会長の手帳(日本看護協会 会長 秋山 智弥)
機関誌「看護」2025年11月号より
第56回(2025年度)日本看護学会学術集会を終えて
「よい看護」を「どこでも」「 ずっと」
9月12日~14日の3日間、ポートメッセなごや(愛知県名古屋市)で第56回(2025年度)日本看護学会学術集会を開催しました。厳しい残暑とあいにくの雨にもかかわらず、また名古屋駅から少し離れた名古屋港まで、約4,900人の大勢の看護職の皆さまと70社に及ぶ多くの企業の皆さまにご参加いただきましたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
本学術集会のメインテーマは、「最適な看護をマネジメントする~『よい看護』を『どこでも』『 ずっと』」でした。急性期から回復期、慢性期、そしてまた介護施設や在宅など、さまざまな療養の場で活躍されているすべての看護職に求められるマネジメントについて、皆さまとともに考える絶好の機会となりました。マネジメントは「管理職が行うもの」と捉えられがちですが、決してそうではありません。多職種によるチーム医療が行われる中で、さまざまな医療職が点でかかわるのに対し、看護職は24時間365日、切れ目なく連続した線で人々にかかわります。そのようにして継続される看護は、誰か一人で行えるものではありません。看護職がチームを組み、申し送りによってバトンをつなぎながら行われていきます。そのため、誰か一人が「よい看護」ができていたとしても決してうまくはいきません。チーム全体の看護の質は、チーム全員が担っていると言えます。自らの守備範囲で最善の看護を提供し、次の看護職へ確実にバトンをつないでいきます。看護職一人ひとりが自律的に看護を実践し、情報をつないでいくことによって、はじめて、「よい看護」は「どこでも」「ずっと」提供されるようになります。それゆえに、ケアのマネジメントは管理者ではなく、個々の看護職によって行われなければならないのです。また、そうした看護職の成長や自律した実践を支援することが管理者の大切な役割と言えます。
日本看護協会は2025年6月に『看護の将来ビジョン2040~いのち・暮らし・尊厳を まもり支える看護~』を公表しました(※)。療養の場は、人々の暮らしの場、地域へと今後ますます広がっていきます。2040年までに想定される社会や医療の変容を踏まえ、保健・医療・福祉サービスにかかわる専門職は、今まで以上に役割発揮していくことが求められます。とりわけ、人々の最も身近にいる看護職は、その人らしい生き方を支援するという看護の不変の理念に基づき、かつ変化に即した大胆な発想の転換をもって、人々の生涯にわたる健康な生活の実現に貢献することが期待されています。
2040年、あなたはどこでどんな看護をしているでしょうか? いま一度、『看護の将来ビジョン2040』をお手に取っていただき、じっくりと読み込みながら、ご自身の未来を想像してみてください。
※ 『看護の将来ビジョン2040』はホームーページからダウンロードできます こちら
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