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2017年

2月号

日本看護協会国際部

第13回アジア看護師協会同盟(AANA)会議

第13回アジア看護師協会同盟(AANA)会議が2016年11月17日(木)に中国・北京市で開催された。本会からは、坂本すが会長と勝又浜子常任理事が代表者として参加した。AANAは、アジアの国/ 地域間の緊密なネットワーク維持、および専門職開発と健康に関する知識の共有を目的に2003年に設立された。12の看護師協会(インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国、日本、フィリピン、香港、マカオ、マレーシア、モンゴル)がメンバーである。
今回は、「看護師の健康とウェルビーイング」をテーマに、10協会が参加した。参加者の報告では、各国/ 地域の課題は類似することが明らかになった。看護師の5〜8割程度が腰痛を経験していること、仕事のストレスや仕事量の多さ、ワーク・ライフ・バランスの不調和等がメンタル不調の要因となっていること、職場では身体的暴力よりも非身体的暴力が多い傾向にあること等である。
各国協会・政府の主な取り組みとして、以下の内容が報告された。

韓国:
看護師の健康促進、労働条件改善へのエビデンス提供を目的に研究を行っている。第1調査で「交代制勤務の看護師は、1.519倍の確率で重度の抑うつ症状を経験する」ことが明らかになった。
シンガポール:
看護師のメンタルヘルス課題に組織的に取り組んでいる。各病院によるカウンセリングや、リラクゼーション活動、協会によるサポート基盤、保健省による研修への資金提供等がある。
タイ:
「健康な職場、健康な看護師、より健康な人々」をスローガンに労働環境改善キャンペーンを実施。
台湾:
針刺し事故を減らすため、医療法を改定し、2017年までに安全機能付き注射針を全職場に導入することが義務化された。
中国:政府は看護師の価値を反映させるため、看護サービス料金の値上げを決定した。
香港:キャリア開発機会が不十分である課題に対し、看護師のキャリアモデル開発を進めている。
マカオ:
看護師が患者家族からソーシャルメディアで嫌がらせを受けたため、協会が市民へのメディアキャンペーンを行った。
マレーシア:
看護師は第一選択の職業ではなく、また、看護師が給与の高い海外に流出している。看護師のキャリア価値復活に向けて、協会と保健省が協働している。

本会(日本)の取り組みについては、勝又常任理事が「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」作成・普及活動、労働安全衛生の最新情報の提供や、2016年から着手している看護職の労働安全衛生の指針の改訂について紹介した。
さらに、インドネシアは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)*達成により、保健医療施設の混雑や医療職に過重な労働量等が生じ、看護師のメンタルヘルスに影響を及ぼす要因となっていることを報告。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」はUHC 達成を目標に掲げるが、誰もが保健医療へのアクセスを持つことと同時に、看護師の人員確保等の体制整備の重要性を感じさせる報告であった。
来年は、継続教育をテーマに台湾で開催する。

  • すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できる状態(世界保健機関の定義)

日本看護協会常任理事 福井トシ子

助産に関する最新の国際的な動き
  • 「Together We Canキャンペーン」について

    2016年11月24日付けでICM(国際助産師連盟)、ICN(国際看護師協会)、FIGO(国際産婦人科連合)、IPA(国際小児科学会)は、妊産婦・新生児・子どもの死亡に関する報告書を発表し、「Together We Can キャンペーン」を開始した。
    同キャンペーンの目的は“より安全な妊娠、よりよい出産、より健康な子ども時代”を奨励し、母子のケアをする専門家を確実に保健政策決定の中心とすること、また、世界の妊産婦・新生児・子どもの命を救う、最も重要な介入についての意識を高め奨励することである。デイ- スタークICM 会長は「妊産婦死亡に関する世界のデータは、予防可能な妊産婦・新生児死亡の多くが低・中所得国で起きていると示しており、これらを回避するために、支援体制を持つより有能な保健医療専門職が必要とされる。変化を起こすために我々は協働する」と述べた。
    同報告書では以下の内容を紹介している。

    • 20カ国※1が、世界全体の77% の妊産婦死亡数と、74% の新生児・子どもの死亡数を占めている。死亡の主な原因は、ほとんどが予防可能である。
    • 母子の死亡の主な原因トップ9は、①大量出血、②高血圧、③妊産婦の敗血症、④早産、⑤窒息、⑥小児敗血症、⑦小児肺炎、⑧下痢、⑨マラリア。
    • 効果的な介入方法はあるが、これら20カ国での全般的なカバーは非常に不安定で、子どもの重篤な疾患管理と同様に、出産時や出産後の時期の介入が手薄である。
    • 根拠のある効果的なケアパッケージを行うことにより、2035年までに死亡数を半分に減らすことが可能である(妊産婦死亡の42%、新生児死亡の49%、子どもの死亡の54% を減らす)。

    【介入例】ロタウィルスや小児髄膜炎のワクチン、分娩第3期の積極的管理、カンガルーケア(「新生児死亡率の介入別影響」のリストによると、早産による死亡の17% をカンガルーケアによって減らす)。保健医療職がほとんどのプロセスに介入することにより、最大のインパクトを与えることができる。
    詳細はhttp://www.togetherwecan.world/resources/を参照。外部リンク

  • 「2017年国際助産師の日24時間インターネット配信講演会“The Virtual International Dayof the Midwife 2017”」について

    「国際助産師の日」恒例の24時間インターネット配信講演会は、今年で9回目を迎える。5月4〜6日にかけて(予定開催時間:UTC 2017年5月4日22時〜、日本時間5月5日午前7時〜)※2、世界の助産師、助産学生、助産に関心のある人々をインターネットでつなぎ、国際助産師の日を祝う。参加は無料。

【講演アブストラクト募集中】

内容:助産研究、国際助産、助産教育イニシアチブ、助産実践の課題、助産理念、セーフマザーフッド等形式:インフォーマルなディスカッション、パネルディスカッション、ミーティング、ストーリーテリング等
提出期限:2017年2月1日12時(UTC)
詳細は講演会HP を参照(下記注釈)。