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2017年

10月号

日本看護協会 国際部

ICN所信声明改定

今月は、新たに全面改定されたICN所信声明3本、「薬剤耐性」、「職場の暴力の予防と管理」および「看護師の労働安全衛生」を紹介する。
ICNが看護の発展、実践範囲の理解、リーダーシップスキルの強化、看護の課題解決等の支援に向けて発行するさまざまな文書の1つとして、テーマごとにICNの見解や、看護協会と個々の看護師への奨励事項等をまとめた「所信声明」がある。所信声明は、5つの分野(ヘルスケア・サービスにおける看護の役割、看護専門職、看護師の社会経済福祉、ヘルスケア・システムおよび社会的な問題)に関して表明されている。

薬剤耐性

薬剤耐性(AMR)は、人や物の国際移動が頻繁に行われる中、世界規模の公衆衛生の脅威となりつつあるとして、国際的な取り組みが必要な課題となっている。また、抗菌薬が動物用医薬品や家畜用の飼料添加物にも使用されることを踏まえ、保健医療のみでなく、環境部門や農業部門との全面的な協力を通じた取り組みが必要となっている。
ICNは、世界的なAMRの蔓延に懸念を持ち、多分野との協調した行動が必要であることを強調する。さらに、AMRの国家戦略の開発や実施への看護師の関与や抗微生物薬の適正使用の確保に努めるよう求めている。

職場の暴力の予防と管理

職場の暴力は、保健医療提供現場に広まる問題であり、看護師は職場の暴力にさらされるリスクが高いと考えられている。職場の暴力は、看護師、他の保健医療従事者、患者とその家族の健康やウェルビーイングに悪影響を及ぼす。また、被害者のみでなく、被害者の家族や社会生活にまで影響を及ぼす場合もあり得る。さらには、患者に対する有害事象につながる可能性もある。
ICNは、すべての暴力行為を非難するとともに、暴力行為は人権侵害であるとする立場を明確に示し、職場の暴力の予防はもちろん、看護師が職場の暴力の被害にあった際の法的および精神的支援体制の確保を求めている。

看護師の労働安全衛生

保健医療従事者の労働環境は、最も危険な職場環境の1つであると考えられている。危険有害要因には、生物学的、化学的、人間工学的、物理的および精神的な要因がある。これらの危険有害要因が適切に制御されていない現場(クライアントの自宅、コミュニティ、災害現場等)では、健康上高いリスクにさらされる恐れがある。業務上の健康被害は、看護師の離職につながることも多く、看護労働力問題にも悪影響を及ぼす。
ICNは、看護師1人ひとりが、仕事に起因する傷害や疾病のリスクなく、安全な労働環境で働く権利を有すると確信し、労働安全衛生に取り組むことは、看護師個人の健康とウェルビーイングを守るだけでなく、患者、コミュニティ、保健医療組織や保健医療制度に対しても良好なアウトカムをもたらすとして、各国看護師協会、雇用者、研究者、教育者、管理者等にそれぞれの立場に応じた取り組みを求めている。

これらのICN所信声明の日本語版は、本会公式ホームページに近日掲載予定である。

●参考資料