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2018年

9月号

日本看護協会 国際部

「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」「持続可能な開発目標」達成に向けて
WHO・ICN・ICMの三者会議

2018年5月16、18、19日に第7回三者会議がスイス・ジュネーブで開催された。本会議は、世界保健機関(WHO)、国際看護師協会(ICN)および国際助産師連盟(ICM)の三者が主催し、2年毎に開催される。参加者は、政府の主任看護/助産行政官、看護協会、規制担当者であり、本会代表者も会議に参加した

今年は、世界的な目標であるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、情報提供や経験の共有が行われ、三者声明を採択した。

UHCとSDGsに焦点が当てられた背景には、看護・助産が長年にわたり直面している課題の解決に大変な好機との考えがある。

  • SDGsは世界的な政策として、2015年に国連で決議された。各国政府が企業や社会も巻き込んで、「全員参加型」で達成をめざす目標である。つまり、保健医療分野の限られた人たちだけで共有する目標ではない。
  • UHCは「すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できる状態」とWHOは定義する。SDGs以前よりUHCは推進されてきた。SDGsの保健分野の目標「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」にUHC達成も包含されている。
  • UHC達成には、保健医療従事者の半数を占める看護師・助産師が欠かすことができない。

つまり、保健医療分野の関係者だけでなく、政府や社会の関心が集まる世界的な政策に、看護師・助産師の果たすことのできる役割を反映することで、各国の保健政策に影響を及ぼすことができる。その結果、看護師・助産師の強化・支援につながるのである。さらに、世界の保健医療従事者の7割が女性である。看護師や助産師の強化は、ジェンダーや賃金、格差等の課題解決にも影響を及ぼし、保健分野以外のSDGsの目標達成にも貢献する。看護と助産は、UHCや経済成長に対する投資となることが会議を通して強調された。

会議では、以下のようなSDGsやUHC達成に向けた、課題や強化が必要な事項も共有され、今後各国・地域において取り組むことが期待されている。

  • SDGs達成期限である2030年までに保健分野の目標を達成するには900万人の看護師・助産師が不足すると推計されている。
  • 保健人材の世界的な不足がある中、UHCやSDGs等の取り組みを推進するには、看護・助産の正確なデータが欠かせない。世界では「データがない」「データの関連性がない」「標準化されたツールがない」「共通の定義がない」等の課題があり、データの強化が必要である。
  • 看護・助産リーダーがUHCの取り組みに関与し、影響を及ぼすことができるリーダーシップ能力の構築が必要。
  • 看護・助産労働人口において、若者やジェンダーへの配慮が必要である。経験年数2〜3年の若い世代を労働力にとどめるには、若い世代の声を聞く必要がある。また、ジェンダー格差をなくす上で、男性、女性および第3の性(男性にも女性にも分類されない性)が期待することを明確にする必要がある。
  • 看護師・助産師が教育を受けた内容すべてを現場において実践できない現状がある。看護・助産教育における変革的戦略が必要である。助産師と看護師が教育内容と実践範囲をすべて実践することを支援する規制枠組みが必要である。

三者会議において採択された三者声明和訳は、本会公式ウェブサイト1)に掲載している。

引用・参考文献