会長の手帳(日本看護協会 会長 秋山 智弥)

機関誌「看護」2026年4月号より

国際看護師協会 国際労働フォーラム2026・看護サミット2025を開催して

2月3日~4日の2日間、国際看護師協会(ICN: International Council of Nurses)主催の国際労働フォーラム(IWFF:International Workforce Forum)2026が横浜で開催されました。ICN事務局長のハワード・カットン氏とホスト国である本会会長の私が共同議長を務め、オーストラリア、カナダ、アイルランド、イタリア、ノルウェー、スウェーデン、英国、日本の計8カ国の看護師協会の代表らが一堂に会して看護職の労働問題について話し合いました。

くしくも、前日にはWHOのテドロス事務局長が、「世界は2030年までに1,100万人の医療従事者が不足する事態に直面しており、その半数以上が看護師不足である」(※1)と語った直後の開催となりました。2030年は、国連がSDGs達成に向けて設定したゴールの年です。2016年には、英国のグローバルヘルスに関する議員連盟が報告書『トリプル・インパクト(2016年6月)』(※2)を公表し、看護職の活躍によって、「目標3:すべての人に健康と福祉を」「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」「目標8:働きがいも経済成長も」の3つが達成されるとされ、看護職への投資が世界中で呼びかけられてきました。

しかし、コロナ禍を経て多くの看護職が疲弊しました。恐怖と向き合いながらも正しく恐れ、面会の許されない家族に代わって患者の孤独と不安に寄り添い、それでいて自らの家族は遠ざけていました。やりがいは大きかったかもしれませんが、犠牲はそれ以上に大きかったと思います。看護職の貢献と責任の大きさ、その犠牲の大きさに比べ、あまりにも割に合わない低賃金に、「やってられない」と思った看護職がいてもまったく不思議ではありません。しかし、この状況は何としても変えていかなくてはなりません。

フォーラムでは、看護職のウェルビーイングの向上が喫緊の課題であることを各国看護師協会のリーダーたちとも共有し、翌日の看護サミット2025にバトンをつなぐことができました。今回の看護サミットでは、宣言ではなくスローガンを掲げました。スローガンは、“Be Well,Work Well,Nurse Well.”です。すべての看護職が、健康でやりがいをもって働き、働きに見合った報酬を受け取り、何物も犠牲にすることなく人生を楽しみ、人々と社会の健康に貢献すること、それこそが私たち看護職みんなのゴールです。

ところで、ミラノ・コルティナ・オリンピックでは、たくさんの感動を選手たちからいただきました。皆さんはどのシーンが最も心に刺さったでしょうか?スタッフ時代、冬の夜勤の前後に欠かさずゲレンデ通いをしていたスノーボーダーの一人としては、骨折後1カ月もたたずに命がけで挑んだ平野歩夢選手の滑り終えたときの言葉にジーンときました。「生きてて、よかった」―はにかみながら語られたその言葉から、どれほど命がけであったかが痛いほど伝わってきました。生きがいのその先にまだ生きがいがある。そのことに感謝です。

※1 Share the World Resources: Deep funding cuts disrupting global health services, warns WHO, February 5, 2026.[2026.2.27 確認]

※2 A Report by the All-Party Parliamentary Group on Global Health: Triple Impact; How developing nursing will improve health, promote gender equality and support, 2016.

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