日本看護協会とは

専務理事からのワークリポート

月刊『看護』2017年4月号より

専務理事 井伊久美子

専務理事 井伊久美子

平成28年度第6回理事会(2月16日・17日)

【協  議  事  項】
  • 平成29年度重点政策・重点事業並びに事業計画を決定

    2025年の少子超高齢社会の人口・疾病構造を見据えた社会保障制度改革はすでに進んでおり、病床の機能分化・連携、在宅医療・介護の推進、医師・看護師等の医療従事者の確保・勤務環境の改善、地域包括ケアシステムの構築等が推進されている。平成29年度は、公益社団法人日本看護協会の使命である「看護の質の向上」「働き続けられる環境づくり」「看護領域の開発・展開」を前提とし、変革に対し新たに必要な対策を講じるとともに、「看護の将来ビジョン」を実現するための看護政策として、以下4項目を重点政策とする。 平成27年度からおおむね3カ年は重点政策に継続的に取り組む方針に従い、28年度の重点政策を踏襲するが、看護基礎教育制度改革は喫緊の課題であるため、「人材育成」から独立した項目とした。

    ①看護基礎教育制度改革の推進

    地域包括ケアシステムにおいて、病院完結型医療から地域完結型医療への転換の要は看護職であり、急性期から在宅医療まで、それぞれの場でさらに多様化、高度化する看護師の役割を十分に果たすことが求められる。一方で、医療現場で求められる実践力・判断力との乖離が生じ、新人看護師の早期離職や医療安全上のリスクがあることも指摘されている。2025年に向けた看護提供体制の構築には、役割に見合う教育体制としての看護師教育の4年制化が必須である。
    また、准看護師制度については、教育内容や免許の種類が違うにもかかわらず、看護師と同じ業務が行える現状について大きな問題があるなど教育制度としての課題は明らかである。2025年とそれ以降の需給等さまざまな要素を勘案し、引き続き准看護師養成停止に向けた取り組みを強化していく。

    ②地域包括ケアにおける看護提供体制の構築

    2025年に向けた1つの節目の年となる平成30年度に向けて、29年度は地域医療提供体制に係る動きが加速化する。地域医療ビジョンやこれに続く医療計画・介護保険計画策定、診療・介護報酬同時改定、医療機能別の配置のあり方等に戦略的に取り組み、医療機関から地域における看護人材の確保の基盤をつくる。
    一方で、「看護の将来ビジョン」で示したように、療養する高齢者に対応した看護提供体制の構築をはじめ、子どもを産み育てる人々、子どもたち、障がいのある人々などを含むすべての人々の生活を地域で支えるものが「地域包括ケア」であると考えている。在宅施設領域における看護の機能強化とともに母子保健活動、疾病・重症化予防活動等にも引き続き取り組む。

    ③看護職の労働環境の整備の推進

    看護人材の確保・活用のためには、現在働いている看護職の定着促進が最も重要である。その観点から、人的資源は有限であることを前提に、質の高い人材を確保するには、働く環境整備が不可欠である。これまでも看護職の労働環境の改善(労働時間、賃金、WLB等)に精力的に取り組んできた。これまでの活動をさらに一歩進め、国が進める「働き方改革」を鑑み、個々の看護職の生活とキャリア形成の推進に取り組む。

    ④看護職の役割拡大の推進と人材育成

    看護職の医療的判断や実施における裁量の拡大は、地域において人々が安全に安心して療養できることにつながる。将来に向け、さらなる役割・裁量の拡大に向けた制度のあり方について検討する。すでに、「特定行為に係る看護師の研修制度」が施行され、研修修了者が現場で活動している。本制度が在宅医療等に適切に活用されることを推進する。認定看護師制度の再編等の検討を進め、新たな研修体制を構築する。並行して、将来的な役割拡大の基盤となる看護師のクリニカルラダーの活用も推進する。
    重点政策を推進するための重点事業については、看護を取り巻く今日の状況を踏まえ、平成29年度に精力的に実施する事業として、以下の11事業を設定した。重点政策の推進に当たっては看護管理者との連携・共通理解の醸成が要となるため、事業展開においてはこの点を十分に考慮する。また、重点事業とは標榜しないが、「看護の将来ビジョン」にも示している通り、都道府県看護協会の政策力強化や新たな会員の獲得等による協会組織の強化を、看護協会活動の基盤を醸成する事業として取り組む。

    ①看護基礎教育制度改革の推進

    ・看護師基礎教育の4 年制化
    ・准看護師制度の課題解決に向けた取り組み

    ②地域包括ケアにおける看護提供体制の構築

    ・在宅・施設等の長期療養者を支える看護の機能強化
    ・包括的母子保健推進における看護機能の強化
    ・健康寿命の延伸に向けた地域連携推進
    ・地域包括ケアシステム構築に対応する保健師のキャリアラダー策定・活用の支援

    ③看護職の労働環境の整備の推進

    ・勤務環境改善の推進
    ・看護職の就業と定着の推進

    ④看護職の役割拡大の推進と人材育成

    ・認定看護師制度の再構築
    ・ナースプラクティショナー(仮称)制度の構築の推進
    ・「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」活用の推進

  • 平成29年度資金収支予算及び収支予算(決算確定前)を決定

    資金収支予算の事業活動収入は55億6700万円に対し、事業活動支出は55億1600万円である。当期収支差額は、マイナス3億500万円で、前年度と比較して2700万円の改善となっている。平成29年度予算もこれまで同様安定した資金繰りを配慮し、29年度末において12億7200万円の繰越額を確保した予算となっている。また、公益法人の財務3基準である「収支相償」「公益目的事業比率」「遊休財産額」は、すべて満たしている。

  • 今後の看護職養成に関する本会方針を決定

    平成28年第3、4、5回理事会、および地区別法人会員会において、今後の看護職養成に関する本会方針について検討を重ねてきたが、①看護師基礎教育の4年制化(すでに政策課題としている)、②准看護師制度の見直しについて決定した。特に准看護師制度の見直しについては、1)准看護師養成を停止する方針の堅持、2)当面の間の需給への対応、3)准看護師制度の課題解決に着手し、看護師と准看護師の業務範囲の区分等に取り組むこととした。

  • 認定看護師制度の再構築の検討を決定

    平成29年4月から新たに、「認定看護師制度再構築準備室」を設置し、認定看護師制度の再構築について取り組む。認定看護師制度を基盤に、特定行為研修を組み込み、国民のニーズに応える新たな制度への検討を具体的に開始する。