時間外労働時間減少への取り組み 〜DiNQLを活用して〜(国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院)

病院概要

【所在地】神奈川県
【病床数】740床
【DiNQL参加開始年】2013年
【参加病棟数】22病棟(全22病棟)

参加した動機・きっかけ

当院は2013年からDiNQL事業に参加しています。看護の質評価や目標に対する評価の方法を看護部で検討していたときにDiNQLの試行事業を知り、データを扱うことへの不安やデータ収集・入力作業の負担に対する懸念はありましたが、新たな挑戦として参加することを決めました。

運用・活用について

可視化・言語化したデータ共有する会議の様子
【可視化・言語化したデータを会議等で共有】

当院の外科病棟は48床(急性期一般入院基本料1)、消化器外科、形成外科の混合病棟であり、年間1,000件以上の手術件数実績に加え、緊急入院、緊急手術、ICUからの転入も多くあります。DiNQLデータでは、2016年度、緊急入院は394件、手術件数は1,499件、75歳以上の患者割合は44.1%で、時間外労働時間は月平均16.3時間でした。そこで、DiNQLの評価指標の数値を目標管理に活用し、時間外労働時間の減少に取り組みました。

DiNQLの評価指標で、主に「75歳以上の患者割合」「手術件数の割合」「緊急入院件数の割合」「看護職員の時間外労働 時間」について、同規模病院のベンチマーク結果と比較しました。

また、職場満足度調査の結果も分析し、部署の強みを生かしつつ、忙しい中にもやりがいを感じることで、業務負担の軽減や時間外労働時間の減少につながるのではないかと考え、看護提供方法を看護師2人1組で業務調整やケアの協力、相談、実践を行う方法に変更しました。

併せて、DiNQLで看護のデータを可視化、言語化し、病棟管理者とスタッフが共有することで、同じ方向を目指して前向きに取り組めるようにしました。DiNQLを活用することで日々の看護実践が可視化され、部署の傾向や強み・弱みが共有しやすくなり、課題を明確にできました。同時に、「自分たちで働く環境を変えよう」という動機づけとなり、効果的な業務改善につながりました。

取り組みの効果

時間外労働時間の推移グラフ
【時間外労働時間の推移】

2018年度は、緊急入院や手術件数に著明な変動がないにもかかわらず、時間外労働時間は2016年度から5.3時間減少し、月平均11時間となりまし。また、職場満足度調査の結果では、「連携」「コミュニケーション」「モチベーション」の項目が上昇し、職場満足度も高まりました。

今後に向けて

今もデータ収集や入力作業は大変で、分析まで至らず、出てきた数字の変化だけにとらわれてしまうことがあります。今後は、数字だけでは表現できない、データの裏にある意味を管理者だけでなく病棟スタッフ全員で考えていきたいです。また、スタッフが褥瘡対策や医療安全等に取り組んだ成果に対し、DiNQLデータを活用した前向きなフィードバックを行い、スタッフのやりがいにつなげたいと考えています。

(2020年3月26日掲載)

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