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2018/10/01

最近始まった「ストレスチェック制度」って何?

「ストレス」と聞くと、どのようなイメージを持たれますか? おそらく多くの方が、有害(マイナス)なイメージを抱くと思います。しかし、一方でストレスには、やる気や集中力を高め、持てる力を発揮するといった有益(プラス)な側面もあるのです。しかしながら、看護職の場合、生命を左右する判断や処置など緊張感の高い仕事であり、さらに様々な出来事(患者・利用者の死、インシデント・アクシデント)に遭遇するなど、不安や悩みを抱えやすく、ストレスが有害(マイナス)に作用しやすいと思われます。
労働者は大小関係なくストレスが積み重なると、時にうつ病などの精神疾患を発症し、心身の不調が改善しない場合には休職もしくは離職・退職に至ることもあります。そのような状況にならないためにも、「ストレスチェック制度」を活用し、メンタルヘルスの「一次予防」に力を入れていきましょう。
「ストレスチェック制度」は、2015年の改正労働安全衛生法に基づき、施行されました。「ストレスチェック制度」は、常時50人以上の労働者を使用する事業所を対象に、年に1回以上の実施を義務付けられている制度です。コラムをお読みになっている方の中にも「あっ、受けたことある!」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。
ストレスチェックが施行された背景には、①不安やストレスを抱えながら就労している労働者が多いこと、②仕事による強いストレスが原因で精神障害を発症し、労災認定される労働者が増加傾向にあることが挙げられます。「ストレスチェック制度」は、労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスの気づきを促すとともに、職場環境改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって労働者のメンタルヘルス不調となることを未然に防止する「一次予防」を主たる目的としています。
では、実際にどれほどの事業所が「ストレスチェック制度」を実施しているのでしょうか。平成29年7月に厚生労働省が実施した調査によると、「保健・衛生業」では83.7%が実施しており、各事業所の受検者の割合は平均78.0%となっています。さらに、ストレスチェックの結果、「高ストレス者」として選定され、医師による面談が必要な労働者もいますが、そのほとんどが受診しない傾向にあります(0.6%)。
一方、努力義務である「集団分析」の実施状況はどうでしょうか。
「集団分析」では、性別、年齢階層、職種、職位などの属性ごとのストレス状況を分析し、職場環境の改善や特にストレスの高い職員層への支援のヒントを得ることができます。厚生労働省の調査によると、78.3%の事業所が「集団分析」を実施していることが明らかになっています。このことからも努力義務にも関わらず積極的に「集団分析」を実施されていることが伺えます。
厚生労働省が実施した「ストレスチェック制度による労働者のメンタルヘルス不調の予防と職場環境改善効果に関する研究」によると、「ストレスチェック制度」を受検するだけでは、心理的ストレスの反応の改善には効果が得られていません。「ストレスチェック制度」を実施し、「集団分析」を行い、それを基に職場環境の改善がされている職場で働く労働者は、心理的ストレス反応が改善しています。つまり、「ストレスチェック制度」と「集団分析」の双方を活用することで十分な効果が期待できることがわかります。
「ストレスチェック制度」は始まったばかりの制度です。まだ、活用方法を模索している職場も多いかもしれませんが、今一度、「看護職の健康と安全が、患者の健康と安全を守る」ことを念頭に、組織全体で有効な活用方法を検討してみませんか。
■参考資料:
  1. 梅田忠敬:著産業精神医学&経営学の視点から見たストレスチェック活用術、日本法令、2016.
  2. 厚生労働省:ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等.
  3. 吉川悦子 吉川徹:ストレスチェック制度を現場で生かすために 看護師が安全で生き生きと働き続けられる職場環境づくりへの応用 (特集 医療機関のストレスチェック: 制度を現場で生かすために)、看護 日本看護協会機関誌、2017.