DiNQL利活用の推進に向けたDiNQL活用推進員会の設置と取り組み内容(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター)

病院概要

【所在地】大阪府大阪市
【病床数】474床
【DiNQL参加開始年】2015年度
【参加病棟数】14病棟

参加した動機・きっかけ

看護部長は看護の質向上に向けてデータを活用できるようになってほしいと考えていましたが、データ活用に苦手意識のある看護師長が多い状況でした。そこで、看護実践を可視化し、データに基づく現状分析や課題発見のためのツールとして活用できるDiNQL事業に参加しました。また、病棟の看護師にとっては、看護実践が可視化されることで、モチベーションの向上につながることも期待しました。

運用・活用について

データ入力に要する時間や入力されたデータの精度、データの利活用に課題を感じており、DiNQLを十分に活用できていない状況でした。そこで、入力時間の削減、入力データの精度向上、看護師長のデータ活用能力の向上を目的に、看護部内に「DiNQL活用推進委員会」を立ち上げました。メンバー構成は副看護部長2名、看護師長5名でした。

データ入力の負担軽減やデータ精度の向上に向けた取り組み

委員会では、データ入力に係る課題を整理し、データ入力を簡単にできるエクセルシートの作成や、医事課等の他部署と協働し院内システムの構築を行いました。他部署に協力を依頼する際は、委員が他部署に出向き、看護をデータで可視化することの必要性や、データ収集に協力してほしい理由等を丁寧に説明しました。そして、正確なデータを収集できるよう、他部署とDiNQL項目の定義を共有し、どこからデータを収集できるか何度も話し合い、他部署と協働する形でデータ収集・入力体制を整備しました。

データ精度の向上にむけては、入力データを精査する機会を年2回設けました。これにより、入力間違いのあったデータが転記ミスなのか、あるいは項目定義の理解が間違っているのか等を把握しました。

データ利活用の促進に向けた取り組み

データ利活用の促進に向けて、以下の取り組みを行いました。

  • 操作手順を解説した説明冊子を作成し、操作説明会を実施。
  • DiNQLを含めた院内データの活用に向けた勉強会の開催(簡単なエクセル操作等)。
  • DiNQLや電子カルテ内のデータ等を活用した現状分析の方法を紹介するために、「データを活用した自部署の現状分析」のサンプルを提示。
  • 各部署が気軽に相談できる、よろづ相談会の開催。

そして、これまでは、主に委員会メンバーがデータ利活用に係る取組みについて発表・報告していましたが、全看護師長が参加する「データを活用した自部署の現状分析」の報告会に発展させました。本報告会では看護師長、副看護師長・主任はもとより、病院長や事務局長等の多職種も参加しました。各部署の看護師長は、DiNQLや電子カルテ内のデータ等を活用し、自部署の現状分析を行い、強みと課題の抽出や改善活動につなげた事例を発表しました。

「データを活用した自部署の現状分析」の報告会の発表者画像 「データを活用した自部署の現状分析」の報告会の様子

「データを活用した自部署の現状分析」の報告会の様子

取り組みの効果

データ入力の負担軽減とデータ精度の向上

以前は、看護師長がデータ収集・入力を行うのは28項目でしたが、データ入力のツールや院内システムの活用により19項目まで減らし、入力の負担軽減を図ることができました。

多職種の協力と委員会の取り組みにより、正確な情報を簡便に収集・入力する仕組みを作ることができました。また、委員会が入力されたデータ精度を確認することで、入力した担当者がDiNQL項目の定義を正しく理解しているかを把握し、定義の共通理解を促すことにつながりました。

看護師長のデータ活用能力の向上

DiNQL事業を通して、看護師長たちは自部署の課題改善に必要なデータを取捨選択し、データを看護管理に活かすことができるようになりました。そして、データを示すだけではなく、自部署が目指すものを、データを用いて説明できる看護管理が根付きました。

データを活用した自部署の現状分析に関する報告会では、参加した病棟のスタッフ等から、「師長がどのように考えて目標管理を立てているかわかった」「可視化の必要性を感じた」「自部署だけでなく、他部署の状況も理解できた」との声があり、データに基づく看護管理への理解が深まったと感じています。

今後に向けて

ベンチマーク評価の活用と可視化に繋げ、データ活用に向けて更なる推進を行っていきます。

看護師長にはデータに基づく看護管理が浸透してきたので、次は副看護師長がデータを活用できるよう、次世代の育成に取り組みたいと考えています。

(2023年4月20日掲載)

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