看護実践情報

患者・家族との信頼関係と倫理

倫理的課題の概要

医療職と患者・家族との信頼関係とは

看護職と患者・家族が相互に「信頼」する関係を構築することが、看護を提供する前提である。また、信頼関係に基づいた患者・家族の協力が不可欠であり、より質の高い保健・医療・福祉を作り上げることにつながる。

倫理的課題の特徴

人々に寄り添い、保健・医療・福祉を提供する中で、よりよい関係を築くためのコミュニケーション等に悩む場面がある。人々が、看護職に対し、症状や心配事を看護職に訴えたときにきちんと対応してもらえなかったと感じると、看護職に対する不信感につながり、関係が悪化することもある。

考える際の視点

下記に示す「看護職の倫理綱領」(日本看護協会、2021)の本文1および本文2を参照されたい。

1.看護職は、人間の生命、人間としての尊厳及び権利を尊重する。

すべての人々は、その国籍、人種、民族、宗教、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、社会的地位、経済的状態、ライフスタイル、健康問題の性質によって制約を受けることなく、到達可能な最高水準の健康を享受するという権利を有している。看護職は、あらゆる場において、人々の健康と生活を支援する専門職であり、常に高い倫理観をもって、人間の生命と尊厳及び権利を尊重し行動する。

看護職は、いかなる場でも人間の生命、人間としての尊厳及び権利を尊重し、常に温かな人間的配慮をもってその人らしい健康な生活の実現に貢献するよう努める。

2.看護職は、対象となる人々に平等に看護を提供する。

看護における平等とは、単に等しく同じ看護を提供することではなく、その人の個別的特性やニーズに応じた看護を提供することである。社会の変化とともに健康や生き方への意識も変化し、人々の看護へのニーズは多様化・複雑化している。人々の多様で複雑なニーズに対応するため、看護職は豊かな感性をもって健康問題の性質や人々を取り巻く環境等に応じた看護を提供し、人々の健康と幸福に寄与するよう努める。

また、看護職は、個人の習慣、態度、文化的背景、思想についてもこれを尊重し、受けとめる姿勢をもって対応する。

健康問題を抱え、日常とは異なる療養・生活の場で、不安を抱える患者・家族のありのままを受け入れ、見守り、支えていく役割がある。

患者との関係でうまくいかないと感じたとき、患者や家族がどのような状況であるかを客観的に理解する必要があり、患者の身体的、精神的、社会的側面はもとより、看護職(医療職)の関わりの中でコンフリクトが生じている原因は何か、アセスメントする必要がある。

また、患者とうまくいかない状況について、保健医療福祉サービスに関わる専門職チーム間で共通理解をはかる場を持つことも必要である。患者や家族の気持ちを理解し、起きている状況の共通理解を図る。そして、看護職が一人で抱え込まないよう、保健医療福祉サービスに関わる専門職チームとして対応する。


※コンフリクト:衝突、葛藤、対立