教育計画
日本看護協会では、毎年教育計画を定め、看護の質保証を目的とした看護職のキャリアに応じた継続教育を実施しています。
活動の場の広がりによる研修受講機会の多様化へのニーズや、コロナ禍の影響等で受講の機会が限られる中で、継続的な研修機会の保障にむけ研修受講スタイルの変更等に重点的に取組みます。
さまざまな場で活動する看護職の看護実践の充実や、能力の開発・維持・向上に多くの研修が活用されることを期待しています。
基本方針
看護の将来ビジョン(一部抜粋)
2.看護の将来ビジョン
2.2025年に向けての看護ビジョン
(1)いのち・暮らし・尊厳を まもり支える看護
■地域包括ケアシステムは、療養する高齢者だけでなく、子どもを産み育てる人々、子どもたち、障がいのある人々などを含む全ての人々の生活を地域で支えるものである、と日本看護協会は考える。
■その中で、看護は、常に予防的視点に立ち、どのような健康状態にあってもその人らしく暮らすことを支援していく。医療・介護ニーズが増大し、病床機能の分化、在宅医療が推進される中、限られた人材で医療を提供することになる状況において、看護はそれぞれの場において、適切な保健・医療・福祉が提供されるとともに、「生活の質」が高まるように機能する。医師など多職種と連携して医療を提供するとともに、その人の暮らしの中で、より自立した生活に向けて、健康状態に合わせ必要な保健・医療・福祉をつなぐ。看護は、人々のいのちと暮らしをまもり、最期まで尊厳が保持された誇りある人生を支えていく。
(2)人々の生涯にわたり、生活と保健・医療・福祉をつなぐ看護
人々の誕生から人生を全うするまで、あらゆる場において、看護は機能する。
3.ビジョン達成に向けた日本看護協会の活動の方向性
2.「生活」と保健・医療・福祉をつなぐ質の高い看護の普及
(2)質の高い看護人材を育成する教育・研修・資格・認証制度の構築
■看護職がさまざまな場でいのち・暮らし・尊厳をまもり支える専門職としての役割を発揮していくためには、それに見合う専門的な能力を確保することと、専門職としての自律が不可欠である。専門能力は看護の基礎教育においてその基盤となる能力が培われるものであり、また、その後も、常に研鑽が求められる。(21ページ)
詳しくはこちらをご確認ください。
2025年に向けた看護の挑戦 看護の将来ビジョン
基本方針
公益社団法人日本看護協会(以下、本会という)は、看護の質の向上、安心して働き続けられる環境づくりの推進、人々のニーズに応える看護領域の開発・発展を図ることにより、人々の健康で幸福な生活の実現に貢献することを使命としている。この目的に向け、定款第4条の7事業の一番目に「教育等看護の質の向上に関する事業」を挙げている。
2015年に本会が策定した「看護の将来ビジョン」においては、そのビジョンを達成するための活動の一つとして、質の高い看護人材を育成する教育・研修・資格・認証制度の構築がある。また、専門職としての役割については、それに見合う専門的な能力を確保することと専門職としての自律が不可欠であり、常に研鑽が求められる。本会は「看護の将来ビジョン」達成に向けて、看護の質保証を目的とした看護職のキャリアに応じた継続教育を、「継続教育の基準ver.2」を基盤とし、都道府県看護協会と常に連携・協働して実施する。
上記を実現する具体的な戦略としては、
①「生活」と保健・医療・福祉をつなぐ質の高い看護の普及に向けた継続教育 ②ラダーと連動した継続教育 ③看護管理者が地域包括ケアシステムを推進するための力量形成に向けた継続教育 ④専門能力開発を支援する教育体制の充実に向けた継続教育、さらに⑤資格認定教育、を主として研修を構成し、専門職業人である看護職のキャリア開発を支援する。
重点事項
2023年度教育計画の重点事項
1.人々の生涯にわたり、「生活」と保健・医療・福祉をつなぐ看護の提供
(1)ケアの受け手に質の高い看護を必要なときに切れ目なく提供するために、看看連携を推進し、多職種の中で役割を果たすことを目指す研修
(2)看護管理者が地域完結型の医療ケアの提供を目指して、より安全で質の高い看護の底上げを目指す研修
(3)複数の健康問題を抱えるケアの受け手を対象とした看護実践の充実を図る研修
2.新型コロナウイルス感染症拡大下における看護職への学習機会の保証
2023年度教育計画(PDF版)
研修分類
継続教育における教育研修の位置づけを、これからの社会における看護の役割発揮を支援するための5つの分類として、提示しています。
