日本看護協会とは

会長の手帳(日本看護協会 会長 福井トシ子)

月刊『看護』2018年12月号より

ナース・プラクティショナー制度創設に向けて

2018年10月1日、「NP教育課程関係者等との意見交換会」を本会にて開催しました。その目的は、「ナース・プラクティショナー(仮称)*1 制度創設」に向けた本会の取り組みについてご理解いただくとともに、日本におけるそれぞれのNP教育課程*2における教育の実際や、NP教育課程の教員からみた課題などについて情報共有し、新たな制度創設に向けた方向性等を確認することです。

参加者はNP教育課程10校の教員で、オブザーバーとして、日本看護系大学協議会、日本NP教育大学院協議会からご出席いただきました。このように、日本のNP教育を担っている関係者と一堂に会し、本会が意見交換会を開催したのは、初めてのことです。

わが国では少子超高齢化の進展、それに伴う患者像の複雑化に対応するため、「地域包括ケアシステム」の構築が急務です。社会の変化とニーズに応えていくために、本会は、2015年6月に『看護の将来ビジョン』を公表しました。その中で「将来的には、地域において人々が安全に安心して療養できることを目指し、常に人々の傍らで活動する看護職の、医療的な判断や実施における裁量の拡大を進める」との方向性を示しています。

一方、国においては、2014年6月に保助看法が改正され、「特定行為に係る看護師の研修制度」が創設されました。また、2017年から進められている「医師の働き方改革」に関する議論においても、看護師へ期待する声が挙がっています。

暮らしの場を中心とした療養では、医療的な判断や実施が適時・的確になされることが、人々の安全・安心に直結し、生活の質を左右します。本会は、2017年度から「ナース・プラクティショナー(仮称)制度の構築の推進」を、重点政策・重点事業に掲げ、特定行為研修制度だけでは解決できないニーズや、看護師が新たな裁量を得る必要性について、諸外国の状況を見据え、情報収集等を行っています。

日本においては、2008年からNP教育が行われていますが、国としての制度は創設されていないため、これらの教育課程を修了しても、国家資格は「看護師」であり、現在の日本の法律では、医師の指示を受けることが前提になっています。

日本看護協会では、看護の基盤を持ちながら、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行う、米国等のような「ナース・プラクティショナー」の公的な資格を、日本においても新たに創設して、急増する医療ニーズに応えていくことが必要だと考えています。皆さまのご意見もお寄せください。

  • NP(Nurse Practitioner:ナース・プラクティショナー)とは、米国等のような医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる公的資格を指すが、日本にはない。
  • 1.「ナース・プラクティショナー(仮称)」は、日本看護協会が創設をめざしている米国等のような医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる新たな看護の国家資格。
  • 2.この「NP」は、大学院のNP教育課程を修了した現行法上の看護師を指す。正式な呼称は、日本NP教育大学院協議会(JONPF)では「診療看護師(NP)」、日本看護系大学協議会(JANPU)では「JANPUナースプラクティショナー(JANPU-NP)」。NP教育課程は2018年4月時点で10校ある。