワークである医療福祉地域連携会議の中でも勉強会の講師を担当しました。相談対応のための施設訪問や、ニューズレターの発行も行っています。センター内施設の感染対策委員と協力して動画を撮影し、センター内外の研修に利用できたことが今年度一番嬉しかった活動でした。

組織に所属することで、経済的な安定や庶務に関する人的支援、言葉だけではない実経験や実証を得られることなど、活動のための強みを得ることができました。今は病院の感染対策チームへ相談が可能であり、強みを生かして活動の幅が広がってきています。

所属施設の上司から受けた支援

統括院長らと
統括院長らと

日頃より沢山の支援を受けて活動しています。長野県、山梨県内で自主開催している感染対策勉強会は、総務課、業務課などの院内各部署に協力してもらっています。また、センター内での活動は介護事業部と連携しながら進めています。統括院長はじめ病院幹部職員からそれら活動を認められ、感染管理部部長である感染対策チームリーダー医師、看護部長、事務長や介護事業本部事務局長、その他にも様々な人に支えられて活動ができています。センター内には、現在のような活動を可能としている沢山の上司や感染対策チームなどの仲間がいます。日頃の活動の中で困った時には、まず感染対策担当者としての先輩でもある看護部長に相談し、アドバイスをもらっています。

上司からのメッセージ
西村 妙子さん(富士見高原病院 看護部長)
当センターは、地域の医療と介護を担っており、病院機能の他に、9の介護施設を有しています。また、地域の介護施設とも連携し、地域包括ケアを推進しています。
介護の分野は、まだまだ適正な感染対策が実施できていない状態があります。
和田さんには、当センターの介護施設の感染管理だけでなく、地域の介護施設の感染管理の役割を担って頂いています。介護施設の感染対策の質の向上に向けた研修会の実施や介護施設からの相談などを精力的に活動されています。これまでの活動で、各施設の担当者とも顔がみえる関係となり、今後ますます連携強化が出来ていくと思います。
私自身も感染管理認定看護師ですので、今後、地域包括ケアシステムを充実せざる得ない環境の中では、地域の感染管理は重要と考えます。今後も、良き理解者として支援していきたいと思います。

(2019年3月18日掲載)

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