看護職の仕事と給与の特徴

1)諸手当の割合が高い

諸手当の中に、看護職特有の夜勤手当や残業手当などを含むのが特徴です。
給与総支給額の内訳を見ると、これらの手当の加算により諸手当部分の占める割合が大きくなり、基本給の占める割合が少ないという傾向が見られます。

2)交代制勤務の処遇

看護職の多くが携わっている、交代制勤務。当たり前のようにこなしていますが、製造業等の他の業種に比べ看護師の交代勤務には多くのストレス因子が存在しています。
看護師の交代勤務には、短期間の間に不規則にシフトが割り当てられている、夜になると昼間の人員配置数が大きく減る、翌月のシフトがわかるタイミングが遅いなどの特徴があります。製造業等の交代勤務は日勤期と夜勤期のそれぞれのスパンが長く、スケジュールがかなり前から決まっています。
看護師は日によって異なる時間や昼間に睡眠をとるため質の良い睡眠がとれず、疲労が蓄積しやすく回復しにくい状況に直面していると言われています。
このような過酷な労働に対して、夜勤手当とは別に、交代制勤務に対して手当を支給している病院があります。看護師が勤務するために行っている心身のマネジメントを評価している好事例といえるでしょう。

Checkポイント

夜勤手当のほか、深夜勤務割増給も支給されていますか?
夜勤をした場合、「深夜勤1回につき●●円」といった定額の夜勤手当のほか、22時〜5時の間に勤務した場合には、その勤務時間数に応じて、対象給与額の25%相当の割増賃金を上乗せ支給することが労働基準法で定められています。給与明細で確認してみましょう。
夜勤手当が「深夜勤務割増給として(又は代わりに)支給する。」となっている場合は、法定どおり、またはそれ以上の額になっているかどうか確認しましょう。

3)サービス残業

業務上必要な業務前の情報収集や研修などは業務とみなされ、超過勤務手当をつける必要があります。
まずは業務の見直しをすることが必要です。効率化を図る努力をしても、どうしても時間内に収まらない業務に対しては、きちんと超過勤務手当が支給される必要があります。
また、意識改革も求められます。長時間勤務による過労死を出さないためにも、まずは管理者・職員ともに労働法の理解と法令順守を心がけましょう。

4)管理職の残業手当

師長は管理職。このため残業手当は必要ないと思っていませんか?
「師長になり管理職手当が付きました。管理職は超過勤務をしても超勤手当が付かないため、残業をしていた師長になる前の給与のほうが高かった。」という話を耳にすることがあります。
労働基準法では、管理監督者に対する時間外および休日労働に対する手当支給の義務は定められていません。管理監督者とみなされるかどうかの判断ポイントとしては、①労務管理上の権限(採用・配置・人事考課など)、②経営方針決定への参画、③出退勤時間の裁量があり、さらに管理職としてその地位に相応しい待遇(給与額等)がなされているかどうかが問われます。
師長は管理職と呼ばれることも多いですが、これらの要件を満たしていなければ、時間外勤務手当や休日勤務手当の支給が必要です。

5)病院財政と診療報酬

病院・施設は、収入(そのほとんどが診療報酬)の中から人件費、材料費、その他の経費などを支払っています。人件費の中身は、給与費+法定福利費+研修費+退職金費などです。
一般的に病院・施設はほかの企業に比べて収入に占める人件費の割合(人件費率)が高いと言われています。
よって、病院・施設には、診療報酬という固定的な収益の中で経営戦略を立て、適切な給与制度により職員を雇用管理していく事が、質の高い医療提供のために求められていると言えます。

職場選びのポイント

職場を選ぶ上では給与のことを理解していることが重要です。職場選びのポイントのチェックに、『職場探しサポートブック』もぜひ活用してみてください。

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