副会長活動ダイジェスト

機関誌「看護」2026年1月号より

副会長  任 和子

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DXと業務改善を、現場の声とともに進める

この原稿を書いている11月、私が出席している医療保険部会では、医療保険制度改革や令和8年度診療報酬改定の基本方針など重要かつ緊急性の高い案件が議論されています。毎週開催され、会議時間も延長して審議する状況の中、「業務効率化・職場環境改善」が議題に上がりました。医療機関のDXやタスク・シフトなど、現場に直結する内容が多く含まれています。DXの推進には、機器やシステムの導入に留まらず、業務の見直しや職員の意識改革が欠かせず、効果がすぐに表れるとは限らないので継続的な支援が求められます。DXは効率的な業務運営につながる一方、新たな作業が発生する場合もあります。人員不足の中でDXへの期待が高まっていますが、現場からは「残業は少し減ったが、人員を減らせる状況ではない」といった声も多く聞かれます。現場の実感は、政策を検討する上で非常に重要です。現場の声や実態に即したDXや業務効率化の政策を推進し、看護職が働きやすく、医療の質も守られるように活動したいと思います。

副会長  山本 則子

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全米老年学会に参加して感じたこと

米国のボストンで行われた全米老年学会に参加しました。私はこの学会に継続的に参加しており、多くの活動の展開を見てきました。今回、「高齢者にやさしいまちづくり」の活動では、効果的なまちづくりの方法がモデル化され普及しているという発展ぶりが紹介されました。さらに近年は「高齢者にやさしいヘルスシステム age friendly health system」という考え方が提唱されており、高齢者が医療を受けやすい医療機関づくりに向けた指標が策定されています。これらの指標をクリアした医療機関での患者アウトカムへの効果をビッグデータにより検討した報告もありました。日本には「認知症ケア加算」など類似の取り組みがすでにありますが、認知症ケアや入院医療だけでなく、外来、在宅などにおいても、包括的な「高齢者にやさしいヘルスシステム」の考え方や、研究による評価が広がるとよいと思いました。また、高齢者のためのテクノロジー開発についての報告も多くあり、各国の試行錯誤の様子を見ることができました。

副会長  勝又  浜子

副会長 勝又浜子

これからの人材育成・確保に向けて

本会が開催する地区別法人会員会でも議論したのですが、看護師養成所の定員充足率が年々減少傾向にあり、2025年度は79.5%まで減少、閉校も増加しています。私は、18歳人口の減少が原因だと思っていましたが、その減少数よりはるかに養成所受験者が減少していることがわかりました。2015年の8万7,217 人が、2024年には3万5,728人と半数以下に減少している状況にあります。一方、看護系大学においては、受験者数は2018年にピークを迎え、その後はやや減少傾向にあるものの定員充足率は99.7%となっています。18歳の学生の大学志向は今後も強まり、養成所の学生確保がますます困難になると予測されます。そのため、これまでのような新規の養成数に期待することはできなくなります。質の高い学生の確保を考えると、大学のサテライト化、地域枠の設定、給付型の奨学金の検討が必要となります。加えて、人材確保のためには業務の効率化、タスク・シフト、潜在看護師の復職支援など地域での対策の検討も重要です。

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