常任理事のマンスリー通信

    機関誌「看護」2024年4月号より

    常任理事 吉川久美子

    常任理事 吉川久美子

    「日本看護サミット2023」を機に「生涯学習支援」の取り組みの具体化へ

    2月14日に開催した「日本看護サミット2023」は、2,000名を超える皆さまにご参加いただき、無事終了いたしました。「地域社会を支える看護職への生涯学習支援」をテーマに開催し、午前の解説・鼎談に引き続き、午後のリレートークでは、医療機関・施設、教育機関や県看護協会の取り組みの発表、そして課題や現状についての意見や質問をいただきました。参加者からは、「取り組まなければならないことの具体がわかった」「今後の取り組みの参考になった」等の声を聞きました。少子高齢化・人口減少社会を迎え、看護職への期待は大きいと言われていますが、看護職になる人を確保していくことは非常に難しくなります。県内の看護系大学や看護学校に在籍する学生に、地元で看護職として就職し活躍してもらうためには、地域の関係者が一丸となって、協同して看護職の育成に取り組む必要があります。本サミットで「一歩を踏み出す勇気」を得たと思いました。

    常任理事 井本寛子

    常任理事 井本寛子

    「出産費用の見える化」ウェブサイトの運用が始まります

    いよいよ4月から「出産費用の見える化」ウェブサイトがオープンします。これは、出産に関する課題として、出産費用が年々増加していることや、医療機関において必ずしも事前に出産費用が明示されておらず、費用やサービスによる選択が難しくなっていることが指摘されていることを受けて国で検討されてきたものです。公表項目等の詳細については、出産費用の分析等を行う調査研究の研究班が素案を作成し、医療保険部会に報告され、公表に向けて調整が進められてきました。産科を標榜される皆さまの施設にも、秋ごろから年末にかけて情報提供の依頼があったことと思います。ウェブサイトでは、①分娩施設の概要、②助産ケア、③付帯サービス、④分娩に要する費用等の公表方法、⑤直接支払制度の請求書データからの費用等を閲覧することができます。今後は、見える化の評価等についても議論が進められる予定です。一度はウェブサイトにアクセスいただき、今後の動向の注視もお願いします。

    常任理事 森内みね子

    常任理事 森内みね子

    看護業務効率化取り組みガイドを活用し、看護業務効率化に取り組みましょう

    日本看護協会では、2019年度から2023年度までの5年間にわたり、厚生労働省補助事業「看護業務効率化先進事例収集・周知事業」を実施してまいりました。「看護業務の効率化先進事例アワード」では、5年間で276件の応募があり、好事例として計48事例を表彰しました。受賞事例の取り組み内容は多岐にわたり、看護業務効率化によって生み出された労働力や時間を活用し、看護ケアの充実や労働環境の改善といった多くの成果を得ることができていました。本事業は2023年度が最終年度となりましたが、今後も人材が限られる中で、求められる看護の役割を発揮し、看護の対象者1人ひとりに質の高いケアを提供するためには、看護業務効率化は不可欠です。本会では、本事業で得られた成果や知見を踏まえ、「看護業務効率化取り組みガイド」を作成中です。ガイドを活用していただき、それぞれの現場の課題に応じた看護業務の効率化を、さらに進めていただきたいと考えております。

    常任理事 木澤晃代

    常任理事 木澤晃代

    令和6年度診療報酬改定、「賃上げ」のための評価料が新設

    政府は2024年の最優先課題に賃上げを位置づけ、「物価上昇を上回る構造的賃上げ」の実現をめざしています。賃上げ税制の拡充や所得税等の定額減税など、さまざまな政策が進められる予定です。医療関係者も例外ではなく、今回の診療報酬改定では、「賃上げに向けた評価」(ベースアップ評価料)が新設されました。これは医療機関等の過去の実績をベースにしつつ、さらに今般の報酬改定による上乗せ点数、つまり、プラス0.61%の加算措置の活用と賃上げ促進税制の活用を組み合わせることによって、令和6年度にプラス2.5%、令和7年度にプラス2.0%のベースアップをめざします。また、賃上げに係る計画書の作成と、賃上げ実施状況についての定期的な報告が求められるため、確実な処遇改善が必要です。本会では、この件に関する説明動画および説明資料を作成しました。※ ぜひご確認いただき、看護職員や看護補助者の賃上げに向けたご準備・ご対応をお早めにお願いします。

    令和6年度診療報酬改定賃上げについて

    常任理事 田母神裕美

    常任理事 田母神裕美

    令和6年度介護報酬改定に込められた看護への期待

    1月22日に開催された介護給付費分科会において、令和6年度介護報酬改定案が了承されました。改定案では、「地域包括ケアシステムの深化・推進」「自立支援・重度化防止に向けた対応」をはじめとした4つの基本的な視点をもとに、改定事項がまとめられました。改定内容はパブリックコメントを経て、例年3月に告示されます。改定案には看護に関する事項が多くありますが、看多機については、地域包括ケアシステムの担い手として、より地域に開かれた拠点となる方向性に基づき「総合マネジメント体制強化加算」の評価の見直しが行われます。また、訪問看護、看多機ともに、専門性の高い看護師の計画的な管理の評価、ターミナルケア加算の増点が示されました。このほか、いずれの改定内容も、今後の社会を見すえ、利用者の在宅療養支援の要となり、さらに、地域を丸ごと支える看護職へのメッセージが込められていると考えます。現場の看護職の皆さまの取り組みが確実に評価につながっています。

    常任理事 中野夕香里

    常任理事 中野夕香里

    年度の切り替わりに成果をまとめ、次につなげる努力を

    年が明けてから時間の過ぎる速さを痛感しています。時間の感じ方の違いには、さまざまな要因があると言われていますが、その1つが「年齢」です。「ジャネーの法則」をご存じでしょうか。これによると、「生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢に反比例する」らしいのです。50歳の人にとっての10年間は、5歳の人にとっての1年間、5歳の人にとっての1日は、50歳の人にとっての10日……と例示されていました。少し複雑な気持ちになりましたが、年度の切り替わりの大切な時期、流れる時間の速さに負けず、成果をまとめ、次につなげる努力をしたいと思います。経年的に取り組んできた自治体保健師確保、地域における重症化予防の取り組みについては、これまでの取りまとめをし、次のステップに進む段階を迎えています。2024年度の早い時期に皆さまにお届けできると思います。余談ですが、ジャネーが提唱した法則は、その甥により世に出されたそうです。よい話です。

    よりよいウェブサイトにするために
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