日本看護協会会長 久常節子
2010 年度は、会長として任期の 最終年度となります。看護の質の向 上と、安心して働き続けられる環境 づくり、そして看護領域の開発・展 開を使命として、国民の皆さまのさ まざまなニーズに応えるため、看護 職の力を結集し、活動してまいりま す。
看護職の定着には、基礎教育の充 実はもとより、現在働いている看護 職が働き続けられるよう、労働環境・ 労働条件を改善することが実効ある 対策と考えます。2010 年度は、ワー クショップによるワーク・ライフ・ バランスの普及、時間外労働対策、 健康的なシフトワークの検討など、 現場の改善の提案を図りたいと考え ています。 看護職の給与は、年齢が上がると 他職種より低い水準になることな ど、構造的な問題点が指摘されてい ます。さらに専門看護師・認定看護師などに対する手当も十分ではな く、適正な能力評価がされていると は言い難い現状です。看護職の給与 の問題についても改善できるように 取り組んでまいります。
法改正を踏まえ、日本看護協会で は看護師教育の大学化に向け、さま ざまな意見を集約し、総合大学へ の看護学部設置を推進します。助産 師教育は一部、大学院教育が開始さ れましたが、保健師の大学院はまだ ありません。まず、各県の県立大学 に1 カ所の大学院を設置することを 目標に取り組みを進めたいと思いま す。
努力義務化された看護職の卒後臨 床研修制度については、政府は「新 人看護職員卒後研修事業」に16 億 8,000 万円を計上しています。現場 では、研修責任者や実地指導者など を配置し、効果的な研修が行われる ように、早急に研修体制の整備をしていただきたいと思います。
チーム医療の推進に向け、看護師 の役割の拡大が期待されています。 本会としても慎重に検討を重ねた 結果、安全性を担保するための法制 化を前提に、専門教育を受けた特定 の看護師が一定の医療行為を行える ようにすることが不可欠であると考 え、看護師の裁量拡大に向け、取り 組んでまいります。助産師・保健師 の役割の拡大についても関係団体と 協議をし、検討を進めます。
2010 年度の診療報酬改定では、 一部の専門性の高い看護職の配置が 評価されました。7 対1 や10 対1 の急性期病院では、看護職が本来の業務に従事できるように「急性期看 護補助者加算」が、訪問看護では「複 数名訪問看護加算」や「乳幼児加算」 などが新設されました。
2012 年は6 年に1 度の診療報酬・ 介護報酬の同時改定の時期にあた ります。「看護配置5 対1」の実現、 専門性の高い看護師の配置体制、専 門技術の適正な評価などをしっかり と制度化していきたいと思います。
訪問看護は、急性期から在宅へ、 切れ目のないサービスの提供が求め られます。訪問看護の新たな仕組み づくりや、経営基盤強化、退院調整 看護師の有効な活用に取り組みたい と考えています。