分 類 | 内 容 |
---|---|
分類1. 「生活」と保健・医療・福祉をつなぐ質の高い看護の普及に向けた継続教育 |
1.新たな社会ニーズに対応する能力支援のための研修 2.政策提言に向けた研修 3.診療報酬に関連した研修 |
分類2. ラダーと連動した継続教育 |
1.「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」(JNAラダー)*1 2.「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)」(以下、CLoCMiP)*2 |
分類3. 看護管理者が地域包括ケアシステムを推進するための力量形成に向けた継続教育 |
1.看護管理者を対象とした研修 2.認定看護管理者を対象とした研修 3.これから看護管理を担う人々を対象とした研修 |
分類4. 専門能力開発を支援する教育体制の充実に向けた継続教育 |
1.施設内教育におけるJNAラダー活用のための研修 2.都道府県看護協会の教育担当者・教育委員対象研修 |
分類5. 資格認定教育 |
1.認定看護管理者教育課程 2.認定看護師教育課程 |
保健師・准看護師対象研修は研修分類1に含む
*1 JNAラダーの段階設定
あらゆる場の全ての看護師に共通する看護実践能力について、<ニーズをとらえる力><ケアする力><協働する力><意思決定を支える力>の4つの力で構成されています。
「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」(JNAラダー)に基づく研修においては、この指標を用いて、それぞれの看護師が自らの習熟段階と対比させ、自身が学ぶべき学習内容を含んだ研修を選択できるよう提示しています。
JNAラダーでは、各レベルの到達目標(レベル毎の定義)が達成された段階で、そのレベルに到達したと考えます。
そのため、レベルⅠの到達目標が達成されるまでの看護師はレベルⅠの前段階、レベルⅠの到達目標を全て達成した看護師を「レベルⅠの看護師(レベルⅡ到達を目指す看護師)」と考えます。
レベル | レベル毎の定義 |
---|---|
Ⅰ | 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する |
Ⅱ | 標準的な看護計画に基づき自立して看護を実践する |
Ⅲ | ケアの受け手に合う個別的な看護を実践する |
Ⅳ | 幅広い視野で予測的判断をもち看護を実践する |
Ⅴ | より複雑な状況において、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択しQOLを高めるための看護を実践する |
*2 助産実践能力習熟段階(CLoCMiP®)の段階設定
助産師のコア・コンピテンシーを主軸に、<倫理的感能力><マタニティケア能力><専門的自律能力><ウィメンズヘルスケア能力>の4つで構成されています。日本看護協会教育計画における助産実践能力習熟段階(CLoCMiP®)に基づく研修は、2022年以降アドバンス助産師[新規][更新]申請要件の「必須研修」や[更新]申請要件の「選択研修」に該当する研修を提示しています。
レベル | 到達目標 |
---|---|
新人 |
1.指示・手順・ガイドに従い、安全確実に助産ケアができる |
Ⅰ |
1.健康生活支援の援助のための知識・技術・態度を身につけ、安全確実に助産ケアができる 2.院内助産・助産師外来について、その業務内容を理解できる 3.ハイリスク事例についての病態と対処が理解できる |
Ⅱ |
1.助産過程を踏まえ個別的なケアができる 2.支援を受けながら、助産師外来においてケアができる 3.先輩助産師とともに、院内助産においてケアがきる 4.ローリスク/ハイリスクの判別および初期介入ができる |
Ⅲ |
1.入院期間を通して、責任をもって妊産褥婦・新生児の助産ケアができる 2.助産師外来において、個別性を考慮し、自律したケアができる 3.助産師外来において、指導的な役割ができる 4.院内助産において、自律してケアができる 5.ハイリスクへの移行を早期に発見し対処できる |
Ⅳ |
1.創造的な助産ケアができる 2.助産師外来において、指導的な役割ができる 3.院内助産において、指導的な役割ができる 4.ローリスク/ハイリスク事例において、スタッフに対して教育的なかかわりができる |