協会ニュース2023年10月号

新たな災害支援ナースの活動に向け、国から活動要領などが発出

2024年4月1日より、改正医療法に基づき「災害・感染症医療業務従事者」としての登録、派遣が始まる。従来の災害支援ナースは自然災害時のみの派遣であったが、新たな災害支援ナースは自然災害時のみならず、新興感染症発生・まん延時にも派遣される。それに先立ち、8月31日、国から災害支援ナース活動要領(案)、災害支援ナースの協定ひな形およびその解説書が示された。

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災害支援ナース活動要領(案)

改正医療法の下、都道府県と災害支援ナースの所属施設との協定により、大規模自然災害の発生時や新興感染症の発生・まん延時(以下、災害等発生時)に災害支援ナースが派遣される。災害支援ナース活動要領(案)では、被災地などのニーズに応じて柔軟に、災害支援ナースの活動を実践するための体制および対応方法が定められた。なお、現在は活動要領(案)となっているが、改正医療法が施行される2024年4月には正式な活動要領として発出される予定である。

災害支援ナースの協定ひな形・解説書

災害支援ナースの派遣は、都道府県知事と医療機関の管理者が協定を締結することにより行われる(改正医療法第30条の12の6)。協定の目的は「災害発生時に、災害・感染症医療確保事業を実施するための必要な研修の過程を修了した看護職員が速やかに出動し、看護活動を行うことにより、地域の医療提供体制を支援し、人々の生命や健康を守ること」とされており、そのひな形は16条で構成されている。

なお、医療法に基づく協定は医療機関(病院、診療所)を対象としているが、都道府県が地域の実情に応じて、訪問看護事業所、助産所などと協定を締結することも可能である。  

災害支援ナースについて

災害支援ナースとは、被災地などに派遣され、地域住民の健康維持・確保に必要な看護活動を提供するとともに、看護職員の心身の負担を軽減し支えることを行う看護職員のことであり、厚生労働省医政局が実施する災害支援ナース養成研修を修了し、厚生労働省医政局に登録された者の総称とされている。

災害支援ナースの派遣

派遣の基本的な考え方として、災害支援ナースはまずは被災地等が属する都道府県内で活動すること(都道府県内派遣)が基本となる。ただし、災害等発生時において都道府県を超えた協力が必要な場合には、他の都道府県において活動する(都道府県外派遣)。活動要領(案)では、都道府県内派遣と都道府県外派遣の派遣手順についても示されている。

災害支援ナースの活動

災害支援ナースは、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)を遵守した看護支援活動を行うが、大規模自然災害発生時と、新興感染症発生・まん延時では状況が異なる。そのため、大規模自然災害時と新興感染症発生・まん延時の対応にわけて、派遣時期、活動場所を示している。

災害支援ナースに係る費用

災害支援ナースの活動に要した費用については、都道府県と所属施設との協定に基づき、災害支援ナースの派遣を要請した都道府県が支弁する。

災害支援ナースの派遣形態

災害支援ナースは、所属する医療機関との雇用関係を維持したまま、災害等発生時に都道府県から災害支援ナースの派遣要請を受けて所属医療機関が派遣を行う。また、所属する施設のない災害支援ナースについても地域の実情に応じて、都道府県が災害支援ナースを直接雇用する、あるいは都道府県看護協会が災害支援ナースを雇用した上で、都道府県と都道府県看護協会が協定を締結し、派遣を行うことができるとされている。

災害支援ナース養成研修などについて

災害支援ナースを確保するために、現在、都道府県協会において、2023年度災害支援ナース養成研修の集合研修が開催されている。また、本会では災害支援ナース研修企画・指導者研修についても実施する予定である。

今後、より多くの看護職が災害支援ナース養成研修を修了し、災害支援ナースとして登録されることが期待されている。引き続き、災害等発生時の地域の医療提供体制の整備に向け、多くの看護職に災害支援ナースとして登録いただけるようご理解とご協力をお願いしたい。