進学⽀援に取り組む看護管理者

看護部⻑/Kさん


施設の概要

一般病棟・回復期リハビリテーション病棟をもつ回復期・療養型120床の病院です。常勤、非常勤を合わせて、看護師は56名、准看護師は13名います。進学希望者を奨励する方針をもっています。

進学者について

現在、3名の准看護師が進学をしています。本人達の希望により2年課程(定時制)に進学しています。年代は、20代~40代後半と幅が広いです。

進学中の雇⽤や勤務形態について

当院では、できるだけ本人の意向に沿って進学後の雇用形態や勤務形態、配属場所の調整を行っています。3名のうち2名は、常勤として当院の病棟で勤務していましたが、進学に伴って、非常勤(病棟勤務)やアルバイト(定時で終業できる外来に異動)に雇用形態、勤務形態を変更して、上手に学業と仕事の両立を図っています。このほか、「実習期間中は実習に集中したい」との希望に対して、休職扱いに変更し、夏季休暇時には、外来や病棟で勤務できるような調整を行ったりしています。もう1名は、就職面接時に2年課程への進学が決まっていましたが、週に3回非常勤(病棟勤務・日勤のみ)として働いています。いまは、3名が定時制で学んでいますが、進学先の指定はなく全日制、通信制も選択先として自由に選んでもらっています。

進学⽀援の考え⽅・組織⾵⼟

進学の動機は、「SOAPで記録を書いたり、アセスメントできるようになりたい」、「進学中の同僚から刺激を受けて、自分も頑張ろうと思った」などそれぞれですが、やはり看護師資格をとり、今まで自信をもってできなかったことが、できるようになったり、自分の可能性を広げていきたいという探求心や向上心、意欲によるものと捉えています。人生には様々な事情や状況があります。タイミングは違っても、一人ひとりが看護職として成長していけるよう、できる限り組織で応援していきたいと考えています。進学の希望があると聞くと、「ぜひ、行っていらっしゃい」という気持ちで、進学できるように幹部会にかけています。また、当院には、看護職に限らず、色々な働き方の職員がいます。「夜勤や日勤の専従をやってくれて、ありがたい」という風土があるので、進学で勤務形態や雇用形態が変化することを受入れやすい土壌があると思います。

その他の進学⽀援の取組み

進学後も学習の進捗状況など、個々の状況に関心をもちながら、ベストな状態で学習が継続できるよう、支援を行っています。日頃は、所属部署の看護師長に任せていますが、私は看護部長として、半年に1度ぐらいのペースで個別の面談を行っています。短い時間ですが、体調や学校で困っている事などを聞き取り、特に臨地実習が始まった時は、理解度等を確認し、助言などを行っています。また、私自身の教員経験を活かし、看護師国家試験の対策の場を作っています。希望者が対象で、勤務日以外の日程を使って、1時間程度、問題の解き方の指導や時間配分の助言、必要に応じてメンタルサポートを行っています。
このほか、現在、学費の奨学金を検討中です。また、当院は回復期のリハビリテーション中心の病院のため、看護師資格取得後は、例えば急性期看護を経験したいなど本人が望む看護のキャリアがあれば、他の病院などで活躍してほしいと考えています。このため、看護師資格取得後の進路希望の確認も行っています。
また、進学して看護師資格を取得した場合には、給与や手当にしっかりと反映します。給与や手当は、新たな資格を取得して仕事を行うことへの対価ですし、資格を取得するためのモチベーションとなります。非常勤の職員から、「看護師になったけれど時給が変わっていない」などと相談されることがありますが、給与明細を確認して、看護師としての給与や手当が支払われるよう、すぐに病院の事務部門に確認をしています。

課題と今後の展望について

看護師資格を取得したあと、リーダー業務を行うなど、担える役割や責任の範囲が広がり生き生きと働いている姿をみると、とてもうれしい気持ちがします。自身の体調管理をしながら、仕事と学業、家庭のバランスをとるのは大変なことだと思います。これらの両立にどのような支援ができるのか、引き続き病院として検討を続けています。また、国家試験は臨地実習で体験していないと解けない問題があるため、勤務中に国家試験の問題にでてくるような実践の機会をどのように提供できるかということも考えています。